12/4(水)障害者差別に関する相談窓口「つなぐ窓口」の実績報告会を開きました!〜障害者差別を解消し、合理的配慮を着実に提供するために本事業化を!〜
12月4日に衆議院第一議員会館で、つなぐ窓口の実績報告会を開催しました。2016年に障害者差別解消法がスタートし、障害差別に関する相談窓口は中央省庁にはそれぞれ設けられていたのですが、どこが担当省庁かわからず窓口にたどり着けないという、いわゆる「相談の迷子問題」がありました。
これを改善するために、2023年の10月から内閣府に障害者差別に関する相談窓口「つなぐ窓口」が設置されました。
今春には、開設から半年で1163件の相談が寄せられたという報道がありましたが、どのような状況なのか実績を報告していただこうということと、この事業は施行事業なので本年度で終わってしまうため、次年度以降も本事業化して継続してもらえるように応援しようということで、実績報告会を開催することになりました。
△写真:古屋勝史様
最初に古屋勝史様(内閣府政策統括官(共生・共助担当)付参事官(障害者施策担当))に実施状況をご報告いただきました。
- 相談体制は、都道府県、指定都市、中核市では整備が進む反面、一般市、町村などの規模の小さな自治体でのワンストップの相談窓口設置は進んでおらず、明確な相談体制がない自治体も多い。
- つなぐ窓口は障害者差別解消法に関する質問に回答すること及び障害を理由とする差別等に関する相談を適切な自治体・各府省庁等の相談窓口に円滑に繋げるための調整・取次を行うことを目的に、令和5年10月から試行的に設置。
- つなぐ窓口の利用はこれまでに3,000件以上。障害者差別解消法施行前後を境に大きく増加。障害者からが約8割、事業者からが約1割、自治体その他が約1割。
- 2025年度も継続するように4千万円の予算要求をしている。今月が山場。
- つなぐ窓口は障害者団体や経済団体からも高く評価されており、継続が求められている。
- 今後は市町村での相談窓口設置に向けた働きかけ、法や相談窓口のさらなる周知啓発、相談対応の質の向上が重要。
後半は、シンポジウム「障害者差別を解消し、合理的配慮を着実に提供するためにつなぐ窓口の本事業化を!」と題して、古川康国土交通副大臣、宮路拓馬外務副大臣、山本博司参議院議員、岩上洋一様(全国地域で暮らそうネットワーク代表)にご登壇いただきました。また、衛藤晟一参議院議員も駆けつけてくださり、ご挨拶下さいました。
△写真:衛藤晟一参議院議員
△写真:古川康国土交通副大臣
古川副大臣からは以下のようなお話がありました。
- つなぐ窓口をつくるべきだという運動を皆さんと一緒にやってきた。当初は民間事業者の合理的配慮の提供義務化も難しいという話があったが、すでに自治体の条例で義務付けているところもあり、全国で出来ないはずはないと国会や与党論戦の中で取り組んできた。今年の4月から民間事業者の合理的配慮の提供が義務付けられ、待望のつなぐ窓口もスタートしたことを大変嬉しく思っている。
- 今日、古屋参事官からご報告いただいたが、具体的な事例の中身と、それに対してどのような対応がされたのか、事情の許す限り教えてほしい。
→(古屋参事官)金融機関の本人確認でご本人が直接電話をするという場合、耳が不自由だと電話で対応できない。その際、つなぐ窓口が間に立ち、解決につながったという事例がありました。
- いまの案件で、つなぐ窓口が間に入ったことで、難聴の方が電話で金融機関との間で、本人確認が非常にしにくい状況になっていたこと改善できたのは良い事例だと思う。
- つなぐ窓口の大事な役割は、土日を含め困った時にすぐに連絡できること。私たちが目指している姿は、つなぐ窓口を作ることではなく、それを通じて世の中を良くしていくこと。そういったものにつなぐ材料の宝庫にこのつなぐ窓口はなるのではないか。つなぐ窓口は、皆さんと一緒につくってきたもので、まだ生まれたばかりなので、ぜひ良いものにして、良い社会を作っていくという、ツールにしていきたいと思う。
△写真:宮路拓馬外務副大臣
宮路外務副大臣は、法改正時は内閣府大臣政務官を務められており、DPI等からのワンストップ相談窓口の設置の要請を受けて、つなぐ窓口の創設にご尽力くださいました。その頃は「ワンストップ宮路」とみなさんに呼ばれていたことなどの思い出も交えて、以下のようなお話をしてくださりました。
