障害女性
「障害×女性」が生み出す複合差別の解消を目指して
女性であり、障害者であることの生きづらさは、2つの差別の単純な足し算ではなく、掛け算のように複雑です。
そのような差別を「複合差別」といいます。個人のプライバシーに触れることが多いため表面化されにくく、実態を示す統計データはほとんどありません。
当事者も周囲も「障害があるから」、「女性だから」仕方がないとあきらめ、社会問題として認識されにくい傾向があります。
- 施設で女性の入浴介助を男性介助者が行っている。
- 企業の障害者雇用枠採用試験の面接で男性の障害者なら雇うがと言われ、断られた
- DV 被害に遭い、保護シェルターに駆け込みたいが入り口に段差があったため車いすでは入れなかった。
障害者権利条約は第 6 条「障害のある女性」を設け、締約国に固有の施策を求めています。
また国連女性差別撤廃委員会は障害のある女性の健康・教育・雇用・公的生活への参加アクセスの制限を懸念し、複合差別の根絶を求めています。
障害のある女性の声を広く社会へ届けるため、DPI 日本会議では常任委員に障害のある女性を積極的に登用しています。現在、常任委員の約 42 %が障害のある女性です。(女性の常任委員を増やしてきた経過については、以下の資料ごご覧ください。)
▽季刊『DPIわれら自身の声』2015年31-2号 特集「障害女性は今」西村副議長インタビュー(ワード)
DPI障害女性部会ビジョン
「障害女性の視点から、男女をはじめとするジェンダー間の不平等をなくし、多様性が尊重され、複合差別のない社会を実現する」
2030 年までに実現したいビジョン
障害女性の視点で提言し、活動することにより、誰もが差別されることなく安心して暮らせる優生思想のない社会を実現する。
障害女性の生きづらさを可視化!
2012 年、公益財団法人キリン福祉財団の助成のもと、DPI 日本会議では DPI 女性障害者ネットワークと協力して「障害のある女性の生活の困難―人生の中で出会う複合的な生きにくさとは―複合差別実態調査報告書」を発行しました。
全国の障害女性の声を集め、今まで他の問題に埋もれがちで見えづらかった女性障害者の「生きづらさ」をデータとして可視化することができました。
▽「障害のある女性の生活の困難―人生の中で出会う複合的な生きにくさとは―複合差別実態調査報告書」ご購入はこちら(外部リンク:DPI 女性障害者ネットワークHP)
障害女性の声を国連へ!
2015 年~2016 年、国連女性差別撤廃委員会日本審査にあたり、障害女性の実情を訴えるため、DPI 女性障害者ネットワークとともに派遣団を組織し、ジュネーブへ。
事前に NGO レポートを他の女性団体と協力し提出し、審査期間中は、プライベートミーティングで直接委員に訴えることができ、日本に対する総括所見にも反映されました。
▽「国連女性差別撤廃委員会の第7回・8回日本政府報告審査に関するロビー活動障害女性たちがジュネーブへ飛んだ!報告書」ご購入はこちら(外部リンク:DPI女性障害者ネットワークHP)
国内活動とエンパワメント
複合差別実態調査を元に、内閣府障がい者制度改革推進会議及び障害者政策委員会でヒアリングも行なわれ、障害者基本計画や差別解消法の基本方針に一部は反映されました。
障害女性について条例や計画に盛り込む自治体も出てきています。
障害者基本法などに障害女性の複合差別の解消を明記する国内法改正と障害女性のエンパワメントが大きな課題です。
「コロナ禍障害女性の声」をDPI女性障害者ネットワークと連携し収集、報告をまとめました
■集会での報告
▽2020年11月22日「第9回DPI障害者政策討論集会」 障害女性&国際協力分科会
2021年1月25日 世界人権宣言大阪連絡会議「第428回国際人権規約連続学習会」
▽2021年3月9日「JDF総括所見用パラレルレポート報告会」
▽2021年5月30日「第36回DPI日本会議全国集会in東京」障害女性分科会
■誌面での報告
日本福祉のまちづくり学会誌『福祉のまちづくり研究』VOL22、No.3(2020年12
月15日号)
『女性展望』2021年1-2月号(通巻708号、2020年12月24日発行)
『月刊自治研』2021年5月号
オンラインミニ講座「優生保護法裁判と障害者運動」
優生保護法裁判と障害者運動をテーマにしたオンラインミニ講座です。争点や問題点などをわかりやすく解説しています。講師はDPI常任委員の藤原久美子です(手話・字幕付き)。ぜひご覧ください。
■訂正とお詫び
04:04字幕:誤り)佐藤友美さん(仮名)→訂正)佐藤由美さん(仮名)