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障害者雇用の質的向上と施設外就労の促進に向けて:インクルーシブ雇用議連が総会を開催

2025年04月14日 雇用労働、所得保障

インクル雇用議連総会の様子1

4月3日(木)、衆議院第1議員会館・国際会議室にて、「超党派:障害者の安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟」の総会が開催されました。会の冒頭では、加藤会長が挨拶し、新事務局長として大岡敏孝議員が就任したことが発表されました。

大岡事務局長が挨拶を述べた後、衆議院内閣委員長として委員会に戻り、その後の進行は川崎事務局長補佐が務めました。

市民側を代表して、全Aネットの久保寺氏が登壇し、障害者雇用の質的向上、施設外就労の推進、障害者統計の充実に関する市民団体の提言を発表。関係省庁からの現状報告をもとに活発な議論が展開されました。

特に、重度訪問介護の通勤・職場利用や、施設外就労を通じた一般就労への移行促進といった具体的な政策課題について意見交換が行われました。

主要な議論と発言

  1. 重度訪問介護の通勤・職場利用 宮路議員

質疑応答では、「通勤・職場での重度訪問介護の利用に関する制度的課題」について厚労省障害福祉課の伊藤課長が説明。現行制度では、重度訪問介護などの障害福祉サービスは通勤・就業中の利用が認められていないとし、代替措置として「重度障害者等就労支援特別事業」があるが、対象者が限定的であり、実施自治体も限られていることが課題として指摘されました。

  1. 施設外就労の推進と法的整合性

「施設外就労を企業の雇用率に換算する仕組み」に関する議論では、慎重な検討が必要との意見が示されました。共同連の斎藤氏は、「施設外就労は基本的に委託契約であり、一般企業同士の業務委託と同様に雇用率にカウントされることはあり得ない。企業側が雇用管理・就労管理を行わずに法律上の恩恵を受けることは、日本の法体系そのものを壊しかねない」と警鐘を鳴らしました。

  1. 中小企業における障害者雇用促進

「中小企業の障害者雇用促進策」に関する質問には、厚労省雇用対策課の西田課長が回答。現状では障害者雇用率を達成している企業は全体の46%程度にとどまり、特に中小企業の達成率が低いことが課題であると説明しました。対策として、ハローワークによる個別支援強化や助成金の活用促進が進められていることが報告されました。

インクル雇用議連総会の様子2

主な議論のポイント

インクル雇用議連総会の様子3

加藤会長の総括と今後の展望

総会の最後に加藤会長は、障害者の実態把握の重要性に触れ、特に重度訪問介護の利用に関する制度設計の再考を求める発言を行いました。また、施設外就労を通じた段階的な雇用促進の必要性を強調し、雇用の質と量のバランスを考慮しつつ、実効性のある政策を展開していく方向性を示しました。

今回の総会では、DPIが長年交渉を続けてきたテーマが改めて議論され、重度障害者等就労特別事業における支援のあり方についても踏み込んだ意見が交わされました。

今後、雇用・労働・所得保障部会と地域生活部会との連携を深め、重度訪問介護の就労時利用の実現に向けた政策提言が求められます。

報告:岡本直樹(DPI日本会議雇用・労働・所得保障部会・副部会長)


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