6月18日(火)自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟総会が開かれました!
2024年06月19日 バリアフリー
6月18日(火)に自民党本部にて、自由民主党ユニバーサル社会議員連盟総会が開かれました。この議連は毎年2回程度開かれるもので、バリアフリー・ユニバーサルデザインや障害関係の取り組みについて、各省庁から報告があり、障害者団体からも要望出来るというものです。
過去にはこの議連でスタジアム等の車いす用席の基準が日本にはないとDPIが提起したことを受けて、2015年にガイドラインが作成され、ちょうどこの日の朝の閣議で政令が改正され、総席数の0.5%以上の設置が義務付けられました(2025年6月1日施行)。
このように政策への反映が可能な非常に重要な議連です。
当日は石破茂会長、盛山正仁幹事長代行(文科大臣)、大串正樹事務局長、猪口邦子参議院議員、牧島かれん衆議院議員、笹川博義衆議院議員、高鳥修一衆議院議員、宮下一郎衆議院議員、八木哲也衆議院議員をはじめ多くの議員が参加するとともに、14の省庁と、13の障害者団体等が出席しました。概要をご報告します。
省庁からの主な報告
- 内閣府:障害者政策委員会、改正障害者差別解消法の施行、相談窓口「つなぐ窓口」の設置等
- 警察庁:歩行空間のバリアフリー化
- 消費者庁:消費者被害防止、消費者教育の推進、消費者教育コーディネーター育成、配置
- こども家庭庁:報酬改定、支援体制の強化
- デジタル庁:ユーザアクセシビリティ、デザインシステムの公開
- 復興庁:仮設住宅や災害公営住宅で暮らす障害者の支援
- 総務省:選挙、情報バリアフリー、字幕番組・手話番組への助成
- 法務省:人権侵害による被害者救援活動、人権啓発
- 外務省:ODA開発途上国の障害者支援、スポーツ外交、文化芸術活動
- 文部科学省:学校のバリアフリー、インクルーシブな学校運営モデル事業、文化芸術
- 厚生労働省:報酬改定、地域包括ケアシステムの構築、意思疎通支援、ITC機器等の利用促進等
- 農林水産省:農福連携、農林水産・農山漁村のバリアフリー
- 経済産業省:ロボット介護機器開発の推進、日常生活製品等のユニバーサルデザイン化
- 国土交通省:公共交通機関のバリアフリー、都市・道路・河川空間・官庁施設・公的賃金住宅等のバリアフリー化推進、公共交通機関の税制の特例措置、住宅のバリアフリー改修促進税制
- 環境省:国立公園のバリアフリー化
障害者団体からの主な要望
- 障害者基本法の改正をお願いします。
- 改正障害者差別解消法で民間の合理的配慮提供義務化。行政、民間、障害者団体の連携協力を。
- みどりの窓口が削減され、利用が困難になっている。適切な対応をお願いたい。
- 能登半島地震での障害のある被災者への支援。障害の多様性に配慮した避難所運営について。
- デジタル化によって視覚障害者が暮らしにくくなることはあってはならない。しかし、テジタル化によって今までできたことができなくなっている。当事者を交えた検討の場を。
- 無人駅は全国で半数になっている。困った時に鉄道関係者に繋いでもらえるような仕組みづくりが必要。
- 7月3日(水)の優生裁判の最高裁判所での判決では、傍聴者に公的負担で手話通訳がつくことになった。歴史的判断。これを広めてほしい。
- 東京2020オリパラ大会ではユニバーサルデザイン・バリアフリーが推進した。2025年のデフリンピックではこの視点を引き継いで、情報保障を推進してほしい。
- 車いす使用者駐車施設(5m幅)は、歩ける人によって不法占拠されている。全面青色塗装の活動をやってきたが改善しない。罰則を設けるなどさらなる取組を。
- 成年後見制度の見直し、地域の権利擁護施策(金銭管理等)の仕組みを作ってほしい。
- 認知症の理解、支援体制、災害時の避難体制づくり、取り残さないデジタル社会の対応を。
- 精神障害の運賃割引の実現に感謝。しかし、対象者はほぼ1級のみで、精神障害全体の10%程度。精神障害者の47%は月収8万円以下。さらなる取組をお願いします。
- 帝国劇場の建て替え署名活動を行い、21,000筆以上集まった。障害者も舞台を楽しみたい。ハードとソフトの整備、字幕と音声ガイド、鑑賞サポート、介助者との同行のチケット料金助成制度も検討必要。
