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2024年度の活動方針

スタートのイメージ

1.障害者権利条約の完全実施

(1)国内法整備等
(2)権利条約の完全実施等

2.地域生活

(1)脱施設・地域移行の推進
①映画「大空へはばたこう 〜自立への挑戦〜」上映会&アフタートークの開催
②カナダの脱施設に学ぶ勉強会
③地域移行を含めた施設のあり方検討会
④拠点コーディネーターの普及啓発
(2)積み残し課題への取り組みについて

3.交通・まちづくり

(1)「バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会」へのはたらきかけ
(2)客席の義務基準の見直し
(3)航空機利用時のバッテリーチェックの短縮化
(4)UDタクシーの乗車拒否の撲滅
(5)地方のバリアフリー整備の推進
(6)その他の課題

4. 権利擁護

(1)障害者基本法改正に向けて
(2)精神障害者の人権と地域生活の確立
(3)金融機関
(4)改正旅館業法の宿泊施設向け接遇研修ツール作成等のための検討会
(5)DPI障害者差別解消ピアサポートとの連携

5. 教育

(1)法令の改善等に向けた取り組み
(2)地域での取り組みと関係団体との連携

6. 雇用・労働・所得保障

(1)雇用・労働
(2)障害者の所得保障の確立

7. 障害女性

8. 国際協力

(1)世界とアジア太平洋での活動
(2)途上国、特にアフリカや南米の障害者のエンパワメント
(3)SDGs関連の活動の推進
(4)世界の災害等への対応

9. 尊厳生

10. 優生保護法と優生思想

11. 欠格条項の廃止

12. 文化芸術

13. 次世代育成

各事業、組織について

◯広報・啓発事業

◯普及・参画事業

(1)加盟団体への支援、ネットワーク強化に向けて
(2)講師派遣、点字印刷
(3)DPI 障害者政策討論集会

◯権利擁護に関する事業

◯組織体制整備

(1)会員および支援者の増大にむけて
(2)事務局の体制整備について
(3)財政および予算執行について

◯部会とプロジェクト

(1)部会について
(2)プロジェクトについて
① 障害者権利条約の審査・総括所見を活用した国内法制度整備事業(公益財団法人キリン福祉財団助成事業)
② DPI総括所見プロジェクト
③ カナダに学ぶ脱施設プロジェクト

2024年度活動方針全文

Ⅰ.活動方針

1.障害者権利条約の完全実施

(1)国内法整備等

総括所見等を踏まえて作成したDPI行動計画に基づいて、障害者基本法の改正や差別解消法の課題、インクルーシブ教育の実現のための法整備、脱施設・地域生活の確立のための総合支援法等の法制度や成年後見制度の見直しなど障害者関連法制度全般について、権利条約に則した見直しに向けた活動を継続しておこなう。

2024年度も長年の悲願である障害者基本法の改正に全力を注ぐ。具体的には次の通常国会の改正案上程と審議、改正にむけて、関係団体との連携を継続・強化し、障害者基本法DPI改正試案を利用しながら、議員学習会、国会ロビー活動や各種の集会などを行っていく。

障害者政策委員会での活動もさらに強化する。差別解消法については、事業者への合理的配慮提供義務となったことをうけて、様々な領域において適正な合理的配慮が提供されているか実施の内容を監視していく。

内閣府の「つなぐ窓口」を最大限利用し、つなぐ窓口の力量を高め、モデル事業から恒久的な機関とするための取り組みを行う。障害者虐待防止への取り組みについては、学校等教育の領域おける虐待防止のための法整備を進めていく。精神科病院における虐待の防止については、改正精神保健及び精神障害者福祉に関する法(以下、精神保健福祉法)が機能しているかを監視し、多発している虐待の防止に全力を注ぐ。

その他の重要課題はDPI行動計画に則した形でそれぞれ取り組んでいく。権利委員会が進める脱施設の動きを関係団体と連携し、映画「大空へはばたこう 〜自立への挑戦〜」上映会や研究会開催などを通じた障害者総合支援法(以下、総合支援法)の改正に反映させるための運動を展開し、脱施設・地域移行をさらに推し進める。

また、インクルーシブ教育の実現については、東京大学大学院教育学研究科との連携協定の主要目標4つの柱(1.脳性まひ者の当事者団体「青い芝の会」の運動など、日本的な共生思想の国際的発信、2.学生向けの教育カリキュラム開発、3.政策提言の強化、4.小・中学校向け研修カリキュラムの開発)を軸に、自治体との連携、インクルーシブ教育を進めるための法整備・仕組みづくりの協働など、着実に事業を展開する。

さらに2024年度から法務省を中心に進められる成年後見制度の見直しについてもDPIとして積極的に取り組んでいく。

(2)権利条約の完全実施等

権利委員会の日本への総括所見を国内に広め、権利条約のめざす政策を勝ち取るための運動を展開する。総括所見に基づいてバージョンアップした「DPIビジョン2030」や「DPI行動計画」を国や地域における運動の柱として、政策論も含め、全国的にさまざまな形で集会を開催する。

これらの運動では国内の関係団体との連携をさらに深めていく。そのためにも、DPIが主催や後援する企画、またはDPI加盟団体が行う企画は誰もが参加できるように情報保障などを確実におこなっていく。

