旧優生保護法訴訟の大阪高裁判決 国の上告に対するDPI日本会議声明
2022年3月8日
旧優生保護法訴訟の大阪高裁判決 国の上告に対するDPI日本会議声明
特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり
DPI(障害者インターナショナル)日本会議は全国94の障害当事者団体から構成され、障害の種別を越えて障害のある人もない人も共に生きるインクルーシブな社会(共生社会)の実現に向けて運動を行っている。
私たちは障害当事者の立場から、「優生手術は障害者の『性と生殖の健康と権利』に対する人権侵害であり、国は被害者への謝罪と賠償等を早急に実施すべきである」と20年以上前から訴えてきた。
3月7日に国は、旧優生保護法訴訟大阪高裁判決に対して、最高裁に上告を行った。大阪高裁判決は全国で争われている一連の優生裁判で初めて除斥期間を適用せずに、差別や偏見を助長した国の責任を明確にした画期的な判決であった。しかし、国がこの判決を真摯に受け止めることなく、司法府による判断を確定させなかったことに対して強く抗議する。
原告の3人は70代から80代といずれも高齢であり、「高齢なので、国が上告すれば判決まで待てるか不安なので、上告しないでほしい」と求めていた。さらに全国の優生裁判では25名の原告のうちすでに4名の方が亡くなられており、一刻も早い解決が求められていた。岸田総理は2月28日の国会答弁において「政府として真摯に反省をし、心から深くおわびを申し上げる」と述べた。
ならば、国は、ただちに上告を取り下げ、控訴人らすべての優生保護法被害者に謝罪と賠償すべきである。そして、未だ声を上げることのできない被害者への更なる調査、二度と同じ過ちを繰り返さないための検証と一時金支給法の抜本改正を行い、優生思想のない社会にするための施策を講ずることに取り組むことを私たちはあらためて求める。
私たちDPIは全国の仲間に、国の上告に対して各地から抗議の声を上げることを呼びかけたい。同時に、全国で争われている裁判へも引き続き傍聴を始めとする支援を行い、2016年に起きた津久井やまゆり園・障害者殺傷事件に至る、社会に広く存在する優生思想の克服に向けて、今後も粘り強く取り組む決意である。