誰もが気軽にスポーツに親しめる場づくり総合推進事業(スポーツ施設におけるユニバーサルデザイン化等推進事業) 第3回検討委員会 参加報告
2022年11月24日 バリアフリー
11月22日、スポーツ庁の誰もが気軽にスポーツに親しめる場づくり総合推進事業(スポーツ施設におけるユニバーサルデザイン化等推進事業)第3回検討委員会が対面とオンラインのハイブリッド形式で開催され、工藤が出席しました。
〇本事業の背景と第1回検討会の報告は下記URLをご参照ください。
https://www.dpi-japan.org/blog/workinggroup/traffic/sports-01/
今回の検討内容
(1)属性別及び各場所における課題への対応策について
(2)「誰もが利用しやすいスポーツ施設のあり方」の方向性について
(3)ガイドブックの構成案について
属性別及び各場所における課題への対応策について
まず始めに全国の主なスポーツ施設の現地調査と様々な障害種別の当事者団体へのヒヤリング結果について報告がありました。
スポーツ施設への現地調査では、古い施設も混在しておりハード面の整備が十分でないことが根強い課題となっていました。
東京オリパラを契機に合理的配慮の考え方が広まり、障害者が施設利用を拒否されることは減ったものの、ハード面の整備が不十分なために当事者が利用したいと思うスポーツ施設が少ないとの事でした。
これらのことから、施設を改築、または新設する際には多様な当事者の意見を聞き反映させていくことが必要だと感じました。
障害種別の当事者団体へのヒヤリング結果についても同様で、同じ障害でも程度によってニーズが異なったり、異なる障害同士で意見が分かれる場合もあり、コミュニケーションを重ねながら改善していく必要があると感じました。
また、DPI日本会議からは下記の5点について要望を伝えました。
(1)当事者参画の必要性
・多様な当事者からの意見反映に取り組むことを加えてほしい。
・特に計画の早い段階から意見を聞けば反映できることが増える。構想や基本設計の段階からの意見反映が重要。
(2)管理・運営について
・スポーツ施設によっては、介助者も利用登録し、費用の支払いを求めるところがある(特に民間のスポーツジム等)。介助者はスポーツをしに行くわけではなく、障害者の介助でいくため、費用負担は望ましくない。
(3)誰もがわかりやすく情報を取得できるよう、視覚的な情報提供の工夫
・HP等では、視覚障害者等に配慮して、webアクセシビリティの基準を守ってHPを整備してほしい。
(4)車いす席について
・サイトラインの確保は非常に重要。可能な限り観客席は分散配置してほしい(選べるように、複数の人が観覧できるように)。
(5)施設管理者、運営スタッフの研修
・実際に運営する人たち、窓口に立つスタッフが、障害を理解し、差別することなく利用をサポート出来る様になるためには職員研修が不可欠。研修の必要性も明記し、正しい理解を促進してほしい。
当事者参画については、他の参加者からも「企画・設計段階だけでなく施設が完成した後も当事者を入れた見直し、改善を継続して欲しい」との意見が出ていました。
「誰もが利用しやすいスポーツ施設のあり方」の方向性について
スポーツ施設は障害者、健常者を分けず双方にとって使いやすいインクルーシブな場にすることが重要だとして、利用者属性の意見反映に加えて地方自治体や施設管理者への指導も進めていくことが好ましいとの意見が出ていました。
ガイドブックの構成案について
本ガイドブックの対象は「地方自治体」及び「施設管理者」となっており、現状・課題とその対応策についても地方自治体や施設管理者向けとなっています。
地方自治体の職員は3年ごとに部署を移動するため理念やノウハウが継承されづらいといった課題がありますが、ガイドブックを当事者との対話のツールとしてブラッシュアップしていって欲しいとの意見が出ていました。
全体を通して、本検討会では「やらなきゃいけないもの」と言われてやるのでなく、自発的に「こういう風にしたらより多くの人が使えますよ」とみんなが参加したいと思えるように工夫していきたいという姿が見られました。
この検討会は今後、現地調査やヒヤリングの結果をまとめ、各課題の整理を行った上で来年2月の第4回検討会でガイドブックのとりまとめを行う予定です。
私自身、以前障害のある仲間たちと水泳にチャレンジしようとしましたが、車いすユーザーが使えるプールを見つけるのに苦労し、水泳から離れてしまっていました。
施設のハード面、ソフト面両方が改善されて誰もが気軽に使えるようになったらまた水泳にチャレンジしてみたいと思っているので、ぜひ素晴らしい内容のとりまとめが出来ることを期待しています。
工藤登志子(バリアフリー部会長補佐)
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