また、韓国をはじめとする総括所見を踏まえた運動を展開している諸外国の団体とも連携をし、権利委員会や諸外国の最新の動向を国内に紹介する活動もおこなっていく。同時に権利委員会の一般的意見の策定などの活動にも積極的に関与していく。

6月には国連障害者権利条約締約国会議がニューヨークで開催され、新たな障害者権利委員が選出される。日本からは、ろう者である田門浩弁護士が立候補しており、田門氏の当選に向けて協力していく。

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2.地域生活

(1)脱施設・地域移行の推進

①映画「大空へはばたこう 〜自立への挑戦〜」上映会&アフタートークの開催

2022年8月に権利委員会において、日本政府の審査が行われ、10月に総括所見が出され、「病院からの退院を含む脱施設」と「インクルーシブ教育」への取り組みが緊急の課題との指摘がなされた。

この2つの課題を真摯に受け止め、どう取り組んでいけばよいかをみんなで一緒に考えるきっかけとして、パンジーメディアが制作したドキュメンタリー映画「大空へはばたこう〜自立への挑戦〜」の上映会を、4団体(ピープルファースト、DPI、JIL、育成会)が中心となり、全国各地で地元団体にも呼びかけつつ、「勧告を受け止めアクションを起こす民間の輪」を広げていきたい。

本映画は、知的障害のある当事者自身がインタビュアーとなり、研究者、親、施設職員、海外(スウェーデン、カナダ)の当事者、関係者、そして現在、グループホームまたはアパート等での一人暮らしをしている元施設入所者(津久井やまゆり園等の入所施設経験者)、支援者等の方々の話を聞きに訪ね歩き、歴史の振り返り、時代の変遷も含めて見つめ直すドキュメンタリーである。

そうしたさまざまな視点から「知的障害者が自立を実現するにはどうしたらよいかをみんなで考え取り組むことで、二度と相模原障害者殺傷事件のような、優生思想、差別、偏見による残虐な事件、入所施設における虐待等が起きないような社会にしていきたい。その具体的な取り組みとしてこの映画上映会の共同開催活動を実施する。

②カナダの脱施設に学ぶ勉強会

総括所見で緊急の課題として指摘されている脱施設化に向けた実践、政策立案に向けて、現在進行形で脱施設化が進められているカナダのブリティッシュコロンビア(BC)州の取り組みについて学ぶ。

カナダのBC州では知的障害のある本人と家族の団体がともに連携しながら脱施設化に向けた取り組みを行っており、カナダのピープルファーストと、日本の育成会にあたるインクルージョンカナダは「正しい道」という脱施設化のガイドラインも作成している。

この「正しい道」をテキストにした勉強会を通じて、日本における地域移行の仕組みのさらなる強化、脱施設・地域移行を推進していくためのロードマップ作りや制度・政策の提言活動につなげていくことを目的とする。

2024年度は主にオンライン学習会を実施し、2025年度は全国各地で「脱施設キャンペーン(シンポジウム等)」、カナダへの視察等が行えるよう準備する。

③地域移行を含めた施設のあり方検討会

報酬改定検討チームの取りまとめには「障害者支援施設の在り方についての検討を進めるため、令和6年度において、今後の障害者支援施設が担う役割や機能等に関して整理しつつ、更なる地域移行を進めていくための調査研究の実施や検討の場を設ける。」と記載された。これに基づき、検討会の早期立ち上げ及び検討会への当事者参加を強くはたらきかけ、地域移行の推進に取り組んでいく。

④拠点コーディネーターの普及啓発

5月以降に公表される予定の「拠点コーディネーターガイドブック」を活用した勉強会や、「地域生活支援拠点等を中心とした共生社会を目指す全国協議会(通称:ホトトギスの会)」の発足を受け、研修内容等について、呼びかけ団体等と共同で考えていく。

(2)積み残し課題への取り組みについて

長年の課題である「重度訪問介護の就労・就学等を含むシームレスな利用、対象拡大(児童、行動関連項目10点未満者等)」、「制度の谷間の解消」の他、「社会的障壁となるローカルルール、運用・支給決定の大きな地域間格差」、「障害のある親に対する子育て支援の運用格差、柔軟性の欠如」、「医療的ケア研修の見直し」、「障害福祉計画におけるPDCAサイクルの形骸化」、「介助人材の確保」等の諸問題に対し、厚労省との意見交換を申し入れ、建設的対話の積み重ねによる法改正への意識づけ、自治体への通達等の発出による運用改善に取り組む。

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3.交通まちづくり

2024年度も斉藤鉄夫国土交通大臣へ直接要望をおこない、2022年に出された総括所見を踏まえ、各種基準の見直しを継続してはたらきかける。

(1)「バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会」へのはたらきかけ

高齢者障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下、バリアフリー法)は2020年に改正され来年で法施行5年が経つため、施行状況の検討をすることになった。また、バリアフリー整備目標である第3次基本方針も2025年で終了することから、法改正と第4次基本方針の議論をするために、今年度「バリアフリー法及び関連施策のあり方検討会」が開催される。

