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ジュネーブ報告:障害者権利条約作業委員会へのロビイング(その1)

2019年09月27日 障害女性国際協力/海外活動障害者権利条約の完全実施

2019年9月下旬、障害者権利条約の日本審査(来年の予定)に向け、日本政府に対する事前質問事項を決めるための作業委員会(権利委員6名によるワーキンググループ)が行われ、JDF(日本障害フォーラム)各構成団体から総勢30余名によるロビイング(権利委員への働きかけ)が行われました。

藤原久美子常任委員からの現地レポートを紹介します。

●9月21日(土)

羽田からヒースローに飛びトランジット、前の飛行機が遅れたため、かなり出発が遅れましたが、それでも予定通り20時過ぎにはジュネーブへ到着、タクシーでホテルまで移動しました。

●9月22日(日)

朝は曇り。ちょうど良い気候。

朝10:30から、個別ロビイング、他団体打ち合わせのため、国連パレ・ド・ナシオン近くのプレスルームへ。

普通の民家へ行くような狭い小道を抜け、バルコニーのある古い建物(19世紀に建てられたらしい)に、地下と地下へ行くガラス張りの玄関を増設したようなところ。

同じくガラス張りのエレベーターで地下へ降りるも、とても狭くてL字形に降りる(前から乗って、右から降りる)作りのため、比較的小さな車椅子でもぎりぎり、今村登さんの大きな車椅子は転倒してしまい、とても危険。階段も狭く急で、障害者が移動することは想定されていない作り。

10:00〜

スケジュールなど説明

10:30~

同室内で3グループに分かれ、3人の委員へ個別ロビイングしました。

写真:チーム2によるA委員へのロビイング。地域移行や障害女性の課題、災害対応について訴えました。藤原はグループ2で、A委員との意見交換です。A委員の言語と日本語の両方の通訳が入りました。

委員は資料には全て目を通し、自身の関心は法へのアクセス、法的能力、強制不妊手術とのことでした。

最初に19条自立生活、次に藤原から6条・17条、続きで17条と防災についてそれぞれ弁護士から報告があり、それぞれの説明に委員から質問がありました。

防災については東俊裕弁護士がスライドで写真を見せながら、災害時に逃げ遅れた高齢者・障害者の状況や、アクセシブルでない仮設住宅の実態などについて報告しました。

19条では、入所施設や精神病院からの地域移行について質問があり、具体的な数字をあげて説明がされました。

また藤原から優生保護法と障害女性のリブロダクティブヘルス・ライツ、障害女性の課題について説明しました。

特に優生手術に関する仙台判決について新聞記事を見せながら説明し、委員から質問があり、弁護士から除斥期間について、また私からは判決においてリブロダクティブヘルス・ライツが、日本では十分に議論されていないとされたこと、また自治体等が1960年代後半から行った優生手術を広げる「不幸な子どもの生まれない運動」キャンペーンにより、人々の意識の中に優生思想が刷り込まれたことも自分の体験も踏まえて話しました。

委員はまた、6条について収入格差のグラフに関心を示されてました。

それら男女の収入格差が障害女性の自立を阻み、虐待やDVから逃れられない背景となっていること、また救済機関の建物や情報がアクセシブルでないことなど説明しました。

A委員はパソコンでメモを取りながら、一人一人の話を熱心に聞いてくれました。

その後は翌日のブリーフィングでの練習を行い、委員からの想定模擬質問、それに誰が答えるか、また一人1分以内で質問に答えるという制限で模擬回答を行いました。

藤原久美子(DPI日本会議 常任委員、DPI女性障害者ネットワーク 代表)

▽ジュネーブ報告:障害者権利条約作業委員会へのロビイング(その2)はこちら

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