- 先ほどの金融機関による本人確認の事例は正にワンストップ相談窓口の意味があった象徴的な事例だと思う。すべての金融機関を統括する立場の金融庁に知見が蓄積されたことは、その金融機関だけでなく、すべての金融機関に対して、こうした事例にはこのように対応すべきだということが言えるようになる。そういう環境ができた。国においてワンストップ相談窓口を内閣府に設けるべきだと、当時、内閣府大臣政務官だった私は言い続けたが、まさに思い描いた通りの事例が出てきたなと喜んでいる。
- 国の設置した相談窓口で3000件を超える相談が寄せられたということで、ヒット商品と言われている。しかし、正直、もっと増えてもいいんじゃないかとも思う。やはり、まだ知られていない。障害者差別解消法が改正され、民間事業者にも合理的配慮が義務化されたということも、まだまだ知られていない。どういう広報をすればもっと必要な人に届くかということも考えていくことが必要。
△写真:岩上洋一様(全国地域で暮らそうネットワーク代表)
岩上代表からは、内閣府障害者政策委員会での議論も紹介されながら以下のようなお話をいただきました。
- 障害者差別解消法はすべての国民のためのもの。障害者の皆さんに使っていただくのと同時に、差別解消法を通して、つなぐ窓口を通して、より良い社会を作っていくこと。つなぐ窓口はすぐにできたわけでなく、差別解消法の附帯決議があり、どういった相談支援体制をつくるべきかという検討会が内閣府で行われた。いろんな意見があったが、国と地方公共団体全体でワンストップ体制を作ろうという合意形成を一生懸命つくってきた。
- 内閣府大臣政務官だった宮路先生を鹿児島に訪ねて、内閣府を司令塔としてしっかり位置づけてください、というお願いをした。相談は各省庁がまたがっており、どの省庁が担当かわからず抜け落ちてしまう「相談の迷子問題」があるので、相談を迷子にさせないための仕組みを作ろうとお願いした。
- 障害当事者は、困りごとや差別にあっても、我慢をされていたり、認識までとどかず、あきらめることが多い。そういう中でつなぐ窓口ができたことで、若干風景が代わってきていると思う。さらに進めていくには、2年では足りず、やっといま始まった所だから、みんなでしっかり応援して作り上げていきたい。
△写真:山本博司参議院議員
山本議員は本会議と幹事懇談会がある中で、駆けつけて下さいました。
- ワンストップ窓口はDPIや地域生活支援ネット、岩上さんも含め、さまざまな形で要望があって実現した。具体的な形で進んでいることを嬉しく思う。
- 今日、さまざまな団体の方がいらっしゃるが、障害者権利条約の総括所見から始まり、皆さんの取り組みが1つ1つ前に動かしている。バリアフリーでは、新幹線やさまざまな分野で皆様の思いが一つ一つ政治の中に広がり、進んでいることを痛感している。
- どんな方でも安心して暮らせる地域ネットワーク作りにも皆さんは取り組まれている。どのような形で地域生活拠点事業を行うか、24時間365日の相談体制や、またショートステイ、医療的ケア、強度行動障害など、さまざまな大変な方を地域でどう支え合うか。地方自治体を含めたネットワークをどう進めるかが今後大事になってくる。皆さん方がそれに取り組んでいらっしゃること、政治の側もしっかり応援しないといけないと思っている。
- 私も重度知的障害の娘の父のひとりとして、障害があってもなくても、安心して暮らし、活躍できる社会づくりにしっかり取り組んでいきたいと思うし、今日のシンポジウムに皆様が集まって、こういう会議をされたことは、本当に素晴らしいと痛感している。
臨時国会が開かれている中、国会議員の皆さんがご登壇くださり、内閣府の古屋参事官からはつなぐ窓口の状況をご報告いただきました。
また、会場からの質問にも丁寧にお答えいただきました。つなぐ窓口ができたことによって、相談の迷子問題は解消され、これは障害に基づく差別で、このようにしたら解決できるという知見が蓄積できるようになりました。
△写真:会場の様子
是非とも、来年度以降も本事業化し、継続して取り組んでいただけるように願っております。ご参加いただいた皆様に心から感謝申し上げます。
報告:佐藤聡(DPI日本会議事務局長)
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