移動の権利/移動の自由の明記、地方のバリアフリー整備の推進、当事者参画、利用のしやすさという視点での法改正と基本方針の見直しが不可欠である。さらなるバリアフリー施策の拡充に向けて、全力ではたらきかける。

(2)客席の義務基準の見直し

前年度からの継続となった劇場等の客席の見直しについて、サイトラインの確保・同伴者は隣席・垂直水平分散を3点セットで義務化に盛り込みたい。

この課題については、東京2020オリンピック・パラリンピックの時から取り組んできており、オリパラの施設整備では実現しており、レガシーとして未来に引き継いでいくためにも、積極的にはたらきかける。

(3)航空機利用時のバッテリーチェックの短縮化

電動車いす利用者が航空機を利用する時に、予約時、当日のチェックインカウンター、保安検査場、搭乗ゲートと、くり返し同じバッテリーチェックを行われ、長時間拘束されていることは従来からの大きな課題だった。

改正障害者差別解消法の対応指針の改定に際し、この課題を提起し、国交省も国内の主な空港での運用状況を調査するなど、取り組みが始まっている。海外の空港と同じように、所要時間が短縮されるように、はたらきかける。

(4)UDタクシーの乗車拒否の撲滅

2023年の一斉行動で、UDタクシーの乗車拒否はコロナ禍を経て全国的には増加していることが明らかになった。

2024年度は新たなUDタクシーの基準「準1」が施行され、地方でのUDタクシーの増加も見込まれる。UDタクシーの乗車拒否の撲滅をめざし、10月には全国のDPI加盟団体に呼びかけて一斉行動を実施し、乗車拒否の解消に向けてさらなる取り組みを国交省や事業者にはたらきかける。

また、大型の車いすもスムーズに乗降できる新基準策定と新型車両開発を事業者にはたらきかける。

(5)地方のバリアフリー整備の推進

鉄道駅バリアフリー料金制度がはじまり、都市部の事業者に出していた国からの補助金が地方に手厚く配分されるようになった。これを踏まえ、地方のバリアフリー整備がさらに推進されるようにはたらきかけていく。また、乗務員による携帯スロープを活用した乗降介助の拡大もはたらきかける。

(6)その他の課題

駅ホーム全体の段差と隙間の解消の推進、高速バスやシャトルバスのバリアフリー車両の導入促進(基準適用除外廃止へのはたらきかけ)、当事者参画のシステム化、情報コミュニケーションの推進、アクセシビリティを要件とした公共調達の仕組みの導入、国立公園のバリアフリー化等に取り組んでいく。また、10月には東京でバリアフリー障害当事者リーダー養成研修を対面で実施する。

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4.権利擁護

2025年の国会に向けて、総括所見を踏まえた障害者基本法改正に関する活動を中心に取り組む。

(1)障害者基本法改正に向けて

DPIでは2015年から障害者基本法の改正を目指し、障害者基本法DPI改正試案を作成してきた。

権利条約や総括所見を踏まえて、差別の定義の見直し(間接差別、複合差別を含む)、法の対象範囲の拡大(家族や支援者も含める)、障害女性等の複合差別・交差性差別(以下、複合差別)、障害の定義に難病等も明記、地域生活の権利の明確化、インクルーシブ教育、意思決定支援、虐待防止、統計やデータの収集、条約の国内監視機関である障害者政策委員会の機能の強化等を盛り込むことが不可欠である。

これまで全国各地でのタウンミーティング、全国集会、政策論、公益財団法人キリン福祉財団助成事業の成果報告会等で繰り返し障害者基本法改正をテーマにしたシンポジウムを実施するとともに、障害者基本法DPI改正試案もバージョン5まで改定してきた。

2024年度もDPI加盟団体とともにタウンミーティングやシンポジウムを開催し、改正の機運を高め、関係団体と連携して全力で法改正をはたらきかける。

(2)精神障害者の人権と地域生活の確立

総括所見では、本人の同意のない強制的な入院や強制的な治療、身体拘束や隔離、虐待的取り扱いなどが厳しく問われ、障害者に対する著しい人権侵害が追及されている。

それに対し、政府は真摯に対応する姿勢を見せず、放置されているのが現状である。また、2021年に行われた日弁連の人権大会では、強制入院をなくしていくという決議が採択された。

しかし、この間、遅々としてことが進まず、病院での虐待事件も、次々と発覚している状態である。これらの問題を具体的に解決するためには、精神医療を一般医療体系に組み込むこと、退院後の生活を支えるための地域基盤整備や所得保障の充実、他の診療科での受診拒否の要因となっている法制度の改正等が必要である。

精神障害者の人権確立をめざし、2023年に引き続き精神障害当事者の登壇による院内集会の開催等をおこなう。

(3)金融機関

銀行等では、行員が2名立ち会うことにより代筆が可能となっているが、実際には拒否される事例が後を絶たない。差別や偏見に基づく不適切な対応もある。DPIでは事例を集め、2023年に引き続き金融庁にはたらきかけを行う。

(4)改正旅館業法の宿泊施設向け接遇研修ツール作成等のための検討会

旅館業法が改正され、カスタマーハラスメントを理由とした宿泊拒否が可能となったが、障害者の社会的障壁を取り除く合理的配慮の提供は、宿泊拒否の理由に当たらないこととなった。

