【開催御礼、参加者感想】7月31日(土)「ジュディス・ヒューマン自伝 日本語版刊行記念オンライントークイベント」
7月31日(土)DPI、JIL、現代書館との共催で、ジュディス・ヒューマン自伝『わたしが人間であるために―障害者の公民権運動を闘った「私たち」の物語』日本語版刊行記念イベントを開催しました。
全国各地から250名を超える方にご参加いただきました、ありがとうございました。
当日の感想を参加者である林田光来さんが書いてくれましたので、ご紹介します。
私が初めて自立生活センターの存在や当事者運動の実際を知ったのは、4年前にダスキン愛の輪基金の研修生として渡米した時でした。
今の私にも知らないことはまだまだたくさんあるのですが、今回のお話に出てきた言葉に共感することもたくさんありました。今回はそんな私の視点から、感想を共有させて頂きます。
△写真:下段左から第一部司会の木村由美さん、現代書館の向山夏奈さん、DPI副議長の中西由起子
今回のイベントは、前半が本の作者であるジュディさんと翻訳者の曽田さんの対談、後半がDPI副議長の尾上さんによる解説とジュディさんへの質疑応答が中心の構成でした。特に前半の対談は、曽田さんがジュディさんに本の中で印象的な場面について深く掘り下げて質問するかたちで行われました。
△写真:上段がDPI特別常任委員の曽田夏記、下段がジュディス・ヒューマンさん
そんなお話で特に印象的だったことは「障害者と健常者の平等のために長年強く闘ってきたジュディさんにも、障害者として声をあげることがこわくて不安だった時があったんだ」という気づきです。
障害者の権利を主張する当事者運動の中心にいる人達は、初めから揺るぎない信念を持って社会と闘ってきたようなイメージが私の中にはありました。
でも、彼女が学生時代に障害が理由で教員試験を受けられなかったという差別を受けた時、初めて裁判を起こして声をあげることに彼女の中にも大きな迷いや不安があったというエピソードを伺って、ジュディさんもひとりの人間なんだと思いました。
当事者運動の中で障害者の権利の大切さが主張される理由は、障害者だから特別だと伝えるためではなく、私達も健常者と変わらないひとりの人間として尊重される大切さを伝えるためだと私は感じています。
でも、初めから自分の声が正しいと信じきれる人なんて誰もいなくて、障害者が社会に声をあげても良いのだろうか、世間から何と思われるだろうか、自分の言動が他の障害者を傷つけはしないか…そうやって悩んで葛藤して、それでも社会のあるべき姿のために自らの声をあげると決めた先に、これまでの社会の変化があるのだと改めて感じました。
△写真:上段中央が第二部司会の山田悠平さん、下段左がDPI副議長の尾上浩二
社会は勝手に変わるものではなく、人の力で変えていくものだと思います。いつの間にか駅にエレベーターがついたわけではなく、いつの間にか障害者差別解消法ができたわけでもなく、社会が変わった背景には必ず、たくさんの人の努力と根気、そして痛みと勇気があることを教えて頂きました。そのことを、私は忘れたくないと思っています。
ジュディさんは何度も「障害者一人ひとりの物語が大切で価値のあるもの」と話していました。彼女がそう伝えるのはきっと、障害者として声をあげることの不安や孤独、マイノリティとしての抑圧の苦しさを、誰よりも感じてきたひとりだったからではないかと思います。
そんな彼女や彼女の仲間が痛みを痛みや怒りとして終わらせず、未来へ繋がるように賢く闘うパワーに変えて生きてきた姿に、私はただ素直に感謝を伝えたいし、人としての勇気をもらいました。
△写真:登壇者・通訳者らでの集合スクリーンショット
私はCILに所属しているわけではありませんが、障害の有無に関わらず、社会の中に埋れてしまう人達一人ひとりの物語の価値を伝えていける人でありたいと感じています。その大切さを改めて伝えてくださったジュディさんと夏記さん、本当にありがとうございました。
報告:林田 光来さん
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