赤羽国土交通大臣に要望しました!
2月16日(火)に赤羽国土交通大臣にバリアフリー施策の推進について要望をさせていただきました。赤羽大臣は激務の中、私たちのために時間を割いてくださり、感染防止対策を施した広い部屋で直接要望書を手渡し、意見交換もさせていただきました。
さらに、公明党の岡本三成衆議院議員、下野六太参議院議員、杉久武参議院議員、三浦のぶひろ参議院議員もご同席くださいました。
赤羽大臣への要望は今回で2回目になります。前回は2019年11月で、この時は①学校のバリアフリー化、②小規模店舗のバリアフリーガイドラインの作成、③空港アクセスバスの基準適用除外を廃止しバリアフリー車両を導入する、という3点を要望したのですが、その後、いずれも改善してくださいました。
2020年にバリアフリー法を改正し、公立小中学校のバリアフリー整備を義務化し、小規模店舗のバリアフリーガイドラインは昨年1年かけて検討会を実施し、現在取りまとめが公表され、パブリックコメントを募集しております。新しいガイドラインは4月1日から施行されます。
さらに空港アクセスバスは基準適用除外(バリアフリーの免除)を一部廃止し、1日の利用者が2千人以上の鉄道路線のない空港(27空港)のバス路線で、バリアフリー車両が導入されることになりました。この他にも、昨年は新幹線のバリアフリー対策を大幅に改善するなど、これまで全く動かなかった積年の課題を、赤羽大臣はどんどん改善してくださっています。ものすごい推進力です。
今回は、全国自立生活センター協議会とDPIの2団体連名で要望しました。当日は、DPI日本会議の佐藤事務局長、白井事務局次長、工藤バリアフリー部会長補佐、全国自立生活センター協議会今村副代表、そして、川内美彦元東洋大学教授にもご同席いただきました。
今回は、下記の4点を要望しました。
① 東京オリンピック・パラリンピックで実現したバリアフリー整備のレガシー化
東京オリパラで、IPCアクセシビリティ・ガイドという世界のバリアフリー整備基準が導入されたこと、新国立競技場のUD/WSのように基本設計の段階から多様な障害者の意見反映を行ったことで、日本のバリアフリー整備が大幅に進歩した。東京オリパラで終わらせないように、これを国内の義務基準に引き上げ、全国に広げ、次に時代に引き継いでいってほしい。
② 駅無人化の対策
障害者の鉄道利用の社会的障壁を除去するために、事業者が率先して改善に取り組むように、さらなる働きかけをお願いします。
③ 特急車両のバリアフリー整備基準の見直し
新幹線のバリアフリー対策が格段に向上したが、特急車両は昔の基準のままなので遅れている。特にハンドル形電動車いすは乗車できない車両がほとんど。特急車両のバリアフリー整備基準も新幹線並に引き上げてほしい。
④ 共同住宅のバリアフリー整備基準の見直し
現在の新築の共同住宅は、共有エリアはバリアフリー化されているが、居室内には浴室入口に段差があったり、トイレが狭かったりとバリアフリー整備が不十分。これは、「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」が短時間でも歩行可能な高齢者を想定したもので、車いす利用者を想定していないため。障害当事者の意見を反映させた指針の見直しを行ってください。
いずれの課題も、大臣は熱心に私たちの話を聞いてくださり、率直に意見交換をしてくださいました。参加したメンバーからは車いす使用者が民間賃貸住宅を探す際に苦労していることや、公共交通機関を利用する際の不便さ、海外と比較して日本の施策が遅れている点等の事例紹介がありました。
川内美彦先生からは「人間の尊厳があるバリアフリー整備をして頂きたい」との発言があり、大臣も強く共感する姿が印象的でした。
赤羽大臣は、すぐに出来ること、一つ一つ進めていかなければならないことを関係機関と連携しながら取り組んでいく必要がある。これまでは点と点の整備だったがこれからは面的な整備をどう進めていくか考えなければならない。
当事者参画についても、形式的に当事者を一人だけ入れても意味がない。多様な人々が活発に意見交換できるようにしなければならない、とおっしゃっていました。同席した公明党の国会議員のみなさんも、多様な人が集まることで多様な視点が生まれる、それこそが社会の価値だと考えている、といった発言があり、私たちが目指しているインクルーシブ社会と同じ考えだったので、とても嬉しく思いました。
今回の面談は20分の予定でしたが、時間を大幅に延長し、丁寧な意見交換をしてくださいました。赤羽大臣は、当事者の声を聞くことをとても大切にしてくださっていると感じました。お忙しい中お時間を作ってくださった赤羽大臣をはじめ国交省のみなさま、公明党の国会議員のみなさまに心から感謝申し上げます。
報告:工藤登志子(バリアフリー部会)