斉藤国土交通大臣にお会いしてきました!
△4人で訪問し、斉藤鉄夫国交大臣に要望書を提出しました。山本博司参議院議員も同席してくださいました。
5月8日(月)、佐藤事務局長、工藤(バリアフリー部会長補佐)、斉藤(自立生活センターほにゃら)、白戸(自立生活センターPingあおもり)の4名で国土交通大臣室を訪問し、斉藤国土交通大臣にバリアフリー施策推進の要望書を提出してきました。
斉藤大臣とは昨年も一度直接お話しする機会を作っていただき、その際に要望した3つの課題(バリアフリートイレと車いす駐車スペースの義務基準の引き上げ、劇場・スタジアムの車いす用席の義務基準の策定)の検討が今年度から始まる等、着実に進展しています。
▽昨年訪問した際の様子はこちら
まず冒頭の挨拶で佐藤事務局長からこれまでの国交省の取り組みについて感謝を述べ、オリパラのレガシーを次の時代につなげられるよう基準の策定を期待していると話しました。
さらに昨年8月に行われた障害者権利条約の対日審査では、総括所見で建物や地方のバリアフリー整備、住宅の法的拘束力のある基準の策定等が勧告されたことから、次回2028年の対日審査までにこれからの課題の改善に取り組んでいただきたいと伝えました。
今回は主に3つの重要課題について佐藤事務局長から現状を伝えた後、参加メンバーの経験談も交えながら改善を要望しました。
(1)小規模店舗バリアフリー義務基準の策定
- 昨年も要望させていただいたが、小規模店舗のバリアフリー化は日本のバリアフリー分野の最大の課題。この改善無くして共生社会の実現はない。
- 2022年秋に国交省が実施した調査では、新規店舗のうちバリアフリー化されたものは飲食店で25~45%にとどまっている。新規店舗でもほとんどバリアフリー化されていない。
- 2021年に素晴らしい内容のガイドラインを策定していただいたが、義務ではないので整備が広がっていない。義務基準の策定が不可欠。
白戸:地元の青森でも車いすで入れる飲食店がまだまだ少ない。事前にお店に入れるかどうか確認の電話をしなければならず、食べたいものを選ぶのではなく入れるお店に入るしかない状況。その一方で、コメダ珈琲はボックス席を取り外して車いすでも席につけるようになっていてとても感動した。このような好事例を参考にバリアフリー店舗を広めていってほしい。
(2)共同住宅のバリアフリー整備 義務基準の策定
- こちらも昨年要望させていただいた課題。今年度国交省でガイドライン策定の検討会が始まった。取り組んでいただき感謝している。
- 車いすで住める住宅はほとんど増えていない。30年前も殆どなかったが、7年前に引っ越したときも殆どなかった。増えていない。原因は義務基準がないため。
- アメリカは4戸以上の共同住宅は義務基準あり。日本も義務基準の策定が必要。
斉藤:昨年、引っ越しのために車いすで住める賃貸物件を探していたが、ほとんどの物件は敷地の入り口、玄関、トイレ、浴室に段差がありそのままでは入れない。実際に住める物件を見つけるのに8か月かかり、改修工事も必要だった。障害者が地域で暮らすためには住宅のバリアフリー化も不可欠。
(3)駅ホーム全体の段差と隙間の解消
- 2019年に駅ホームと車両との隙間と段差の目安値を定めていただき、ここから事業者の整備が始まった。
- 駅員のスロープ介助はありがたいが、降車駅に駅員配置が整わないと乗車できないため、事業者によっては20分や30分待たされるところもある。
- また、駅アナウンスによって痴漢やストーカー被害も起きている。
- 段差と隙間を解消すると、車椅子利用者も駅員にスロープを頼まずに単独で乗降できるようになる。その結果、こういった問題も解消できる。
- 今年の3月から鉄道駅バリアフリー料金制度がスタートした。この機会に、ホーム全体の段差と隙間の解消を基本とした基準を策定していただきたい。
工藤:車いすユーザーは、駅ホームと車両の間に段差や隙間があると駅員に頼んでスロープを用意してもらわないといけない。以前たった2駅の移動のために40分待たされ、予定に遅れてしまった。最近都心部では段差・隙間解消が進んできたおかげでスロープを頼まなくても自力で乗り降りできるようになり、自由を感じた。都心部以外ではまだまだ解消工事が進んでいないため、全国どこに行っても自由に移動できるようになってほしい。
斉藤大臣は当初の予定時間よりも長く私たちの要望を真剣に聞いてくださり、「どれも重要な課題で、できることから取り組んでいかなければならない」とおっしゃっていました。
また、同席されていた関係部署の担当者も「当事者の意見を聞きながら一緒に進めていきたい」と言ってくださり、前向きな姿勢を感じられました。これからもみんなで協力しながら、一歩ずつ着実にバリアフリーを進めていきたいと思います。
大変お忙しい中貴重な機会をくださった斉藤大臣、国交省の皆様、どうもありがとうございました。
(報告:バリアフリー部会長補佐 工藤登志子)