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11/23(土)DPI政策論「全体会」報告
障害者権利条約の求める社会の実現へ

2019年12月17日 イベント障害者権利条約の完全実施

11月23日(日)第8回DPI障害者政策討論集会で開催しました「全体会報告」を佐藤聡(DPI日本会議事務局長)に、参加した感想を吉嶺左恭さん(沖縄県自立生活センター・イルカ)に書いていただきましたので、ご紹介します!


▶全体会 障害者権利条約の求める社会の実現へ

日本は2014年に障害者権利条約を批准し、2020年秋には建設的対話(審査)が予定されている。本年9月には権利委員から日本政府に対し、重点課題である事前質問事項が出された。DPIはJDFの一員としてパラレルレポートの作成に携わり、9月の第12会期事前作業部会にブリーフィングメンバーを派遣するなど積極的に関わってきた。来年の建設的対話に向けて、事前質問事項のポイントと今後の課題を報告する。

障害者差別解消法は2019年4月で施行後3年が経過した。法の附則では、施行後3年を経過した時点で法の施行の状況を検討し、必要があるときは所要の見直しを行うとされている。DPIでは3月に差別解消法プロジェクトを立ち上げ、施行後の差別事例を収集し、改正を働きかけるために事例に基づいた提案書の作成やタウンミーティングの実施に取り組んでいる。今春からは内閣府障害者政策委員会で見直しの議論が始まっており、政策委員会での議論の状況を含めて、改正のポイントと情勢を報告する。

本年7月の第25回参議院議員通常選挙の結果、3人の障害当事者が新たに参議院議員となった。参議院では、議場のバリアフリー改修や介助者の同行を認めるなど、ソフト・ハード両面でのバリアフリーが進められた。さらに、通勤、通学、通年長期で利用ができない重度訪問介護の制限の見直しが大きな議論となっている。こうした状況を踏まえ、多様な障害当事者議員をお招きし、障害者の議員活動や政治参加に必要な合理的配慮とは何か、障害者議員として取り組みたいこと等をお話しいただき、障害者の政治参加と環境整備を推し進めることを目的として開催する。

■報告

(1) 第12会期事前作業部会、事前質問事項と今後の課題
報告:尾上 浩二(DPI日本会議副議長)、曽田 夏記(DPI日本会議特別常任委員)

(2) 障害者差別解消法見直しに向けた取り組み
障害者差別解消法見直しの情勢、障害者差別解消法プロジェクトチームの活動報告
報告:佐藤 聡(DPI日本会議事務局長)

(3) 障害者の政治参画〜移動支援、合理的配慮、重度訪問介護、コミュニケーション支援等~
障害当事者議員をお招きして、議員活動や政治参加に必要な合理的配慮とは何か、障害者議員として取り組みたいこと等をお話しいただく。
○登壇者:
川田 龍平(参議院議員)
木村 英子(参議院議員)
横澤 高徳(参議院議員)
佐藤 太信(戸田市議会議員)
○コーディネーター:平野 みどり(DPI日本会議議長)


1.開催概要

全体会では、障害者権利委員会の第12会期事前作業部会と事前質問事項についての報告、障害者差別解消法見直しに向けた取り組み、シンポジウム「障害者の政治参画〜移動支援、合理的配慮、重度訪問介護、コミュニケーション支援等~」の3つの取組みを行いました。

9月末にスイスのジュネーブで行われた障害者権利委員会事前作業部会には、JDFから約30名を派遣し、ブリーフィングとロビー活動を行い、曽田夏記特別常任委員から活動の報告がありました。

尾上浩二副議長からは10月に出された事前質問事項について、JDFパラレルレポート作成の経過、重点課題としている18課題、事前質問事項のポイント、日本政府は2020年6月までに事前質問事項の回答をしますが、取りまとめに向けてJDFと政府と意見交換をしたいといったことが報告されました。

障害者差別解消法の見直しに向けた取り組みでは、解消法積み残しの4つの課題、DPI日本会議が3月に立ち上げた差別解消法プロジェクトの取り組み、差別事例の収集と法改正の提言書の説明、見直しの情勢、今後の取組について報告されました。

また、10月に実施した「全国一斉行動!UDタクシー乗車運動」で乗車拒否が27%であったこと、調査結果を踏まえて国土交通省、全国ハイヤー・タクシー連合会等への働きかけについても報告されました。

2.シンポジウム

シンポジウムでは、川田龍平参議院議員、木村英子参議院議員、横澤高徳参議院議員、佐藤太信戸田市議会議員にご登壇いただき、障害者の議員活動や政治参加に必要な合理的配慮とは何か、障害者議員として取り組みたいこと等をお話しいただきました。