合理的配慮の提供が現場で着実に実施されるように、当事者が参画する研修プログラムを求める声が多数の障害者団体から寄せられ、研修ツールに関する検討会が設置されることになった。DPIも構成員として、従業員が的確に合理的配慮を提供するように研修ツールの作成をはたらきかける。

(5)DPI障害者差別解消ピアサポートとの連携

DPI障害者差別解消ピアサポートと連携し、寄せられる相談、差別事例を共有し、事例の集積・分析をおこない、関係法令改正のための基礎データとして活用していく。

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5.教育

障害のある子どももない子どもも、地域の幼稚園や保育所等、小中学校の通常学級・高校、大学・専門学校等で共に学び育つインクルーシブ教育の仕組みを作り、実践を推し進めるための活動をおこなう。

引き続き国に対するはたらきかけとともに、地域の活動についても積極的に支援・協働する。

(1)法令の改善等に向けた取り組み

総括所見が出された後も、文科省はそれまでの方針を全く変えることなく、「多様な学びの場」と称して特別支援教育の下で分離・選別を続けている。

2022年12月に公表されたアンケート(「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」)では、通常の学級に8.8%教育的支援が必要な児童生徒が在籍する可能性があると、10年前の調査より約2%高い数字が示された。

今後も文科省の方針が変わらない限り、さらに多くの児童生徒が「できる・できない」という観点で、通常学級から分けられていくことは明らかである。

この現状の下で、障害のある児童生徒・保護者が希望する就学・就級ができるようにすること、在学時に必要な合理的配慮を得られるようにすること、特別支援学級の担任配置に変わる新たな教員配置など、現制度において調整・変更の可能性があることを、追及していくことが必要である。

また同時に、障害者に対する教育は、学校教育法等によって障害の克服という医学モデルで定められている等、分離が続く本質的な原因に対して問題提起やはたらきかけが必要である。

これらの課題に対して、文科省の初等中等教育局と粘り強く意見交換をおこなっていくこと、2023年協定を結んだ「特定非営利活動法人DPI日本会議と東京大学大学院教育学研究科とのフルインクルーシブ教育事業に関する協定」を進めていくこと、また世論全体にはたらきかけるために障害者自身の声を発信するなど、具体的な方策をおこなっていく。

また学校バリアフリーについては、2025年度末までの数値目標達成に向け、エレベーター設置等が加速されるよう、文科省・自治体へのはたらきかけを続けていく。また並行して2025年度以降の計画見直しについて、多くの当事者が委員として入れるような検討会を持つよう、文科省へはたらきかけていく。

(2)地域での取り組みと関係団体との連携

各地の小・中学校における医療的ケア児の看護師配置、校外学習を含めた保護者付き添いや修学旅行等の費用負担問題、就学指導のあり方や合理的配慮の実態、差別発言等の差別的な対応、高校入学における定員内不合格問題、学校バリアフリーの整備などについて、DPI加盟団体等を通じて把握し、制度を変更する取り組みに結びつけていく。

また高校を含む小・中学校での通級指導教室について、本人・保護者が望まない通級への誘導がないかを把握し、必要に応じてはたらきかけを行う。

2023年フルインクルーシブ事業の協定を結んだ東大大学院教育学研究科とは、学内集中講座の開催以外についても、教員免許取得の実習先に自立生活センターを加えることや、地域市民団体と連携した自治体へのはたらきかけ、インクルーシブ教育を進める教員配置などの法整備・仕組みづくりについて協働を進める。

また東京都立高校でおこなう、インクルーシブ体験プログラムの提案や授業などについても積極的に取り組んでいく。

学校バリアフリーについては、各地の好事例や情報を広く伝えるとともに、学識関係者とも連携し、自治体への計画策定の要望などを含め、有効な方策を地域団体と一緒に取り組むよう進める。また学校バリアフリーは単なる環境整備ではなく、インクルーシブ教育を実現するための社会モデルを広げる方策として周知していく。

2016年度から始めた「インクルーシブ教育推進フォーラム」を2024年度も開催し各地のインクルーシブ教育の拡充・啓発を進める。

また若い障害者がインクルーシブ教育への理解を深め、運動の主体となるための取り組みとして教育研修をおこなう。参加者が教育課題に継続的な関わりを持ち、深めていけるよう内容を検討していきたい。

教職員への障害者の採用・人事配置については、引き続き「障害のある教職員ネットワーク」と連携をとりながら運動を展開していく。

また2023年度から始めた、AAR(難民を助ける会)等、NGO団体との勉強会・情報交換会は、インクルーシブ教育の実現に向け、国際的視点から日本の教育を捉え直していくものとして、継続していきたい。

(1)(2)を通じて、DPI内部の部会を超えた連携に加え、これまで以上に他団体との連携を強化していくことが必要になる。公教育計画学会等の教育関係団体、JILおよびJILの教育プロジェクト(JIEP)、地域でインクルーシブ教育の取り組みを進める団体(親の会等)との連携・交流を引き続き進めていく。

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6.雇用・労働・所得保障

(1)雇用・労働

DPIは、障害者雇用について、権利条約に基づく平等性と労働者性を確保し、障害の有無や種別及び程度等に関わりなく共働できる職場及び雇用・労働環境の実現と、総括所見で指摘された課題を改善するために、厚労省へのはたらきかけと関係団体と連携した取り組みを進める。

