2月8日(水)尾上浩二副議長が国会で参考人として意見陳述しました!「国連の総括所見とインクルーシブ社会への課題」(参議院国民生活・経済及び地方に関する調査会)
2023年02月09日 障害者権利条約の完全実施
2月8日(水)に参議院で「国民生活・経済及び地方に関する調査会(福山哲郎会長)」が開かれ、参考人として尾上浩二DPI副議長が意見陳述を行いました。
この日は3名が参考人として招聘され、それぞれが取り組んでいる現場の実態や課題を20分程度報告し、その後は6つの会派から6名の委員の方々からの質問に回答するという流れでした。
参考人
- 大西連(認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長)
- 赤石千衣子(認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)
- 尾上浩二(認定NPO法人DPI日本会議副議長)
質問者
- 上月亮祐(自民)
- 柴 愼一(立憲)
- 窪田哲也(公明)
- 高木かおり(維新)
- 伊藤孝恵(民主)
- 木村英子(れ新)
尾上副議長は、昨年8月にジュネーブで行われた障害者権利条約の第1回対日審査の様子や、9月に権利委員会から出された総括所見(勧告)を説明しながら、インクルーシブ教育と地域移行の必要性を訴えました。
特に最後に木村英子議員からの「現状を変えるためにも尾上参考人が障害者として経験されてきた学校や施設での経験、健常者と分けられていることへの弊害をどう乗り越えてきたのか、差別と闘う信念の原動力となった経験と想いをお聞かせ願いたい」との問に対しての答弁は、すべての委員が熱心に聞き入る素晴らしいものでした。
私は白井事務局次長とともに随行で、会場で質疑の様子を見させていただきました。与野党の委員のみなさまが熱心に話を聞いてくださり、多くの質問をしてくださいました。ぜひとも、総括所見を踏まえて、2011年以来改正されていない障害者基本法の改正をはじめ国内法のバージョンアップに取り組んでいただけることを願っております。
■木村英子議員からの質問への尾上副議長の答弁(要旨)
子どもの時は養護学校から障害児入所施設に。今から半世紀前。優生保護法があった時代。「障害を治す」という名目ならば何をしても許される、どんな痛み、苦しみにも絶えて当然という時代の雰囲気があった。私は施設入所時代8ヶ所手術しているが、手術をする度に歩けなくなる。医療の実験台。実体験を通して医学モデルの罪深さ、問題を感じる。
また、当時は施設からの外泊も年に数回しか認められておらず、24時間施設から一歩も出ない、まさに隔離された生活だった。
「買い物の日」というのがあった。施設のプレイルームに置いてあるワゴンから、週に一度、スナック菓子等を買う時間。そうしないと「お金」の意味が分からなくなる。それだけ社会から隔絶した状況に合ったことを示すエピソード。
障害のある子どもだけが集められていることに疑問を感じるスタッフもいて彼らの応援があり、地域の中学校へ行くことになった。それで施設から出ることもできた。
もし、担当のスタッフが違ったら、そのまま施設にいて、その後の私の人生は大きく違ったと思う。どういうスタッフに出会うかで人生が大きく変わる。だからこそ、どこでも支援を得られるよう地域移行コーディネーター制度を求めている。
大阪でも、まだ共に学び共に育つ教育が始められる前だった。入学に当たって、「階段の手すりなど設備は求めない、先生や生徒の手を借りない」という念書に親がサインをして入学がやっと認められた。
当時松葉杖を使っていて、音楽教室の移動などが大変でいつも遅刻していた。ある時、友人が「次の授業、おぶってやる」と言うので、最初断っていたら「友達やないか、水臭いこというな」と。それから他の友達も手伝ってくれた。
家の周りに同年代の友達がいたことが新鮮な驚きだった。音楽が好きな友だち同士でレコードを買いに行くのに誘ってもらった。初めて、親の付添無しで地下鉄に乗った。同年代の、しかも趣味が同じ友達と出歩くというのは、とても大きな解放感、あっという間に時間が過ぎる。週末になると、友達と街に繰り出すようになった。自分の世界が大きく広がった。障害の有無で分け隔てられること無く、同年代の友だちと過ごすことの重要性を実感する。
友達には恵まれたが、学校は今でいう合理的配慮は何もしてくれなかった。中学3年の時に修学旅行があったが、「松葉杖で歩いていて何かあったらいけないから」と連れていってもらえなかった。それだけでなく、修学旅行は学業の一環だからと3日間、誰もいない教室で一人自習を強いられた。
修学旅行が終わってから、友達がやってきて「一緒に行けなかったからお小遣い出し合って土産を買ってきた」と渡された。その時に、「ああ、彼らと一生に一度の修学旅行に行けなかったのだ」と気づき悲しかった。
こうした自らの体験がある。今も講演とかをすると、地域の学校で学ぼうとすると大変苦労したとお話を聴くことがある。「昔は苦労した」と言えればいいがそうではない。45年間障害者運動に関わってきて大きな変化が生まれていない課題=残された本丸。
誰も取り残さず地域生活に移行できる仕組み・脱施設、そして、子どもの時からのインクルーシブな子ども支援、インクルーシブ教育を切望する次第。
調査会の様子は以下のサイトから「国民生活・経済及び地方に関する調査会」と検索すると、一覧に出てきます。尾上の最後のスピーチは2:45頃から見られます。
▽参議院インターネット中継
▽報告資料はこちら(PDF)「参議院調査会 総括所見とインクルーシブ社会課題」
佐藤 聡(事務局長)
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