マレーシアから障害者雇用について来日調査中の研究者らが訪問しました
2024年10月04日 雇用労働、所得保障国際協力/海外活動
△マレーシアのマラ工科大学の研究者シティ・ヌルル・アクマ博士(左)とDPIの安藤常任委員
2024年9月20日(金)、障害者雇用について来日調査中の一団が、東京都町田市を訪問しました。
今回、マレーシアのマラ工科大学の研究者、Siti Nurul Akmaさん(シティ・ヌルル・アクマ博士)を中心とする5名の研究者と通訳者1名(日本で暮らしているマレーシアの学生)が、DPIの安藤信哉常任委員が経営している(株)障碍社を訪問して、日本の障害者雇用の現状、DPIの活動内容、優良事例の1つとしての同社の取組について、安藤常任委員が用意したプレゼンテーションを皆で熱心に聴きました。
重度の障害者が学んだり働いたりしようとすると介助サービスが使えなくなるという社会の実態から出発し、重度の障害があっても働ける社会をめざして、自身で2005年に有限会社パーソナルアシスタント町田を起業し、独自のモデルを発展させ、現在の(株)障碍社に至る道のりについて、多くの実践写真を見せながら、研究者の皆さんからの質問を受けました。
マレーシアからの皆さんは、DPI日本会議についてはインターネットで情報を得たとのことでした。
滞在中に多くの団体・機関に訪問するそうで、その日だけで3件の訪問予定があると聞きました。皆さんは、「安藤常任委員の話に非常に感銘を受けた、今後もぜひ一緒に仕事をしたい」と感想を述べて帰られました。
安藤常任委員の著書『事故ル! 18歳からの車いすライフ』(安藤信哉著、2009年、幻冬舎ルネッサンス)には「それでは障害者は働かなければ介護時間が確保されるということなのか?(中略)事実、私が知る限り町田市で【支援費制度になって】一番介護時間が削減された人は、重度な障害があるにもかかわらず努力して就労をしている人だった。」(224-225頁)という記述がありました。
その後について、直接話を聞く機会になりました。
今年度(2025年2月)にDPIで予定している「雇用労働フォーラム(「障害者と障害のない人がともに働くためのフォーラム2024)」では、安藤常任委員にも障害者雇用の実践について話してもらう予定です。企画ができましたらこちらのホームページで広報します。ぜひ皆さんにも聞いていただきと思います。
報告:浜島恭子(事務局員)
参考
■マレーシア(Malaysia)連邦立憲君主制国 基礎データ
- 面積 約33万平方キロメートル(日本の約0.9倍)
- 人口 約3,350万人(2023年マレーシア統計局)
- 首都 クアラルンプール
- 民族 マレー系約70%(先住民12%を含む)、中華系約23%、インド系約7%(2023年マレーシア統計局)
- 言語 マレー語(国語)、中国語、タミール語、英語
- 宗教 イスラム教(連邦の宗教)64%、仏教19%、キリスト教9%、ヒンドゥー教6%、その他2%(2023年マレーシア統計局)
(出典:外務省)
- 障害者権利条約(CRPD)署名:2008年、批准:2010年7月19日
- 障害者権利条約の選択議定書 (OP-CRPD):未批准
- 国内法:障害者に関係する基本法:2008年障害者法(Persons with Disabilities Act in 2008)
▽(Malaysian Bar and Bar Council)(website)
■マレーシア弁護士会(2024年5月8日)
「マレーシア連邦憲法に「障害」を盛り込む緊急の必要性」プレスリリース:
- マレーシア連邦は国内法をCRPDに調和させることなく14年が経過している。調和は連邦憲法と2008年障害者法から始めなければならないし、国民生活のあらゆる側面をカバーする他の法律でも続けなければならない。
- NHMS 2019年の報告書によると、18歳以上のマレーシア人の11.1%が障害があり、2024年2月29日現在、マレーシア人口の2.1%が社会福祉省(Jabatan Kebajikan Masyarakat)発行のOKU(障害者)カード保持者となっている。
- マレーシア弁護士会は政府に対し、連邦憲法にの第8条2項(すべての人の平等)と第12条1項(教育に関する権利)の両方に「障害」という言葉を含めるよう修正を提案し、障害のある人々に明確な権利保護を与えるよう求める。
以上