「私たちのSDGs」:DPI政策論「国際協力分科会」報告と参加者感想
12月8日(日)開催した第13回DPI障害者政策討論集会「国際協力分科会」について、報告を宮本泰輔さん(DPIアジア太平洋 ブロック開発担当官代理)が、感想を井谷しげとさん(CIL星空)が書いてくれましたので、ご紹介します!
こんなことが話されました(ポイントまとめ)
■SDGsと障害(光岡芳宏による報告)
- DPI日本会議では、市民社会や外務省・国会議員との対話を通じて、障害分野のインプット促進や、情報保障、アクセシビリティ、インクルーシブ教育など多分野での提案をしている。
- 戦略的アプローチとして、障害者権利条約や国連の対日総括所見とSDGsを関連付けて提案している。若い層の参画や市民社会との協働が重要である。
■南アフリカ・ハウテン州で行っている自立生活事業(降幡博亮による報告)
-
- エンパワメントと社会変革を両輪とするツイントラックアプローチを採用。
- 当事者エンパワメントを優先しつつ、アクセシビリティ分野へ拡大。
- SDGs障害主流化の前提条件として環境整備を重視。
■DPI日本会議とSDGsの経緯(中西由起子による説明)
- MDGsからSDGsへの進化
- MDGsでは障害分野が考慮されていなかった。
- DPI日本会議を中心とした働きかけによりSDGsアクションプランや実施指針に変化が生じた。
- 教育分野ではインクルーシブ教育への意識が進展。
■今後の展望と提案
- 国際協力への示唆(平野みどり議長・西村正樹副議長による発言)
- 障害者雇用促進、職場環境の合理的配慮、製品開発への障害者関与が課題。
- DPIアジア太平洋ブロックの新体制でのリーダーシップ強化。
- 日本における障害者権利条約の実施と人権確立がSDGs達成の鍵。
- 地域からの取り組みの重要性
- 地域での当事者活動の成果がSDGs達成の基盤になると再確認。
- DPI日本会議のリーダー育成の継続・発展が重要。
分科会で報告・議論したこと(報告詳細)
国際協力分科会では、今年の国際障害者の日のテーマにもなったSDGs(持続可能な開発目標)と障害をテーマに「私たちのSDGs」と題して、DPI日本会議によるSDGsへの障害の主流化について報告を行いました。
DPI日本会議では、市民社会や外務省、国会議員などと対話を重ねながら障害問題がSDGsの中できちんと取り組まれるように働きかけをしています。今年の政策論ではそうした活動を紹介するとともに、SDGsを巡る動き、そしてDPI日本会議の国際協力がどのようにSDGsを障害の視点から具体化しているかを報告することになりました。
はじめに、DPI日本会議国際協力部会員の光岡芳宏から「SDGsと障害~政府・市民社会などとの対話から」と題して報告が行われました。光岡は、政府や議員、市民社会との対話を通した障害分野からのインプットは、障害当事者が会合などにきちんと参加できるようにするための情報保障などの合理的配慮からはじまり、アクセシビリティやインクルーシブ教育などの各分野に及んだと述べました。
また、戦略的にDPI日本会議ではSDGsを障害者権利条約や国連障害者権利委員会の対日総括所見を関連付けながら提案を行っていったともしました。最後に光岡は、若い層の参画、イベントなどへの積極的な関与、市民社会・政府・議員などとの連携と協働が一層大切になってくると結論付けました。
続いて、国際担当常任委員の降幡博亮が、2013年度から南アフリカ・ハウテン州で行っている自立生活事業について報告を行いました。
降幡の発表からはエンパワメントと社会変革を両輪として障害主流化を進めるツイントラックアプローチが、この自立生活事業では当事者エンパワメントを優先させながらアクセシビリティ分野へと広がりを見せる形で実践されている様子が見て取れました。
また、そうした当事者エンパワメントや環境整備がSDGsの障害主流化の前提条件であることも伺えました。
休憩を挟み、中西由起子副議長から、DPI日本会議がSDGsに取り組むようになった経緯と背景について説明が行われました。発表ではSDGs以前のMDGsなどではそもそも障害分野というものが考慮されていなかったことが明らかにされました。
そして、DPI日本会議を中心に声を上げていったことで、SDGsアクションプランやSDGs実施指針において変化が生じてきていることを、教育やバリアフリーを例に紹介をしました。特に教育分野では意見提起を追うごとに表現が少しずつですがインクルーシブ教育を意識したものに変化していてきて、SDGsも政策に影響を与える筋道の一つとなる感じがしました。
最後に、平野みどり議長と西村正樹副議長が今後のDPI日本会議への展望について意見を述べました。DPI日本会議で労働部会長を務める西村は、ビジネスと人権を障害分野そして国際協力へとつなげていく上で、障害者雇用の促進と職場環境の合理的配慮の推進、製品開発への障害者の積極的な関与に注目していると述べました。
9月にDPIアジア太平洋ブロック副議長(北東アジア担当)に就任した平野は、DPIアジア太平洋ブロックが新しい体制となりイ・ヨンソク新議長(韓国)を中心に財源確保やアジア太平洋での当事者運動の連携強化を主導していくことになったとした上で、SDGs達成に向けては日本も障害者権利条約の実施を通して障害者の人権を確立していくことが必要であるとしました。
今後のDPI日本会議の国際協力への示唆として、西村は障害当事者が抱える課題を見つめ直し検証することで誰一人取り残されないための提言を行っていく必要性に触れました。
また、平野はDPI日本会議がリーダー育成に長年関わり、そのリーダーたちが各地で活躍していることに触れ、DPI日本会議はすでにSDGsに基づいて活動をしておりそれを継続・発展させていくことが重要と述べました。
国際的な舞台で上滑りにならない、地域での当事者活動から起こるSDGsへの取り組みの重要性が再確認された分科会となりました。
報告:宮本泰輔(DPIアジア太平洋 ブロック開発担当官代理)
参加者感想
今年の10月、CIL星空でJICA課題別研修の一部受け入れを
そして、「誰一人取り残さない」社会を実現していくという点で障
自分としても関わる意識が低か
井谷しげと(CIL星空)