新しく自立生活センターの世界のネットワークが出来ました
World Independent Living Center Network(WIN)の世界役員会議
2017年11月02日 国際協力/海外活動
今年の7月23日にアメリカのワシントンDCで「グローバルILサミット」を日米で協力して開催しました。
ILとは自立生活運動のことで、1970年代にアメリカで生まれた障害当事者による地域で自立した生活を送る運動です。自立生活センター(ILセンター)が核となって、障害者の地域生活を支援し、法制度や地域生活基盤を整える運動を展開し、成果を上げてきました。
日本には1980年代に伝わり、いまでは全国に130もの自立生活センターがあります。DPIの加盟団体にも自立生活センターは多く、私も3年前まではメインストリーム協会という自立生活センターで働いていました。2000年前後くらいから、日本の自立生活センターが、アジア、アフリカ、中南米の障害者の支援を始め、いまでは世界の多くの国々で自立生活センターが設立され、障害者が障害者をエンパワメントし、社会を変える素晴らしい活動を展開しています。
この世界の自立生活センターが集まってネットワークを作ろうと、グローバルILサミットを開催したのです。世界19カ国のリーダーが集まり、WIN(World Independent Living Center Network)を設立しました。
WINは6人の世界役員を決めました。コスタリカのウエンディ、アメリカのジュリー(NCIL役員)、パキスタンのシャフィック、ベルギーのナディア(ENIL役員)、南アフリカ共和国のムジ、そして日本の私です。バランスを取って、5大陸から一人ずつ、そして日本から一人という構成です。
会議は10月27日にSkypeでやったのですが、メンバーが世界中にいるので、時間設定が難しいのです。日本時間の22時くらいが良さそうだということでやってみたのですが、ウエンディのいるコスタリカは朝7時(コスタリカの人はみんな早起き)、ジュリーのダラスは朝8時、ナディアのベルギーは14時、ムジの南アは15時、シャフィックのパキスタンは18時という具合です。
WINの世界役員の会議は初めてだったのですが、無事にSkypeもつながり、ウエンディだけ欠席でしたが、他のメンバーは全員参加でき、2時間ほど話し合いました。まず、最初に取り組むことを議論し、自立生活センターの定義を決める、WINへの加盟の基準を決める、WINが設立されたという声明を出す、HPを作って各国の情報を共有する、といったことが決まりました。
自立生活センターの定義は、各国がそれぞれもっているので(内容はほぼ同じのようでした)、それをみせてもらい、素案を作って次回議論という流れでやることになりました。
日本からは、これから日本がやろうと思っている取組みを伝えました。今後もっと多くの途上国の自立生活センターを支援できるようにしたい。そのために、国際協力に関心を持ってくれる日本の自立生活センターを増やすことを目的に「五大陸研修」を企画しています。5年計画で、1年に一大陸(1カ国)の自立生活センターを訪問し、活動を見せてもらい、現地でセミナーなどを開催しようというものです。
ここに世界役員も来ませんか?と誘ったところ、ぜひ行きたい!と盛り上がりました。年に一回くらい集まって、顔を見て話をし、現地の障害者のためになることを何かやりたい。WINはまだお金が全然ないので、どう資金確保をするかが課題ですが、ぜひこれは実現したいと思っています。
ナディアさんにはヨーロッパの状況を教えてもらいました。ヨーロッパはENILというILのネットワークがあり、2年に一度総会を開いている。今年の9月にベルギーで開催し、34カ国、300人が集まったそうです。しかし、各国で自立生活運動はあるが、自立生活センターは少なく、あるのはノルウェー、スウェーデン、ブルガリア、イギリスだけだそうです。来年の12月にはドイツで役員会が予定されているということでした。
私たち日本は、アジア、中南米、アフリカ、アメリカの自立生活センターとは付き合いがあったのですが、ヨーロッパは殆ど知らなかったので、初めて聞く情報でした。ぜひ、2019年の総会には、日本からもメンバーを派遣して、関係を作っていきたいなと思いました。
次回の会議は12月。地道にコツコツと1つ1つやっていこうと思っています。いろんな国のリーダーと話をすると、なんかとても嬉しく、励まされるのです。彼らに負けないように、日本での活動をさらに頑張ろう!と心から思える、そういう素晴らしい会議でした。
写真:7月のアメリカADAツアーの時、国会議事堂前で集合写真
(事務局長 佐藤聡)
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