全ての人が希望と尊厳をもって
暮らせる社会へ

English FacebookTwitter

鰐淵洋子厚労副大臣に「総括所見を踏まえた障害福祉施策の実施に向けた要望と提案」を要望しました!

2025年03月21日 地域生活要望・声明

副大臣と記念撮影

3月19日(水)、鰐淵洋子厚生労働副大臣と面会し、「総括所見を踏まえた障害福祉施策の実施に向けた要望と提案」を提出してきました。

この間、厚生労働省では令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の中で地域生活支援拠点等の機能強化として、拠点コーディネーター配置のための新たな加算の仕組みの導入や、令和7年度に予定されている地域移行を含めた障害者支援施設の在り方検討会の設置に向けた調査研究など、地域移行を進めるための取り組みが行われています。

こうした国の地域移行に関する取り組みがより一層前進するよう、総括所見を踏まえ、入所施設や家族介護に頼ることのない地域移行の推進および地域生活の充実に向けた要望と提案を行いました。

鰐淵副大臣には大変お忙しい中、予定時間を延長して話を聞いて頂き、①重度障害者の地域生活を可能とするための国庫負担基準の見直し、②令和7年度設置予定の障害者支援施設の在り方検討会における検討内容や委員構成のあり方、③通勤・通学、就労・修学中におけるヘルパー利用を可能とする就労支援特別支援事業や大学等修学支援事業の円滑な利用に向けた改善、など最重要課題3点に絞って要望をお伝えしました。

説明してる様子"

当日は西宮市からDPI加盟団体であるメインストリーム協会の代表も上京し、西宮市の実状(窮状)を交えて市町村が重度障害者に必要な長時間介護を支給決定する際、国庫負担基準を超えた分は市町村がすべて負担することになる問題点の改善を求めました。

重度障害者が地域で生活できるようにきちんと支給決定をすればするほど市町村が持ち出す費用が増えてしまい、財政負担が重くなる。つまり頑張って良いことをしている自治体ほど窮地に追い込まれてしまうという国庫負担基準の問題については、同席していた厚労省の担当者からも同様の要望や意見は障害者団体や自治体からも聞いて把握しているという発言もあり、鰐淵副大臣も「財源の問題もあるが、障害のある人が地域で暮らせるよう、みなさんの意見を聞きながら引き続き連携して取り組んでいきたい」とおっしゃっていただきました。

また、その他の要望についてもしっかりお話を聞いていただき、「今日のお話をしっかり受け止めて少しでも反映していけるようにしたい」とおっしゃっていただきました。

令和7年度からは障害者支援施設の在り方検討会がはじまる予定となっていますが、こうした検討会での議論を通じて、さらなる地域移行の推進と入所施設や家族に頼ることなく地域で生活しつづけられるようにするための障害福祉施策の充実に取り組んでいただきたいと願っております。DPI日本会議としてもそうした方向で施策が進んでいくよう、引き続き働きかけていきたいと考えています。

報告:白井誠一朗(事務局次長)


2025年3月19日

厚生労働副大臣
鰐淵 洋子 様

総括所見を踏まえた障害福祉施策の実施に向けた要望と提案

特定非営利活動法人DPI日本会議
議長  平野 みどり

日頃より障害福祉施策の推進のご尽力いただき、感謝申し上げます。

2022年国連障害者権利委員会の総括所見を踏まえ、入所施設や家族介護に頼ることなく、より一層地域移行を推進し、障害のある人の地域生活がより充実したものになるよう、下記の要望と提案をさせていただきます。

【最重要課題】

  1. 重度障害者の地域生活を可能とするための国庫負担基準の見直しをしてください。
    自治体に大きな負担を強いることなく計画相談が尊重され、必要な人に必要なサービスを提供できるような国庫負担基準にしてください。
  2. 障害者支援施設の在り方検討会の設置に向けて
    1. 障害者支援施設の在り方の検討にあたっては、強度行動障害や療養介護を利用している重症心身障害者等も含めた地域移行を進めるための検討会として議論ができるようにしてください。
    2. 上記の検討会には地域移行に取り組んでいる当事者(知的障害のある本人含む)、支援者等を委員に入れてください。
    3. 地域生活支援拠点等の拠点コーディネーターが権利条約及び総括所見に基づいて活動できるよう、制度の根本的な在り方含めて議論してください。
  3. 通勤や勤務時に介助等を確保するため就労支援特別事業と通学、就学時に大学等修学支援事業が実施されているが、報酬単価の低さ、手続きの煩雑さなどにより円滑に利用できない状況もあることから実態調査を実施し、よりよい制度に改善すること(最善策は重度訪問介護への一本化)。