DPIからの要望(佐藤事務局長、伊藤理事)
- 学校のバリアフリー
2020年のバリアフリー法改正で公立小中学校はバリアフリー整備が義務化され、文科省では5年間の計画を策定して推進してくださっている。しかし、途中経過では整備は低調。障害当事者を構成員とした学校のバリアフリーを推進する検討会を設けいただきたい。
- 地域移行の推進
今回の報酬改定時で地域移行を推進するための拠点コーディネーターの配置の仕組みを新設していただき、ありがとうございました。この仕組みが各自治体で実施されるよう、国としても後押しをお願いしたい。
また、地域移行を進めていくための調査研究について、必ずしも全国的団体でなくとも、最重度の医療的ケア児者、重症心身障害児者、強度行動障害児者の地域移行を、先行して良い取り組みを行っている団体やそれらに詳しい研究者も含めた研究会、検討会を構成していただきたい。
- 情報アクセシビリティ
情報アクセシビリティ法の具体的な推進方法についてまだ決まっていないことが多い。当事者団体を加えて、早急な議論を開始するようにお願いします。
議員からの意見
- 問題は避難所。自閉症、強度行動障害の人が入れない。車の問題もある。
- 成年後見制度は、家裁で割り当てられた後見人とのトラブルもある。後見人を替えられることも大事。
- グループホームでは、職員が不足し、強度行動障害の人を受け入れられない。
- 車いす使用者駐車施設の問題は改善すべき。必要な人が駐められないことはあってはならない。
- 災害時の対応について精査すべき。特に、日頃から障害のある方がどこにいるのか、どういうニーズのある人が何人いるのか行政が把握して、誰がサポートに行ってどう避難するかを準備しておくことが必要。要支援者リストをつくった地域は東日本大震災でも助かったと聞く。普段から把握の仕組みが必要。
- スフィア基準(災害や紛争の被災者に対する人道支援活動のために策定された、「人道憲章と人道対応に関する国際的な最低基準」)の実現が必要。日本では大正時代に起きた関東大震災の時のまま。12時間以内にコンテナトイレ、キッチンカー、ベッドを被災者に届くようにする。今は自治体がやることになっているが、財政力等差がある。イタリアや台湾は国が実施している。日本で避難所で支障なく暮らせたか?そうではない。いつまでに何を整備する、国は何をして、お金はいくらか、諸外国に比べて避難所のUDがどのくらい遅れているか説明してほしい。
- みどりの窓口がなくなっている。新幹線は車内販売なくなり、グリーン車はスマホをかざしてQRコードを取り込む仕組み等あるが、これを視覚障害者が使えるとは思わない。みどりの窓口がこれだけなくなって、どういう配慮がされているのか。国土交通省はどのように考えているか?
- 車いす使用者駐車施設に一般の人は駐めてはいけないというのを、自動車学校でどこまで教えているか?
- 鉄道の優先席は、なんのハンディもない人が堂々と座っている。私は空席でいいと思っている。いつ乗ってくるかわからないから、空席であるべき。学校教育で優先席について教えていますか?空いているから座っていいとはならない。歩行が難しい人が来ても譲らない。座ってはいけないと教えているのか?譲りなさいと教えているのか?
- (国交省)みどりの窓口は年度末等で大変混雑した。削減計画を凍結することになった。客が多い時期は開ける。自動販売機等の機械はどういうのがいいか事業者も悩んでいる。話せる券売機がいいのか、障害者団体からご指摘いただいている。
- (文科省)優先席については小学校、中学校で、道徳や人権教育で教えている。
まとめ
今回も多くの省庁から様々な取り組みが報告され、障害者団体からは改善を求める切実な訴えがたくさん出されました。
国会議員の方々からも、災害時の支援の在り方、避難所運営等スフィア基準を踏まえた取り組み、車いす使用者駐車施設の不適切利用はあってはならず更なる取組が必要、デジタル化で障害者が取り残されており、この改善をしっかりやらないといけないといった力強いご発言がありました。
各省庁におかれては、今回出された多くの要望を真摯に受け止め、改善に向けて取り組みを進めていただきたいと思います。
報告:佐藤 聡(事務局長)