トヨタ自動車株式会社へ「UDタクシーの改良と開発のお願い」について要望書を提出しました
本日、10月30日に実施した「全国一斉行動UDタクシー乗車運動」の結果を受け、1.トヨタ自動車株式会社のジャパンタクシーと2.日産自動車株式会社の日産NV200ついて「改良と開発のお願いの要望書」を提出しました。
▽日産自動車株式会社の日産NV200への「改良と開発のお願いの要望書」はこちら
以下、トヨタ自動車株式会社のジャパンタクシーへの要望全文
2019年11月28日
トヨタ自動車株式会社
代表取締役社長 豊田章男 様
ユニバーサルデザインタクシーの改良と開発のお願い
認定NPO法人DPI日本会議
議長 平野みどり
障害の有無によって別け隔てのない共生社会の実現のために、ユニバーサルデザインタクシーの開発・普及に取り組んでいただきありがとうございます。
DPI日本会議は、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会を実現するための取り組みを進める全国95の加盟団体からなる障害当事者団体です。1980年代から公共交通機関のバリアフリー整備に取り組んで参りました。
さて、DPI日本会議では、2019年10月30日に全国一斉でユニバーサルデザインタクシー(以下UDタクシー)の乗車行動を実施しました。全国21都道府県で、延べ120名の車いすユーザーがUDタクシーに乗車を試みました。
乗車拒否は全国平均27%で、特に地方で不適切な運用が目立ちました。都心部では、運転手の研修を繰り返し実施して車いすの乗降方法の理解が進み、接遇が改善されている事業者も多かった一方で、地方では、電動車いすはUDタクシーには乗車できない、車いすを乗せるには30分以上かかる、といった誤った情報があったり、車椅子の乗降方法を知らない、研修を受けていない、UDタクシーを指定した配車はできないという事業者が多くありました。調査結果に基づき、国土交通省と全国ハイヤー・タクシー連合会に改善を働きかけるよう要望書を提出しました。
乗車拒否の要因となっているのは、事業者の接遇の問題、乗降場所が限られていること等とともに車両構造の問題もあると考えております。ジャパンタクシーはスロープの設置をすべての車両に標準化している点は大変素晴らしいと考えております。一方で、乗降作業が煩雑、室内が狭いといった問題があります。
ぜひとも多様な車いすユーザーが利用できるUDタクシーとなるように、下記の取り組みをお願いします。
1. 運転手の負担を減らすための車いす乗降作業の簡略化
今回の調査で、車いす乗降のための作業が多く、運転手さんの負担になっているという指摘がタクシー運転手、車いすユーザー双方から多数寄せられました。作業工程の多さ、複雑さが乗車拒否の遠因になっています。さらなる改良をお願いします。
【事例】
• 作業手順はわかっているようだったが、スロープの向きを間違えたり、運転手席を前方にずらすのを忘れていた。スロープに上とか下とかシールでも貼ってあればよいと思った。(東京)
• 車椅子の固定、スロープの組み立てなど複雑だと思った。運転手は3回研修を受け、このキャンペーン(10.30一斉乗車運動)のために昨日研修を受けたのでスムーズだった。車椅子はたくさん載せているが全員座席に移乗する方で、車いすのまま乗った人を乗せるのは初めて。UDタクシーがそのまま乗れる人が少ないと感じた。運転手はやる気はあるが、手順が難しいのと車椅子でそのまま乗る人が少ないので、なかなか覚えられないと言っていた。タクシーを捕まえるときと止める場所を探すのが大変だった。(東京)
• わりと高齢の運転手さんでハアハアと息を切らしながら、椅子の移動、ベルトの装着、車いすの回転など文句も言わず乗車準備をしているのを見ていると、複雑な手順や規則に従わねばいけないことが、気の毒になりました(東京八王子、車椅子はInvacare SPJ)
2. 障害当事者の意見を踏まえた車両の開発
調査で車いすユーザーから指摘されたことは、室内空間、横向き乗車、スロープです。室内が狭くて車いすを回転できない、乗り口や天井に頭があたって乗車できない、横向き乗車は乗降できる場所が限られているので後ろから乗車する方がいい、海外製の電動車いすで合計200kgを超えるので乗車できないと言われたといったものです。
車いすのサイズは、障害の状態によっても変わりますし、近年では海外製の電動車いすの普及も進んでおり、大きな車いすを利用している人も多数います。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、海外の車いすユーザーの来日増加も予想されますが、海外製の車いすは日本より大型のものが多く、乗車できない事例が多発するのではないかと危惧しています。
誰もが利用できるUDタクシーにするためには、日本の車いすに基準を合わせるのではなく、世界の障害者が利用するという視点での車両開発が必要です。これらを根本的に解決するためには、より大きな車両の開発が必要です。ぜひとも新たな車両開発をお願いします。開発に際しては、多様な障害者の意見を聞き、反映していただきますようお願い致します。
【事例】
• 運転手がスロープをセットしてくれたが、乗り込むときに頭がぶつかり、 乗ることをあきらめた。(車椅子はIMASEN EMC-230)
• 乗り込む事は出来たが、リクライニングしないと高さ的に全然入らなかった。リクライニング式なので、リクライニングして乗り込もうとしたが、高さはクリア出来たものの奥行きが長くなって約20cmはみ出て(扉が閉まらなかった。もし乗れても回転できないので介助者が一緒に)乗れない。座席が後ろまで下がらない理由として、ガスボンベが積んであり、そのまんま椅子が後ろに行かないのが原因だと運転手さんが言っていた。何より、運転手さんと乗る側、両方に対して乗る時間が多いので、次乗りたいとは正直思いませんでした。(松山市、車椅子はIMASEN)
• 横から乗車して前向きに回転するときに、スペースが狭く回転できなかった。
• 狭い、後部座席が邪魔。底面がデコボコ。頭が天井につく。スロープが横付けになるので、乗り場の確保の場所でなければ乗れない(運転手も気をつけることの最初にそれを言っていました)。(静岡)
※トヨタジャパンタクシーの良いところ
すべての車両にスロープを設置しているところが素晴らしいところです。ジャパンタクシーはすべての車両にスロープ設置を標準化し、自動車を通じてユニバーサルな社会を実現しようという心意気が素晴らしいです。さらに窓が広く、車いすでも外の景色を楽しむことができることも利点です。
以上
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