【重要課題】

  1. 重度訪問介護はすべてが障害特有のサービスだと認めてください。
    重度訪問介護利用者が介護保険の対象になった際、現状では、移動支援のみが障害特有のサービスであるとされているため、いわゆる「65歳問題」が後を絶ちません。これを解消するために重度訪問介護は居宅内のサービスを含めすべてが介護保険にはない障害福祉特有のサービスであると認めてください。
  2. 重度訪問の対象者および利用範囲の拡大(真のシームレス化を)
    1. 児童、行動関連項目10点未満の人も対象にしてください。
    2. 通勤・通学、就労・就学中も重度訪問介護をシームレスに使えるようにしてください。
    3. 入院中もヘルパー利用ができるよう、受け入れる医療機関側の理解を徹底してください。
  3. 障害福祉サービスの自己負担を個人単位にしてください。
  4. 福祉人材(介助者)の確保奨学金返済を肩代わりしたり、介護人材の家賃補助をしたりする仕組みおよび、外国人人材の採用など、自治体の取り組みも参考にしながら国において介助者を確保するための方策を検討し、実施してください。
  5. 住宅の確保策(改修含む)
    1. 障害のある人が住める住宅の確保するための家賃補助制度の創設してください。
    2. 防音設備等を強度行動障害の人ための住宅改修の費目として対象に加えてください。
  6. 無年金障害者を解消し、障害者年金の支給額を見直すこと
  7. 喀痰吸引等を実施できる介護職員等を増やすための研修制度の見直しを
    1. 不特定者の対象研修(1号・2号)の見直しとして、3号研修受講時に重複する項目を免除してください。
    2. 人材を育成するために事業所にかかる負担の軽減をお願いします。
    3. 実地研修指導者については、看護の報酬に連携加算があるように、指導加算のようなものを訪問看護事業所の報酬として設定し、介護事業所間の不公平感、負担感の軽減を検討してください。
    4. 制度上の「これ(養成事業修了)に相当する医療者」とは、テキスト内で言われている「日頃からかかわる医療者」で統一してください。

添付資料

雇用・労働・所得保障部会は、「障害のある人も共に働き、共に暮らすことのできる社会」の実現を目指し、日々活動しております。こうした取り組みの中で、厚生労働省におかれましては、「障害者の安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟(インクルーシブ雇用議連)」を通じ、議員の皆様だけでなく、市民とも連携を深めながら政策の推進にご尽力いただいていることに、心より敬意を表します。当会も、市民側の唯一の障害当事者団体として参画し、制度改革に向けた提言を重ねております。

私たち障害者が安心して働き続けるためには、単に雇用の場を確保するだけでなく、職場環境の整備や必要なサポートが欠かせません。以下の2つの項目は、現場の声を整理したものです。これらについてご検討いただくとともに、秋頃に意見交換の機会をいただければ幸甚に存じます。

1.障害者が働き続けることができるために以下のとおり合理的配慮等を確保すること

  1. 現在、障害者雇用促進法に基づく職場介助者等の支援に関する期間の限定や住宅借上げ要件については、現実的でないことから支援メニューの見直しを行うこと。
  2. 障害者が必要とする合理的配慮の確保に関する考え方と提供するためのプロセス及び差別やハラスメントに関する認識を高めるために以下の例を踏まえて具体的な事例を含む啓発教材を作成・配布及び研修の実施等により雇用主や労働者への周知の徹底と実効性を高めること。
    • 例1: 障害を理由とした差別及び侮辱的発言や不適切な職務配置。
    • 例2: 合理的配慮の不履行(必要な情報保障や適切な労働環境が確保されていない)。
    • 例3: 様々な状況を踏まえて合理的配慮を確保するための協議調整及び建設的対話を含めた具体例や確保方法。

2.障害者が職場で感じている問題を解決するための相談・調整機能を強化すること

  1. 働いている障害者が職場で直面する問題に対する相談や支援及び調整機関が十分な対応ができていないことから障害者が雇用され働き続けることができるための労働環境や勤務状況等に関して「ビジネスと人権」の視点も踏まえて実態調査と実効性のある相談及び調整機関を設置すること。
  2. 設置する相談及び調整機関については、国連の「国家機関(国内人権機関)の地位に関する原則(パリ原則)」に基づき、人権侵害からの救済と人権保障を推進する権限が保障された政府から独立した機関とすること。

▽要望書(PDF)


私たちの活動へご支援をお願いします

賛助会員募集中です!

LINEで送る
Pocket

現在位置:ホーム > 新着情報 > 鰐淵洋子厚労副大臣に「総括所見を踏まえた障害福祉施策の実施に向けた要望と提案」を要望しました!

ページトップへ