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【報告】2022 DPI日本会議×CILイルカフォーラム 緊急報告「国連障害者権利委員会の総括所見」で示されたこと ~南の国からインクルーシブの風を届けます~を開催しました

2022年11月02日 イベントインクルーシブ教育

インクルーシブ
2022年10月5日(水)、2022 DPI日本会議×CILイルカフォーラム 緊急報告「国連障害者権利委員会の総括所見」で示されたこと~南の国からインクルーシブの風を届けます~を開催しました。

沖縄県自立生活センター・イルカ(CILイルカ)からオンライン生配信をし、全国各地から約230名の参加があり、大盛況のイベントとなりました。

基調報告「国連障害者権利委員会 日本政府に対する総括所見について~世界のあたりまえって何?~」

前半は、崔栄繁(DPI日本会議議長補佐)が基調報告しました。

崔1

ジュネーブにて開催された「第1回対日審査(建設的対話)」について、良い総括所見を出してもらうためにこれまでどのような取り組みをしてきたか、実際にジュネーブでどのような活動をしたか、対日審査の場では何がどのように行われたのかという具体的な内容に加え、国連障害者権利委員会から出されたばかりの日本政府への総括所見についても詳しく触れました。

対日審査には、日本のNGOから100名近くジュネーブに渡りました。この人数は過去に例がないほどの大人数で、国連に対してとても大きなインパクトを与えることができました。

日本でも生配信を傍聴されていた方も多かったのではないでしょうか。現地では権利委員とのブリーフィング、ロビーイングを重ね、審査における日本政府回答に関する情報提供を行われており、とても緊迫しながらも皆が情熱を持って取り組まれていた様子を紹介しました。

崔2

たくさんの方が現地に行き、伝え続けたことを権利委員の皆さんが真摯に受け止めてくださり、総括所見が出されました。特に、第19条、第24条へは強い要請がされているという点に注目したいです。総括所見は法的な拘束力はありませんが、国際人権法上、尊重すべき権威のある文章です。

今後、締約国である日本は総括所見を元に障害者施策のバージョンアップを進めていくべきです。

また、行政・立法・司法から独立した国内人権機関の設置、個人救済制度を定めた選択議定書の批准が必要です。日本は独立こそはしていないが内閣府が設置している障害者政策委員会が監視機関となっています。まずはこの政策委員会を活かし、強化していく必要があると報告しました。

パネルディスカッション「国連障害者権利委員会の総括所見について期待すること、問題意識について」

後半は、パネルディスカッションを行いました。

パネリスト1人目は、重度知的障害のある仲村伊織さんの母、仲村美和さんです。

仲村美和さん

伊織さんが成人となり初めての選挙投票場でのお話しが印象的でした。日頃から共に地域で暮らす方が選挙管理委員にいらっしゃり、どのような配慮が必要か事前に具体的なイメージを持って話し合うことができたそうです。

また、選挙当日、伊織さんが投票場へ向けて一歩踏み出したことを選挙管理委員の方が見て「これは投票の意志がある」と確認され、代筆をしてもらったとのことでした。

さらに、「(箱へ)投票すること自体が直接の政治参加になるから本人にとってわかりやすい、本人にやってもらいたい」と選挙管理委員の方がおっしゃったそうです。これは伊織さんだけへの配慮ではなく、サポートを必要とする方皆さんにしているそうで、投票箱を伊織さんの前に持ってきてくださり、自分で投票したそうです。

美和さんが「地域で生きてきたことが、本人だけでなく周りを含めて育ってきたと感じる場面でした」と話してくださいました。

2人目は、障害のある子どもの放課後保障連絡会沖縄代表、元南城市立馬天小学校校長の新垣香代子さんです。

新垣香代子さん

新垣さんのお話では「学校全体を合理的配慮で包む」という言葉が印象的でした。職員や子どもたちにもその言葉が浸透していて、音楽の授業では、一目で並ぶ位置や向きがわかるよう床に印をつけたり、運動会は通常沖縄では9月に実施しているが、暑さが苦手な子のために11月に変更したことで全員が「11月は涼しい!」ということに気づいたとのことでした。

9月に運動会をしなければならないという固定概念から実施していたそうですが、保護者や地域の方にも涼しい運動会はとても好評だったそうです。また、誰もが参加できる競技をみんなで作り上げていったそうです。「視点を少し変えたことで、良好な形にできた」と話してくださいました。

3人目は、沖縄県自立生活センター・イルカの長位鈴子さんです。長位さんからは、ご自身がこれまで取り組まれてきた運動と、今回ジュネーブに行き対日審査の場を目の当たりにし、実際にロビーイングをした経験を踏まえ、性教育に関連した話をしていただきました。

長位鈴子さん

「子どもを産み育てていくことは、親だけが責任を持たなくていい。頼れる社会づくりをしていかなければいけない」「障害者だけの問題ではない、社会全体で考えていきたい」という言葉がとても印象的でした。

時間が限られた中でのフォーラムとなりましたが、参加者の皆さまからもたくさんのご質問やコメントをいただき、オンラインではありましたが、繋がりを感じることのできるフォーラムとなりました。

総括所見が出された今、これからの運動が重要だと感じます。国連の権利委員の皆さまからいただいた道しるべと、全国の皆さまの声を合わせて、障害者施策のバージョンアップに共に取り組んでいきましょう!

フォーラムの開催にあたり、ご後援をいただきました沖縄県、沖縄県教育委員会の皆さま、ありがとうございました。

助成をいただきました公益財団法人キリン福祉財団、令和4年度沖縄県障害者社会活動推進事業補助金活用事業の皆さま、ありがとうございました。心より御礼申し上げます。

報告:岡部(DPI事務局長補佐)


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