生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案に関する要望書
今国会で、「生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」が審議されています。この条文の中に、私たちとして看過できない障害者の存在を否定する優生思想に連なる文言があります。私たちはその削除を強く求める要望書を提出しました。
2020年11月30日
衆議院法務委員会
委員長 義家弘介 様
生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する
民法の特例に関する法律案に関する要望書
特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり
DPI日本会議は、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会を実現するための取り組みを進める全国94の加盟団体からなる障害当事者団体である。
さて、本国会で審議されている「生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」(以下 法案)第3条4項には、「生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする」とある。これは、心身ともに健やかでなければ存在する意義がないという障害者の存在を否定する優生思想に連なるものであり、大きな問題がある。
「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」とした旧優生保護法によって、障害を理由に強制不妊手術が実施され、障害者の尊厳が踏みにじられ、生涯に渡って甚大な被害を受けてきた。この問題は国会でも大きく取り上げられ、救済法や安倍前首相のお詫びの談話も発表され、現在、立法経緯や被害実態の調査も行われている。
また、1970 年の心身障害者対策基本法では、第2章に「障害の発生予防」が記述され、これが自治体レベルでの「不幸な子どもの生まれない県民運動」等の展開を後押しすることになった。「障害=不幸」と決めつけた上で、障害者を「あってはならない存在」とみなす行政主導の啓発や取り組みが繰り広げられた歴史を忘れてはならない。
このような法律の規定により障害者の存在を否定する歴史がつくられてきた事実を踏まえて、本法案の「心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つ」という文言の削除を強く求めるものである。
以上
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