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【ポイントまとめました】「精神障害者の人権を考える。わたしたち障害者の役割」(DPI政策論「権利擁護分科会」報告・感想)

2021年12月16日 イベント権利擁護

DPI障害者政策討論集会1日目「権利擁護分科会」の報告・感想について、滝由依さん(AJU車いすセンター)が書いてくれましたので、ご紹介します!


こんなことが報告されました(ポイントまとめ)

(敬称略)

1.「大規模クラスター感染から浮き彫りとなった、精神科病院の実態」青山 浩平(NHKディレクター、ETV特集『精神科病院と新型コロナ』制作者)

2.「終わりが見えない病院内虐待事件」吉田 明彦(兵庫精神医療人権センター)

3.「なぜ防げないのかクラスター感染」比嘉 寿(精神障害者本人・就労継続支援B型ユニティー管理者)

詳細は下記報告をご覧ください。


権利擁護分科会開催の経緯

これまで権利擁護分科会では、精神科病院での長期入院や虐待、身体拘束といった重要な人権侵害を取り上げてきました。そして、新型コロナウイルス感染という新たな問題が起きました。

病院内では、大規模なクラスター感染が起き、必要な医療が受けられず、劣悪な環境下での生活を虐げられている実態が明らかになりました。

そこで、なぜこういう事態を招いたのか、病院での入院生活がどういったものか、様々な立場が違う登壇者より、問題の本質を明らかにします。

分科会で報告・議論したこと

1.大規模クラスター感染から浮き彫りとなった、精神科病院の実態
青山 浩平(NHKディレクター「ETV特集『精神科病院と新型コロナ』」制作者)

2015年冬、原発事故から見えてきた精神科医療について取材しました。そのなかには30年以上入院している人、以前は症状があったけれどもう何年も出ていない人も大勢いました。彼らは本当に病院に居続けないといけないのか。社会的入院の現状が浮き彫りになりました。

また2020年、コロナ禍の精神科病棟の様子を取材しました。精神科病院にいるコロナ陽性者を受け入れている都立松沢病院では、運ばれてくる患者の劣悪な環境が明らかになりました。褥瘡がひどくなった患者、畳敷きでナースコールのない精神科病院。コロナになっても6割の入院患者が転院できずそのまま精神科病院に入院のままでした。

2.終わりが見えない病院内虐待事件
吉田 明彦(兵庫精神医療人権センター)

兵庫県神戸市にある医療法人財団兵庫綿秀会・神出病院で男性看護師、看護助手ら6人が、入院患者たちに対し、男性同士でキスさせる、トイレで水をかける等の暴力行為を1年以上に渡って繰り返し、その様子を撮影し、LINEで回覧して面白がるという事件が起きました。被害者数は当初3人と伝えられましたが、公判で7人と認定されました。

2020年6月23日から10月12日の最後の判決言い渡しにかけて神戸地方裁判所で加害者たちに対する判決が行われました。確定判決は3名の職員に実刑、2名の職員に執行猶予の判決が下りました。

2021年5月20日、同病院で20代の男性看護師が30代の男性患者の胸ぐらをつかむなどの暴行を加えてけがをさせるという事件が起こりました。神戸市は公表しなかったのですが、報道各社の取材によって明らかになりました。

3.なぜ防げないのかクラスター感染
比嘉 寿(精神障害者本人・就労継続支援B型ユニティー管理者)

うるま記念病院(老人病院・老健施設も併設)で国内最大のクラスターが発生しました。入院患者270名に対し、174名が感染、71名が死亡しました。

おきなわ障害者人権センターでは、何か改善点や対策はなかったのかと訴えたが、病院側はやってはいたが個室がなく、ゾーニング等の対応が取れなかったと理由を説明しました。今回感染が起きたとき中で何が起きたのか家族にも知らせなかったことが問題として挙げられています。

障害者団体は沖縄県知事に情報公開を求めました。県知事は県の方針に従って開示できるところは開示してこういうことが起こらないように自身への自戒も込めながら県民と思いを共有したいというと述べました。

今後の取り組み

深刻な人権侵害であることをあらためて認識し、教育、医療、福祉の枠を超え、理解者を増やし、地域で生活できる基盤を作らなければなりません。また、障害者権利条約第19条「自立した生活及び地域社会への包容」を法制化し、具体的な仕組みづくりが必要です。

参加者感想

分科会に参加して、精神科病院の現状を知ることができました。

その中で私が一番印象に残っていて共感したことは、精神科病棟に長期入院している人に対し何ができると思いますか」という質問に対し、青山ディレクターが「精神障害者を支える法律、制度等の仕組みを作っていくことだ」と回答していたことです。

私は大学で社会福祉を学び、社会モデルの考え方を知ったことで自分を受け入れることができました。精神科病院に長期入院している人も、その人の症状が治らなくても環境を整えることで、地域で生活することは可能であると思います。

私たちは常に社会モデルの考え方に立ち、環境を整備していくことでどんな障害がある人でもその人らしく生活できるような環境を整えていくことが、インクルーシブな社会を作っていくことにつながると分科会を通して改めて感じました。

(AJU車いすセンター 滝 由依)


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