一般就労、福祉的就労及び第三の働き方とされる社会的事業所等の課題については、「障害者の安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟(インクルーシブ雇用議連)市民側」と連携して取り組む。

また、新たな課題である「障害者雇用代行ビジネス」についても連携して取り組むが、法定雇用率の引上げや除外率の引下げが「障害者雇用代行ビジネス」を促進することを理由に反対する意見には、DPIとして容認しない姿勢を明確にする。なお、一般就労については、日本労働組合総連合会(連合)、全日本自治団体労働組合(自治労)とも、引続き連携して取り組む。

具体的な課題としては、障害者の一般就労について、あらゆる場面において障害のない人と同等の機会、処遇を確保するとともに、障害に基づく差別の禁止と合理的配慮を確保し、働き続けることができる職場及び雇用・労働環境を整備する。

そのために特に重訪の利用範囲の拡大など、必要な支援制度等の見直し、福祉と雇用施策の横断的利用、実効性ある相談体制の構築、2019年の改正障害者雇用促進法の附帯決議の実現に取り組む。なお、除外率・除外職員制度の撤廃も引き続き取り組む。

就労継続支援A型等の福祉的就労については、一般就労への円滑な移行や利用者負担の撤廃及び賃金改善等のための取り組みを進め、社会的事業所等といった第三の働き方に関する議論を深める。

国際的には、国連が定めた「ビジネスと人権に関する指導原則」を受けて日本政府が策定した「行動計画(NAP)」の実施と充実を求める「ビジネスと人権市民社会プラットフォーム(BHRC)」に、障害当事者で構成する唯一の幹事団体として参画し、DPIとしての視点から意見反映に努める。

DPIに寄せられている労働相談や訴訟等については、それぞれの状況に応じて対応する。

なお、2024年度も引き続き障害者雇用支援月間である9月には、「障害者雇用・労働フォーラム2024」の開催と厚労省との意見交換を実施する。

(2)障害者の所得保障の確立

権利条約第19条及び総括所見に基づき、障害者の地域生活を保障し、施設や病院での長期入所・入院を余儀なくされてきた障害者の地域移行を促進し、以下の取り組みを進めるために関係団体との連携を模索する。

  1. 障害基礎年金を障害者の生活維持が可能な水準に引き上げることを求める
  2. すべての無年金状態にある障害者の解消を年金制度改正により求める
  3. 特別障害者手当の支給要件等の見直しと「地域生活支援手当(仮称)」の創設を求める
  4. 生活保護基準引き下げ訴訟(いのちのとりで裁判)を注視する

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7.障害女性

権利委員会の総括所見でも強く求められた複合差別解消に向けて、2024年度は、障害者基本法改正が視野に入ってきた中、総括所見が確実に反映されるよう、時機を逸することなく取り組んでいく。特に、これまで同様、女性ネットと連携しておこなってきた政策委員会の各委員へのはたらきかけを更に丁寧に行っていく。

優生裁判については、引き続き、裁判を一日も早く終結させ、原告の皆さんへの完全なる謝罪と補償を実現させるため、関係団体と連携しながら、引き続き支援に取り組んでいく。そして、立法機関と行政機関に深い反省を促し、優生思想のないインクルーシブ社会の実現に向けて実効性のある施策を実現するよう今後ともはたらきかけていく。

12月の政策論の障害女性分科会においては、引き続き、複合差別の実態や現状の課題などを学ぶ学習会を持つ。

2024年度も、女性ネットによるSJF事業の北海道・愛知県・東京都の報告会が予定されている。2023年度に続き、残り三回の報告会についても協力する。特に、最後の東京都での報告会は、締めくくりの会という点とオンライン併用開催という点で、DPIとしても開催への支援や協力に取り組むこととしたい。

障害者虐待事例が後を絶たない。意思に反した異性介助を含む、障害女性への性被害防止への適切な対策について、今後とも関連団体と連携しながら国や自治体に求めていく。

いずれの取り組みも、今後とも女性ネットと連携して進めていく。

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8.国際協力

(1)世界とアジア太平洋での活動

世界DPIは創設時のビジョンが継承されず、各国のクロスディスアビリティの団体を代表する権利擁護団体としての活動が見えてこない。

新体制の財務担当役員である韓国DPIイ・ヨンソク会長を中心に、グッド・ガバナンスのある団体となるための精力的な活動を支援・協力していく。

DPIアジア太平洋ブロック評議会の一員として、その事務所の機能強化と、活動推進に寄与する。そのため韓国で9月に予定されているブロック総会には、組織の発展・強化のため積極的に参加する。

DPIアジア太平洋ブロック評議会は2023年からの国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)第四次アジア太平洋障害者の十年推進ワーキンググループの一員となったので、DPI日本会議内でインチョン戦略・ジャカルタ宣言の運用ガイドの理解を深め、実施に努める。