川田龍平議員からは、24年前に実名公表して取り組んだ薬害エイズの問題、薬の副作用で股関節を痛めて歩きにくくなっており、国会では長時間座りっぱなしが多く負担になっていること、薬害エイズをきっかけに出来た行政監視委員会が最近はあまり開かれておらず、これを活用するために、ぜひともみなさんに行政に対する苦情等(行政制度・施策の改善、及び行政運営上の遅延、不適切、怠慢、不注意など能力不足によって生じた具体的な権利、利益の侵害に関するもの)意見を沢山送ってほしい、どんな方でも生きていて良かったと思える命が守られる社会づくり、インクルーシブ教育の推進、手話言語法の策定、個人通報ができる選択議定書の批准、障害者議員が誕生すると大きく変わるので、ぜひとも全国で障害者議員を増やそう、といった発言がありました。

木村英子議員からは、養護学校卒業後施設入所が決まっていましたが、普通の女性として当たり前の生活をしたいと思い自立生活を始めたこと、昔は交渉が嫌いで人前で話をするのも苦手だったので、議員になるとは考えてもいなかったこと、重度訪問介護の利用制限の撤廃など障害者が社会参加するための制度を整えていきたいということ、自分は養護学校の生活が長かったので人間関係を作ることが下手で、障害は恥ずかしいと思っていて自分の意見を言えない時代もあったこと、健常者の友だちができたのは19歳で自立してからで、私のようにならないためにも、小さい時から学校で一緒に学び、一緒に育つ環境を作っていきたいこと、私たちが差別されないで、運動なんてしなくても普通にやりたいことを当たり前に生活できるようにするためには法律がとても大事で、差別解消法の充実も取り組んでいきたく、私の参議院会館の部屋はサロンのようになっているので、ぜひ自由に来て、意見を言っていただきたい、との発言がありました。

横澤高徳議員からは、国際A級のライダーだったが、25歳の時に練習中の事故で障害をもった。立候補するか迷っているときに息子が「いままでの経験を日本中で暮らす人に役立つなら、いっぺん助けてもらった命だから、命がけでやってみたら」と言われて決心した。文教委員会と震災復興特別委員会に所属しており、インクルーシブ教育に取り組んでいきたい。スポーツで海外にいくと障害のある人、ない人が普通に暮らしており、小さいときからともに生きていく環境、インクルーシブ教育は非常に大事。わざわざ大人になってからバリアフリーやユニバーサルデザインといわなくても、自然にできていく。東日本大震災の経験から、障害者に配慮した避難所のマニュアルの作成、バリアフリー整備を進めるために固定資産税の減免が必要、47都道府県で障害を持つ人が議会で活躍することが当たり前になってほしい、といった発言がありました。

佐藤太信戸田市議からは、手話通訳と音声認識システムを併用して活動中している。議会活動、本議会、委員会、公務として出席するイベント、政務活動費の中で研修等は必ず情報保障があるが、出陣式、マイク納め、役職でない会議等はない。音声認識システムは、傍聴する方も見られるようにと訴え、来年度は見直される方向になった。手話言語条例に取り組み、令和3年4月1日施行予定、議員は研修を受ける時手話通訳をつけてもらえるが、自治体職員は自治体が費用負担することになっており、申し出ても遠慮してほしいという事例があった。情報保障は、一人のために税金を使うのかという意見があるが、初期投資だと思う、あとから議員になった人も使えるし、市民全体が利用できる環境づくりが必要。義務教育課程でもっと障害者とふれあい、コミュニケーションとってほしい、そうすれば大人になって見えない方と会ったら、自然と接することができる、といった発言がありました。

3.今後の取り組み

お話をお聞きして印象的だったのは、4人ともインクルーシブ教育の重要性を訴えていたことでした。小さい時からともに学ぶことが、インクルーシブな社会を作る基盤であり、日本の様々な問題を改善するためにはインクルーシブ教育は不可欠だと改めて感じました。障害当事者議員として様々な分野で奮闘されている4人の議員のみなさんのご活躍に今後も注目していきたいと思います。

 (DPI日本会議事務局長 佐藤 聡)


感想

全体会に参加して

自分はこの集会には初めて参加させていただいたのですが、DPIが取り組んでいる活動や政策などをお聞きし、来年行われる世界障害者会議の事前質問事項作成の話なども聴くことができ、またロビーイング活動の様子も写真で拝見することが出来たので、私ごとですが、自分も来年のジュネーブで行われる世界会議に参加したいと言う意欲が強くなりました。また、インクルーシブ教育についても話されていましたが、具体的な事例なども挙げられていて、実態や現状も知ることができました。この集会で学んだことを自分だけではなく、周りの人や仲間にも伝えていき、今後の活動も広げていきたいです。

(沖縄県自立生活センター・イルカ 吉嶺 左恭)

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