韓国バリアフリーレポート② KTX-山川 十分な広さの車いすスペースとトイレで快適な旅
2023年08月17日 バリアフリー
2021年に新幹線のバリアフリー基準を改正しましたが、その議論をしている時に国交省が世界の高速鉄道の車いす席の数を調べてくれました。
- フランス TGV(EURO DUPLEX)4席/1018席
- ドイツ ICE 4席/830席
- イギリス ユーロスターe320 4席/900席
- 韓国 KTX-山川 2席+移乗用3席/363席
- 台湾 700T(日本の700系)2席+移乗用2席/989席
- 東海道新幹線 2席/1323席(2021年から6席)
ヨーロッパはどの国も4席になっていますが、これはEUの基準があり、全長で車いす席の数が決まるのです。300mを超えると4席という基準でした。
韓国のKTXは総席数が363席と少ないのですが、車いす席は、車椅子スペース2席、移乗用が3席と、比率で言えば圧倒的に高いのです。さらに、路線によってはこの編成を2つ繋げるそうなので、合計10席にもなり、いつか乗りに行ってみたいと思っていました。今回、ソウルから釜山までKTX-山川に乗車することができましたのでレポートします。
韓国の鉄道はヨーロッパと同じくホームが低いため、リフトを頼まないと車いすでは乗車できません。駅に行ったらインフォメーションで、乗車する列車と区間を伝えると、スロープ配置を手配してくれました。当日でも大丈夫でした。
係員が来てくれて乗降口まで誘導してくれます。これは日本のJRと同じ仕組みでした。
これが乗降用のリフトです。でかいです。係員が押してきて、のせてくれます。
車いす席は、手前に車いすスペースが2つ、テーブル奥に移乗用の座席が3つありました。左側の車いすスペースは全長が長く、ストレッチャー型車いすでも乗車可能のように思いました。
移乗席を使うときは、車いすは、車いすスペースの右側の後ろに収納場所があり、ここにも収納できるようです。車いすスペース全体の広さは十分です。テーブルを挟んで向かい合う配置が新鮮でした。
普段は折りたたんであるのですが、手前のように広げて使えます。若干傾いていましたが(苦笑)、テーブルがあるといいですね。日本の新幹線では、このテーブルがまだ上手く開発できていません。
車いすの高さに併せて上下するもの(ドイツは上下するらしい)をお願いしたのですが、行きと帰りで向きが反対になるので、設置が難しいなど課題が多くまだ実現できていません。
バリアフリートイレは、日本の新幹線よりも少し広かったです。横向きのレイアウトなので使いやすく、介助者も一緒に入れる広さでした。
窓は広く、車いすスペースだと窓辺に寄れますので、車窓の風景を楽しむことができました。緑多く、きれいな国でした。
車内にはテレビがついていて、ニュースを流していたのですが、このニュース、よく見ると右下に手話通訳者がいるのです。障害者団体が要望して、テレビの情報保障はとても進んだそうです。
KTX-山川は十分な広さの車いすスペースとバリアフリートイレがあり、とても快適でした。揺れも日本の新幹線と同じくほとんどゆれないので、安心して乗っていられます。ホームが低く、大きなリフトを頼まないと乗れないのは残念ですが、手配から乗車までさほど待たされることなく、快適な旅を楽しめました。
報告:佐藤 聡(事務局長)
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