(2)途上国、特にアフリカや南米の障害者のエンパワメント

南アフリカ共和国でのJICAの草の根技術協力事業の第3フェーズ「南アフリカ国障害者自立生活センターの拡大と持続的発展」の開始を受けて、プロジェクトに取り組む。コロナ禍等による長期の活動空白期間でカウンターパートであるレメロス自立生活センターの布陣も変わったので、スムーズな実施のため、ハウテン州とともに連携を再構築していく。

ブラジルの障害インクルーシブな保健事業の開始を目指して、JICAが調査結果に基づいてこのプロジェクト案件が実施されることを期待している。

課題別研修「障害者権利条約の実践のための障害者 リーダー能力強化」は2年目をむかえ、テーマを地域移行と自立生活センターの地域での活動を中心に、松山市にあるDPI加盟団体のCIL星空での研修を含めプログラムを構成していく。

10月15日から3週間の期間で、10~12か国(10~12人)の来日が決まっているので、研修の成果が2023年度と同様それぞれのロードマップとして示されるように進める。

(3)SDGs関連の活動の推進

SDGsジャパンでは障害ユニットで引き続き発言していく。さらに障害問題への関心を高めるため、他のユニットでも提言を行っていく。

政府は「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針改訂版」ではSDGsでの障害を無視できなくなったようである。2024年度から年度毎のアクション・プランの作成がなくなり、その代わりといわれているロードマップでどれほど政府が関心をもっているか注視したい。

9月に国連本部で開催される「未来サミット」では、SDGs終了後の方向性が示されると思われるので、ポストSDGsを目指し情報収集を行っていく。

SDGsの観点から、先進7ヵ国首脳会議(G7)の重要性に鑑み、イタリアで行わる2024G7に注目し、イタリアDPIのジャンピエロ・グリフォ氏と連携しながら障害のインクルージョンに関する初の大臣会合を注視していく。

(4)世界の災害等への対応

2023年度は紛争の年と言われたが、そのどれもが解決に至っていない事実を踏まえて、救援の機会を作っていく。現時点では、ガザの障害者支援の道筋ができたので募金キャンぺーンを開始する。

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9.尊厳生

2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけが2類相当から5類感染症へと変更となったが、冬期間など時期によっては障害者本人が感染する例もあり、亡くなってしまうケースやヘルパーの感染拡大等、介助体制等に深刻な影響が続いている。

国では、事務連絡等で病院に対し、重度障害者の入院等について受け入れを促す通知を発出するも、医療機関によっては入院を拒否するケースがある。今後もトリアージという名の障害者差別に対しても、監視していく。

2024年度は、全国集会分科会で京都市の嘱託殺人事件について取り上げる。また継続して議論できるよう、オンライン等を活用した勉強会等を開催する。

権利条約第10条「生命に対する権利」の視点から、法改正・法制度の見直し等の動きも注視し、必要に応じて意見書等を発表する。

さらに部会の活性化と世代交代を見据え、関係団体への声掛けをおこない、若い世代にも積極的に呼びかけ、活動参加者を広げていくとともに、他団体、学会、有識者との連携も強化したい。

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10. 優生保護法と優生思想

優生保護法は障害者を不良な子孫と位置づけて、性と生殖の健康・権利(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)を否定し、そのことにより優生思想を広く社会全体に根付かせた。

しかし、国は未だ憲法違反を認めず、反省も謝罪もせず、国家賠償請求訴訟においては、控訴・上告受理申し立てを行っている2024年の夏にも最高裁判決が出されると予想されているが、判決を待たずとも早期全面解決が実現するよう、2024年度も優生連の活動に参画し、全国原告団や全国被害者・家族の会、全国弁護団と連携して活動をおこなう。

また、北海道・江差町の「不妊措置」問題のような、母体保護法下での不妊手術や中絶手術の強要がおこなわれることがないよう再発防止への取り組みに向け、事業所や地方自治体、国などにはたらきかける。

現在もなお、障害者の妊娠・出産・育児は、特に医療や福祉現場で肯定的に捉えられず、十分な育児支援が保障されていない。そのため、障害者の育児をさらに困難なものとしている。子を持つことを願う人に対して、障害があるなしに関わらず、適切な支援が権利として保障されるべきであり、福祉サービスの充実が急がれる。

その他、生殖医療に関する法律や検討会などの審議において、障害者が排除されるような動きがないかを注視していく。

  1. 優生連に、引き続き構成団体として参画する。
  2. 最高裁判所への傍聴や、地域の裁判傍聴や支援する会、集会等に積極的に参加するとともに、DPIメールマガジンやホームページ上で参加を呼びかける。
  3. 「不妊措置」問題に関する全国的な調査・検証をおこなうよう国及び自治体に要請する。
  4. 障害者の育児支援をより充実させ、地域間格差の解消を図るため、国及び自治体にはたらきかける。
  5. 母体保護法下での優生手術被害者の尊厳回復に向けて、取り組む。
  6. 出生前診断や着床前診断を含めた生殖医療において、優生思想を助長する動きがあった場合には、関係団体とともに広く連携をしながら取り組みを進めていく。

以上の活動を通じて、総括所見を実現し、優生思想の歴史に終止符を打つ取り組みを進める。

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11.欠格条項の廃止

2023年に引き続き、障害のある人の人生を狭め、社会の差別・偏見を助長する欠格条項、地方例規の制限条項の一刻も早い完全撤廃に向けて、省庁や自治体の個別対応にとどまらない、政府としての取り組みが進むように情勢を注視し、はたらきかけていく。

