第7回DPI障害者政策討論集会の御礼、報告まとめ
2018年12月26日 イベント
12月1日(土)、2日(日)に開催いたしました第7回DPI障害者政策討論集会に、暮れのご多忙の中、ご参加、ご協力いただきまして誠にありがとうございました。
お陰様で全国各地から総勢230人にご参加をいただき、盛況のうちに開催することができました。
1日目の全体会におきましては、「JDFパラレルポート特別委員会によるレポート作成経過と今後の取り組み」をテーマに、国連障害者権利委員会委員の石川准さんに、ジュネーブでの委員会の審査の状況や、新しい委員会委員の構成について情報をいただきました。これまで女性が1名でしたが、今回6名になり、ジェンダーバランスが改善されました。
しかし、中心におられたベテランが引退されてパワーダウンが否めない点、身体の方が更に増え障害バランスという意味から心配な点もあるようです。
その他にも、石川さんのお話しから、女性差別撤廃条約と障害者権利条約でやや見解が異なる「リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツ」の問題については、今後も丁寧に議論を進めていく必要があると感じました。
2020年に国連での日本の建設的対話が行われる予定となっています。
今、JDFでもパラレルレポートの作成のための加盟団体による真剣かつ丁寧な議論が進められています。
DPIもその一角を担っています。
石川さんの報告の後、尾上浩二(DPI副議長、内閣府障害者施策アドバイザー、JDFパラレポ特別委員)からの全体報告があり、その後、佐藤久夫さん(JD理事、JDFパラレポ特別委員)と崔栄繁(DPI議長補佐、JDFパラレポ特別委員)による、JDFパラレポの進捗状況が報告されました。
特に19条と24条については、団体により意見をまとめることが難しい様子がよくわかりました。
基本的には、日本が批准している国連障害者権利条約の実現が求められていることを確認していきたいものです。
各議論の詳細については、後ろの報告でご確認いただきたいと思います。
どの分科会も時機を得た、重要なテーマです。
特に、今、全国的に訴訟が起こされている「優生裁判」については、原告の皆さんや支援者の皆さんとともに、参加者の経験なども披歴され、問題の深刻さが浮き彫りになり、優生思想への闘いが改めて確認されました。
今年は、官公庁による障害者雇用水増し問題が明るみに出ました。障害者にここまで酷い対応をしてきたのかと、怒りと無力感が私たちを襲いました。
しかし、この事件を好機と捉え、インクルーシブな障害者の雇用環境を実現させ、差別のない採用試験に改めさせ、公的分野でも障害を持つ職員が真に増え、本来の民間の範となっていくまで、しっかりと見守りたいと思います。
そのためにも、私たちDPI日本会議は、それを実現していくリーダーとしての責任を自覚し、取り組みを強めていきたいと思います。
障害を持つ私たちも含め、多様な条件を持つ人たちが当たり前に命の営みを保障され、安心して仕事や活動を進め、それぞれが思い描く人生を全うできる「差別や分断のない地域社会」を作ることこそがDPI日本会議の使命と考えるからです。
今後とも、この国の仕組みや法律、人々の認識や風土を変えていく地道な闘いを続けてまいります。
これからも戦略的に様々な団体と連携して使命の遂行に邁進していく所存です。
どうぞ、今後ともDPI日本会議の活動、及び活動の一環であります「障害者政策討論集会」へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
議長 平野 みどり
当日の様子、プログラム(敬称略)
▶▶1日目:12月1日(土)(10:00~16:00)
▶全体会「JDFパラレルポート特別委員会によるレポート作成経過と今後の取り組み」
■特別報告1:障害者文化芸術プロジェクト報告
報告 下林 慶史(日本自立生活センター事務局長、DPI常任委員)
■特別報告2:障害者雇用水増し問題について
報告 西村 正樹(DPI副議長)
■全体会「JDFパラレルポート特別委員会によるレポート作成経過と今後の取り組み」
◯全体報告: 尾上 浩二(DPI副議長、内閣府障害者施策アドバイザー、JDFパラレポ特別委員)
◯国際比較: 石川 准(国連障害者政策委員会委員、静岡県立大学教授)
◯各担当部分: 佐藤 久夫(JD理事、JDFパラレポ特別委員)、崔 栄繁(DPI議長補佐、JDFパラレポ特別委員)
・コーディネーター:平野 みどり(DPI議長)
