12/1(土)DPI政策論「全体会」報告
「JDFパラレルポート特別委員会によるレポート作成経過と今後の取り組み」
2018年12月25日 イベント雇用労働、所得保障障害者権利条約の完全実施障害者文化芸術
12月1日(土)DPI障害者政策討論集会で開催しました「全体会報告」を、生井祐介さん(つくば自立生活センターほにゃら)に書いていただきましたので、ご紹介します!
(敬称略)
はじめに司会の平野みどりDPI議長から、「2020年、いよいよ国連で日本政府のレポートの審査を受け、そこに私たちの報告が加味され、有意義な、中身のある勧告を引き出したい。
いま私たちはそれぞれの分野で準備を進めています。今日は2日間にわたって、障害者権利条約の完全実施を!2020国連審査をバネにということで、この政策討論集会をはじめます」と挨拶がありました。
その後、来賓の方々からご挨拶いただき、最初のプログラムに入りました。
当日は、川田龍平参議院議員(立憲民主党)も駆けつけてくださり、ご挨拶頂きました!
キリン福祉財団助成事業「障害者文化芸術プロジェクト」報告
報告者:下林 慶史(日本自立生活センター、DPI常任委員)
最初は公益財団法人キリン福祉財団助成事業の一環である「ソーシャルインクルージョンの視点に基づく障害者文化芸術」プロジェクトの中間報告を、常任委員の下林が行いました。
三重県で行った上映会の様子や静岡での上映会の予告※、そして「エンパワメント&エンジョイ」という言葉に象徴されるように、文化芸術活動が今後いっそう障害者のエンパワメントに資することが報告されました。
※来年1月20日(日)「観て知ろう!バリアフリー映画上映」を静岡で開催します。
前日19日(土)同じ建物で「差別事例をもとに考えるワークショップin静岡」を開催しますので、是非ご参加ください。
「障害者雇用水増し問題について」
報告者:西村 正樹(DPI日本会議副議長)
次に、副議長の西村正樹より、「障害者雇用水増し問題」について取組の報告がありました。
この問題は到底看過できるものではないため、分科会ではなく、あえて全体会で参加者全員で共有することとしました。
障害者を雇用するための真剣な取り組み、あるいは法令遵守ということを、公務部門が放棄してきたことが、明らかになったのです。
DPI日本会議として引き続き取組みを続けていくことが確認されました。
▽声明:国及び地方自治体の障害者雇用水増しに対するDPI日本会議声明(2018年8月24日)
「JDFパラレルポート特別委員会によるレポート作成経過と今後の取り組みについて」
全体会の「JDFパラレルポート特別委員会によるレポート作成経過と今後の取り組みについて」は、まず、DPI日本会議の尾上さんから、JDFとしてのパラレルレポートの作成について話がありました。
全体報告
報告者:尾上 浩二(DPI副議長、内閣府障害者施策アドバイザー、JDFパラレポ特別委員)
JDFとしては、2018年にJDF障害者権利条約パラレルレポート特別委員会を発足させ、障害者団体としてパラレルレポートの作成に取り組んでいることの報告がありました。
JDFのパラレルレポートは、来年春くらいに完成させて、その後、英訳の作業に入るそうです。
国連の権利委員会からは、来年の秋くらいに、事前質問事項が日本政府に出されるそうです。
そして、2020年春になると思われている国連の障害者権利委員会の審査に望みます。
この国連の障害者権利委員会の勧告は、国内の障害者施策の問題解決のチャンスになるので、勧告を上手に活かして行く必要があるそうです。
国際比較
報告者:石川 准(国連障害者権利員会委員、静岡県立大学教授)
次に内閣府障害者政策委員会の委員長で、国連の障害者権利委員会の委員も務めていている石川准さんからの報告がありました。
石川さんは、今年の春と夏も障害者権利委員会の審査のために、スイスジュネーブに滞在していたお話がありました。
今年の審査で石川さんが携わったのは、春は、ハイチ、ネパールなどで、ハイチからは、多くの障害者団体が膨張に来ていたと報告がありました。
夏には、コスタリカ、パラグアイ、ニュージーランド、韓国の簡略審査を担当したそうです。
特に、ニュージーランドの審査では、ニュージーランドのIMM(独立した監視枠組み)の報告は完成度が高く、日本もニュージーランドの報告をお手本にした方がよいとのことでした。
ニュージーランドのIMMは、国内人権機関、オンブズマンオフィス、障害者団体の連合体から構成されており、第1回審査の総括所見で勧告を受けた課題の実施状況に対して、IMMとしての評価を青、黄、赤に色分けして示しており、ブリーフィングも、課題を6点に絞っておりわかりやすく説明していたそうです。
私も、昨年、ダスキンミドルグループ研修でニュージーランドを訪れ、このIMMに加わっている人権機関、障害者団体のDPA、そして、政府内にある障害者問題局(ODI)を訪問し、国連の障害者権利条約に対する取り組みなどを聞いてきました。
その話の中では、障害者権利条約を国内に広めるために、障害戦略やアクションプランを作成していることなどを聞いてきました。
このように、ニュージーランド政府が障害者権利条約に対して真摯に取り組んでいる姿勢が石川さんの報告からもうかがえました。
石川さんの報告は、その他に、審査する国に対しては、非公式な会談を行ったり、障害者団体からのブリーフィングに参加することなどがあり、権利委員会の委員はハードワークで大変疲れる仕事であることが報告されました。
各担当部分
報告者:佐藤久夫(JD理事、JDFパラレポ特別委員)、崔 栄繁(DPI議長補佐、JDFパラレポ特別委員)
次にJD理事で、JDFパラレポ特別委員の佐藤久夫さんから報告がありました。
JDFのパラレポは、第1条から第4条までの総論的な部分を1つにまとめて作成中で、①人権モデル/社会モデルの採用、②手話言語の認定、③支援機器の利用とフォローアップ、④地域格差の解消、⑤欠格条項の廃止、⑥障害者の参加、⑦選択議定書の批准、⑧日本語への訳語の問題の8つの点で報告する予定だそうです。
また、日本政府に権利委員会から出される事前質問事項がどのようなものが出されることが望ましいのかをJDFとして考え、質問案も考えているそうです。
さらに、権利委員会が日本に対して改善の勧告をする勧告文も、こういう勧告文を出して欲しいと言う勧告文案も①から⑧について作成したそうです。
パラレポ検討委員会では、まず、この勧告案を想定してそれに対応する質問案を作成したとのことです。そして、なぜ、その質問に勧告が必要であるかということで現状の課題を問題提起したそうです。
最後にDPI日本会議の崔さんから、報告がありました。
崔さんの担当している、19条自立した生活及び地域社会への包容、24条教育は各団体の思い入れが強く、いろいろな意見が出ており、とりまとめが難航していると報告があり、なんとか12月中には試案を作成して、1月には会議に提出をしたいとのことでした。また、DPI日本会議で昨年作成した、パラレポ案の紹介もありました。
以上で全体会の報告を終了します。国連の障害者権利委員会の審査に向けて、JDFとして着々と準備を進めていることがわかりました。
また、尾上さんの報告にあった、権利委員会からの勧告を励みに、日本の障害者政策をさらに進めて行く必要があると思いました。
報告者:生井祐介(つくば自立生活センターほにゃら)
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