欠格条項の現状と課題について、「なくす会」のメンバーとより一層緊密に連携を取り、情報や課題を共有していく。

あわせて、「障害者差別解消ピアサポート」や各部会等、DPIに持ち込まれる様々な差別事例や相談の中に、欠格条項に基づく事例がある場合、関係者の了解を慎重に得た上で、「なくす会」とも共有していく。

欠格条項廃止のための一括的な見直しを求めつつ、中期課題として総括所見で指摘された「国及び地方自治体の法令において、『physical or mental disorder(心身の故障)』に基づく欠格条項等の侮蔑的文言及び法規制を廃止すること」を受けて、国内法・施策整備が求められる。

国会や各種委員会等の公的な政策検討の場での提言やヒアリング、パブリックコメント募集の機会における意見表明のはたらきかけなど、DPIの関連部会等やDPI加盟団体等とも協働し、活動をおこなっていく。

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12.文化芸術

「障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワーク」に引き続き参加するとともに、DPI加盟団体の協力も得て「日本博」等のプログラム実施に取り組む。

2024年4月からの改正障害者差別解消法における、すべての事業者に対する合理的配慮の提供義務化を受け、東京オリパラのレガシーを引き継ぎ「文化芸術分野における合理的配慮とそのための環境整備」が進むよう取り組む。

具体的には、映画館、劇場、コンサートホール等のバリアフリー化、各種コンテンツへの手話・字幕・音声ガイドの付与等の情報アクセシビリティの整備とともに、合理的配慮が適切に提供されるよう、事業者にはたらきかけていく。その際、観客という立場に限らず、出演者・登壇者として障害者が舞台にあがることも想定した合理的配慮・環境整備を求めていく。

とりわけ、「2025大阪・関西万博」に関して、ハード面はもちろん、展示・催事などコンテンツ、プログラムにおけるユニバーサルデザイン・バリアフリー化が着実に進むよう、障害当事者としての意見提起を進めていく。

そして、万博会場の内外で障害者文化芸術関係のイベント・プログラムが全国的に展開されるように取り組む。こうした実践的な取り組みを通じて、文化芸術分野における必要な環境整備や合理的配慮についての理解をさらに深め、インクルーシブ社会の実現につなげていく。

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13.次世代育成

若手メンバーの実践の場として「差別解消法プロジェクト」は2023年度の対応指針へのはたらきかけで一区切りをつけた。今後は、若手メンバーのフォローアップとして、少人数での勉強会や意見交換、各種検討会の傍聴等に取り組んでいく。

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Ⅱ 広報・啓発事業

2024年度は事務局体制整備に努め、2023年度以上の広報強化を目指す。

引き続きホームページを中心とし各媒体と連動させた広報・啓発活動をおこなうことで、政策提言・権利擁護活動をはじめとする多岐にわたるDPIの活動内容をより多くの人に知ってもらい、支援者・賛助会員を一人でも多く増やすよう注力する。

活動案内・報告に加え、国内外の障害者関連法制や障害者問題について分かりやすく解説をした記事を作り、閲覧者にとって、より有益な情報を提供できるようにする。

さらに、既存のコンテンツの定期的な見直しを進め、より分かりやすく見やすいホームページにするようアクセシビリティの向上に努め、バナー広告の新規獲得も目指す。

毎月初めの定例となっている「ここに注目!メールマガジン」については、国の動きや障害者運動に関わるトピックを横断的に見ることができる媒体として充実を目指す。

冊子「DPI通信」は、ホームページの内容を凝縮させるとともに、紙媒体で読みたいというニーズにも対応している。「DPI通信」でしか読めない記事も掲載するなど、発信力の強化に努める。

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Ⅲ 普及・参画事業

1. 加盟団体への支援、ネットワーク強化に向けて

2024年度も全国各地で、総括所見を踏まえた行動計画を話し合うタウンミーティングを実施する。また、各部会の企画等も積極的に展開する。これらを通じて、DPI加盟団体との関係をより一層強化する。

さらに、総括所見を活用し、障害者基本法の改正をはじめとする法制度の拡充を目指し、DPI加盟団体と連携した運動を展開する。

また、各地で取り組まれている条例づくりへの支援、各分野に精通した講師の派遣も実施し、ネットワークを強化し、さらなる運動の展開を図る。

2. 講師派遣、点字印刷

権利条約、差別解消法、総合支援法、バリアフリー法等をテーマとした講師派遣を継続しておこなう。行政機関から一般事業者まで、様々な対象者に合わせた資料等の準備をおこない、障害者関連施策の普及に努め、社会モデルの理解促進を図る。

DPIが主催するイベントや学習会等はもちろんのこと、各地の障害者団体が主催するイベント等に対し、点字資料や点字データ、テキストデータの作成をし、視覚障害者等への情報保障を担う。

講師派遣事業、点字印刷事業ともに、新規顧客の獲得に努め、様々な場面での広報活動も積極的におこなっていく。

3. DPI障害者政策討論集会

第13回政策論は、12月7日(土)、8日(日)にオンライン形式で開催する。DPIとしての政策方針と活動の検証を行う場として、重要な機会となっている。各部会等の活動の中から、現状の課題を検証し、登壇者の報告、参加者との議論を活発におこなうことにより、今後のDPIの活動に活かしていく。

