1/19(土)「障害者総合支援法/何をまもり・何をかえるのか?」
タウンミーティングin関西 報告
DPI日本会議では、「支援法プロジェクト」が結成され、今回の法改正が私たちにとってより良いものとなるように、課題を整理しています。
今年度、当プロジェクトでは、東日本と西日本でタウンミーティングを開催しました。
今回は、西日本版として1/19(土)「障害者総合支援法/何をまもり・何をかえるのか?」タウンミーティングin関西が開催されましたので、その報告をさせていただきます。
登壇者は
- DPI事務局次長でSTEPえどがわ理事長の今村さん
- 西宮市社協相談支援事業課課長の玉木さん
- DPI日本会議副議長の尾上さん
前半は、お三方による発表とパネルディスカッション。
後半は、参加者でグループワークを行い、課題を書面に残しました。
今村さんのお話
まず今村さんから今回の総合支援法の見直しポイント(重度訪問介護関係)の説明がありました。
- 入院時のヘルパー利用について
- 同行支援
- 共生型サービス
- 重度訪問介護利用者の大学等の就学支援制度
- 1日を超える重度訪問での外出(宿泊)が正式にOK!
今回の改正を受けて、可能になった点、残された課題を、支援法の評価表に基づいて、時間いっぱいお話しされました。
当事者にとって、すぐ利用できる魅力的なものばかりなのですが、中身をみていくと、問題点がいくつもあり、見直しの見直しが必要と思わざるを得ません。
障害者権利条約と照らし合わせても、遠く及ばないテーマがたくさんあります。
玉木さんのお話
続いて、玉木さんからは、「障害者の権利条約第19条:選択の機会、支援」を基に、本人の意思決定を尊重した相談支援がなされているか?についてお話しがありました。
現実問題、本人の意思決定を尊重せずに計画を立てる相談員が多くいる中で、障害者が生活最低ラインを超えていくためには、やはり、障害当事者が発信してくことが必要だと話されました。
自立したい人には、自立した暮らしができる応援をする。
プランを自分で作れない人には、意志決定に必要なサポートをする。
年齢に応じた生活をするためには、どうやって現実との差を埋めていくか考えなければならない、とお話しされました。
劇場公開中の「こんな夜更けにバナナかよ」にも触れられました。
メインストリーム協会時代の支援を思い出し、ずっと涙を流されていたそうです。
(▽メインストリーム協会ホームページ 外部リンク)
メインストリーム協会では、制度が整っていない時代から施設からの一人暮らしを支援していました。
そのときは、人に迷惑かけるなら、親が面倒をみる、それが無理なら病院か施設に入る。それが当たり前だった。
不十分とはいえ制度が整ってきた今でも、その考え方はあまり変わってないのではないかと言われていて、確かにそうだし、制度に考え方が追いついてないのを悲しく思いました。
パネルディスカッション
その後、尾上さんを交えてパネルディスカッションが行われました。
2020年に行われる国連の審査に向けて2019年はとても大事な年になること、今村さんの各分野の評価視点や、玉木さんが話された19条のポイントのことをふまえ、「何をまもり・何をかえるのか?」について深めていきした。
「本人に寄り添った計画ではなく、支給決定に合わせてプランを作成する相談支援員が多い。
本来、相談支援員は障害当事者の応援団でないといけないのに、その役割が果たせていない。
田舎のケースでは、相談支援員が言ったことに従ってしまうところもある。
もう、“相談支援専門員”から“意思決定支援専門員”と呼び名を変えてもいいぐらいだ。」
玉木さんが、こう話されたのを受けて、今村さんが
「江戸川区では、担当が変わって一時期ひどい時があった。
相談支援員向けの説明会で、「区の考えに従ってプランを作ってください。」と言われ、真っ向から反対した。“ゲートキーパー”と言って、行政が支援員に、制度を超えない、突破しないように期待しているところが存在する。権利条約のけの字もない。」
とお話しされました。
同じ国の制度でも、市町村の捉え方ひとつで全く違うものになってしまい、そのまま地域間格差となって長年君臨してしまいます。
この問題は日本の福祉に影を落とす、大きな問題のひとつだと思いました。
他に、お話の中で出てきた、「暫定支給決定」がとても印象に残りました。
施設から地域移行する際に、時間数を決めず、1年から2年の間、実際に地域で生活をして、必要な時間数がわかるまで、使った分だけ暫定的に支給決定していくというものです。
これなら適切な時間数で、本人主体の生活が実現するのではないかと思いました。
グループワーク
後半はグループワークで大変盛り上がりました。
5~7人ずつで7グループに分かれました。それぞれ今村さんが作成された支援法の評価表から、2つテーマを選んで意見を出し合いました。
- 今までは介護保障の時間を伸ばすことに力を入れてきた。今はヘルパー不足の方が問題。
- 通勤、通学にヘルパーをつけられない問題。
- 移動支援の地域格差について(大阪51時間、居酒屋、ギャンブル)
- 障害区分によって重度訪問介護が使えない。入院時のヘルパー利用も区分6までに制限されている。など
長年解決されない問題や、改正後の新しい問題など、地域生活をしている私たちにとって、総合支援法の見直しは非常に関心が高く、皆さん、活き活きと意見交換されていました。
まとめ
最後に尾上さんからまとめのお話しがありました。
スウェーデンでは障害者の旅行は20日までだそうです。
たしかに制限に他なりませんが、20日という日数は、スウェーデンの平均旅行日数に照らし合わせての数字だそうです。
「他の者との平等」という言葉が35回繰り返される、障害者権利条約をふまえた考え方なわけです。
国内法は、障害者権利条約に沿ったものでなければなりません。「他の者との平等」を実現することを最低限のラインに設定し、諦めず国へ改善を求めていかなければいけません。
最後は、尾上さんから頂いた、力強い言葉で締めさせていただきます。
「転んでもただでは起きない、決して諦めない、それが障害者運動です!」
CIL星空(DPI加盟団体) 代表 井谷 重人
こんな記事も読まれています
現在位置:ホーム > 新着情報 > 1/19(土)「障害者総合支援法/何をまもり・何をかえるのか?」 タウンミーティングin関西 報告