▶▶2日目:12月2日(日)(10:00~16:00)
▶午前の部(10時~12時30分)分科会
▶分科会1 地域生活「障害者総合支援法、何を守り何を変えるのか」
■パネルディスカッション
◯パネリスト:
・菊池 芳久(厚生労働省障害福祉部障害福祉課課長補佐)
・久保 厚子(全国手をつなぐ育成会連合会会長)
・今村 登(DPI事務局次長、STEPえどがわ理事長)
〇コメンテーター:尾上 浩二(DPI副議長、内閣府障害者施策アドバイザー、JDFパラレポ特別委員)
〇コーディネーター:平野 みどり(DPI議長)
▶分科会2 所得保障「障害者の生活保障の現状と課題~生活保護基準引き下げと障害年金を中心として~」
■報告
「障害者の生活保障の現状と課題」
平川 則男(日本労働組合総連合会総合政策局総合局長)
■シンポジウム「生活保護と障害者年金制度の現状と課題」
◯シンポジスト:
・大西 連(自立支援サポートセンター・もやい理事長)、
・宇都宮 健児(反貧困ネットワーク代表世話人)、
・西田 えみ子(1型糖尿病障害年金問題訴訟原告)、
・川西 浩之(生活保護受給者)
〇助言者:平川 則男
◯進行役:西村 正樹(DPI副議長)
▶分科会3 障害女性「優生保護法への取り組み~全国各地の裁判の報告と立法措置基本方針案、今後に向けて」
■報告
「今の思い」安積 遊歩(DPI女性障害者ネットワーク立上げ時メンバー、ピアカウンセラー)
「各地の優生手術裁判状況」
・宮城:横川ひかり(優生手術被害者とともに歩むみやぎの会)
・北海道:山崎 恵(DPI北海道)
・熊本:[司会代読]平野 みどり(DPI議長、DPI女性部会長)
・兵庫:藤原 久美子(神戸Beすけっと事務局長、DPI常任委員、DPI女性障害者ネットワーク代表)
・東京+立法措置基本方針骨子について:大橋由香子氏(優生手術に対する謝罪を求める会)
■小グループでのディスカッション
■全体討議、まとめ
●昼食休憩 12:30~13:30
▶午後の部(13:30~16:00)分科会
▶分科会4 権利擁護「社会的入院と身体拘束~自由・生命への脅威、精神科医療の今を問う~」
■基調報告
長谷川 利夫(杏林大学教授・精神科医療の身体拘束を考える会・病棟転換型居住系施設について考える会)
■パネルディスカッション
◯パネリスト:長谷川 利夫、佐々木 信夫(弁護士)、身体拘束経験者
〇コメンテーター:加藤 真規子(精神障害者ピアサポートセンターこらーるたいとう代表、DPI常任委員)
◯ファシリテーター:辻 直哉(愛知県重度障害者団体連絡協議会、DPI常任委員、DPI事務局次長)
〇総合司会:曽田 夏記(自立生活センターSTEPえどがわ、DPI特別常任委員)
▶分科会5 教育「障害者権利条約の審査~教育分野のパラレルレポートと国内法の課題」
■報告
○川崎市就学裁判について~差別解消法からのアプローチ:大谷 恭子(弁護士)
○教育分野のパラレルレポート
・インクルーシブ教育の実現に必要な法改正:崔 栄繁(DPI議長補佐)
・パラレルレポートの日教組取りまとめについて:
佐伯 安彦(日本教職員組合中央執行委員、教育文化局インクルーシブ教育部長、障害児教育部長)
・障害児を普通学校へ・全国連絡会からのパラレルレポート案:
片岡 次雄(全国連パラレルレポート作成委員会)
▶分科会6 国際協力「SDGsを私たちの手に~障害とSDGsの身近な関り」
■基調講演1
「SDGsと私たち~誰も取り残されない社会に向けて」
黒田 かをり(一般財団法人CSOネットワーク事務局長・理事)
■基調講演2
「EUにおける障害とSDGsの関わり~権利条約の視点から」(ビデオ講演)
Jean Luc Simon(DPI世界会議評議員)
■私たちとSDGsの関り
・イントロダクション:中西 由起子(アジア・ディスアビリティ・インスティテート代表、DPI副議長)
・リレートーク:SDGsと私たち~あなたからの要望
◯指定発言:ALS、難病、女性障害者、盲ろう、難聴、精神障害、LGBTIの当事者
・まとめ「SDGsを私たちの手に:“実施指針”への提言」
◯パネリスト:黒田 かをり、中西 由起子
◇主催:認定NPO法人DPI日本会議
◇後援:日本労働組合総連合会、全日本自治団体労働組合、日本教職員組合、東京都労働組合連合会、日本放送労働組合、自治労東京都本部、全日本水道労働組合、全水道東京水道労働組合、全国労働組合連絡協議会、自治労都庁職員労働組合、東京交通労働組合、東京清掃労働組合、(宗)真如苑