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Ⅳ 権利擁護に関する事業

DPI障害者差別解消ピアサポートは、「障害者権利条約の完全実施」に向けて、障害者差別および虐待に関すること、及び、合理的配慮に関することに集中して対応している。寄せられる相談への取り組みを継続しつつ、集積された問題を分析し、DPIとしての政策提言のはたらきかけに貢献できるようにしたい。

差別解消法は2024年4月から、すべての事業者に合理的配慮の提供が義務化された。しかし、雇用分野では改正障害者雇用促進法で既に合理的配慮の提供が法的義務となっている。

それにもかかわらず、精神障害者の就労関係の相談が増加傾向にある。根強い差別や偏見はもとより、当事者として必要な配慮を訴えることに相当の困難が伴い、職場での合理的配慮について定期的なコミュニケーションを通じた確認が困難となる。苦情処理・紛争解決の仕組みについて機能していないことが懸念される。

内閣府は2023年10月「つなぐ窓口」を試行的に設置した。これは、障害者差別の解消に向けて障害者や事業者等から電話やメールで相談を受け付け、関係省庁や自治体の相談窓口に円滑に取り次ぎを行うことを目的としている。「つなぐ窓口」を活用し、実効性のあるものとしていきたい。

2024年度も、難病・障害当事者6名の体制で、一部はテレワークによる電話相談、メール相談、面談の相談業務をおこなう。

毎月一回事例検討会議を開催し、対応した相談について差別分類作業をするとともに、相談員の意見交換や情報共有の機会を増やし、協力体制の充実等を図る。また、障害者に対する差別及び虐待の相談事例集の新たな作成に向け取り組んでいきたい。

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Ⅴ 組織体制整備

1.会員および支援者の増大にむけて

多くの方にDPIの活動について関心を持っていただけるよう、各情報発信媒体(Facebook、メールマガジン等)を使って具体的にわかりやすく発信を続け、徐々に定着してきたクレジットカード決済をさらに活用し、寄付のしやすい環境になるよう整備を進める。

2024年度も引き続き、DPIの活動への理解を広め、周知を図り、加盟団体のない地域における正会員、賛助会員、寄付や支援を獲得できるよう努める。

2.事務局の体制整備について

コロナ禍を経てテレワークが普及したため、在宅勤務と事務所勤務を併用していく。特に、事務局員内での情報共有やコミュニケーションを、これまで以上に丁寧に行うことが大切であると考えている。

DPIの役割、ならびに求められる業務内容の複雑・多岐化に対応すべく、事務局内の体制を見直し、引き続き事務局体制および環境整備等をおこなう。

3.財政および予算執行について

DPIの運動の周知および安定的な財源確保のため、DPI加盟団体や関係団体を中心に財政支援の呼びかけ、会員の確保を積極的におこなう。

また、各部会・プロジェクト内での予算執行状況の管理など、担当部会及び担当者と事務局との共有を図ることで、スムーズな運営に繋げていく。

4. 部会とプロジェクト

(1)部会について

2014年度からテーマ別に8つの部会(地域生活、バリアフリー、権利擁護、教育、雇用・労働・所得保障、障害女性、国際協力、尊厳生)を設けて運動を展開してきた。

2024年度も部会メンバーを拡充し、部会単位で対面やオンラインなど多様な形式でのセミナー等を企画・開催するなど、さらなる活性化をめざす。

(2)プロジェクトについて

重点的な課題についてはプロジェクトを立ち上げて取り組む。

① 障害者権利条約の審査・総括所見を活用した国内法制度整備事業(公益財団法人キリン福祉財団助成事業)

2022年度から3年間の事業として継続して実施している。

2022年度は総括所見を分析し、行動計画を作成し、2023年度はDPI2030ビジョンのバージョンアップとタウンミーティングを実施した。

2024年度は引き続き各地でタウンミーティングを開き、総括所見の内容をDPI加盟団体等に普及啓発し、国に対しては障害者基本法の改正を目指し、自治体レベルでも条例等の改善につなげていく。

② DPI総括所見プロジェクト

2022年に国連障害者権利委員会から日本政府に出された総括所見を踏まえ、権利条約の国内実施を進めるように、DPIが取り組む政策実現について検討し、企画立案をする。

③ カナダに学ぶ脱施設プロジェクト

2024年度からの2年間のプロジェクトとして、脱施設化推進の取り組みをおこなう。

カナダではピープルファーストと親の会が協力して脱施設マニュアル「正しい道」を策定し、施設からの地域移行に取り組んできた。DPI、JIL、ピープルファーストジャパン、研究者等で勉強会を立ち上げ、カナダの取り組みを学習するとともに、2年目にはカナダの視察もおこないたい。

また、パンジーメディアが制作した映画「大空へはばたこう~自立への挑戦~」の上映会とシンポジウムを各地で開催し、DPI加盟団体と協力し脱施設化の機運を高めていく。2年間の取り組みを通して、日本での脱施設化のうねりを作っていく。

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