鉄道事業者に「ホーム全体の段差と隙間の解消等」を要望しています
2022年08月04日 バリアフリー
来春から鉄道駅バリアフリー料金制度がスタートします。
これは東京、大阪、名古屋の3大都市圏の鉄道事業者が、運賃を最大10円値上げし、その収益をバリアフリー整備に当てるというものです。すでに、東京メトロ、JR東日本、西武、東武、阪神、阪急等が導入を決めています。整備内容は、ホームドアの設置、エレベーター等の段差の解消、ホームと車両との段差と隙間の解消、バリアフリートイレ等です。
DPIでは、この機会に鉄道事業者と個別に意見交換を行っています。現在までに、東京都交通局、東京メトロ、JR東日本と話し合いを実施しました。
要望したのは以下の5点です。
- ホーム全体の段差と隙間の解消
- バリアフリートイレの複数化
- バリアフリールートの複数化・エレベーターの大型化
- 交通結節点のバリアフリールートの短縮化
- 乗降介助時の駅アナウンスの改善状況
ホーム全体の段差と隙間の解消
2019年にホームと車両との段差と隙間の解消の目安値(段差3cm×隙間7cm)が国交省のガイドラインに盛り込まれ、各事業者で整備が進んでいます。整備方法は、ホーム全体を嵩上げしてすべての乗降口の段差と隙間を解消する方法と、2ヶ所程度の乗降口ドアに限って整備する方法の2つがあります。
関東の事業者は2ヶ所程度の乗降口のみの整備が多いですが、この場合は車いすで単独乗降できる乗降口が限定され、車いす利用者やベビーカー利用者等がこの2か所に集中し、スペースに入りきれないという事態が起きています。
すでに殆どの事業者は、都市部の新型車両は全ての車両に車いすスペースが設けられています。車両は整ってきているので、ホーム側も、全ての乗降口から単独乗降できるように、ホーム全体の段差と隙間の解消を基本として整備を進めてほしいと要望しています。
事業者によって、2ヶ所の整備とホーム全体の整備とバラバラでしたが、ぜひともここはホーム全体の整備を進める方向性を持ってほしいとお願いしています。
※ ホーム全体を嵩上げしている事例 →大阪メトロ千日前線、東京メトロ銀座線、都営地下鉄新宿線、仙台地下鉄東西線等。
※ 部分嵩上げ(2か所程度)の事例 →都営大江戸線、三田線、東京メトロ丸ノ内線等。
バリアフリートイレの複数化、バリアフリールートの複数化・エレベーターの大型化、交通結節点のバリアフリールートの短縮化
バリアフリートイレについてはいずれの事業者も取り組みを進めてくださっています。
駅によってはスペースがなく複数化が難しいところもありますが、改修のタイミングで出来るだけ複数化する方針ということでした。また、男女の一般トイレにも、いわるゆ簡易多機能トイレの設置も進めているということでした。
バリアフリールートの複数化・エレベーターの大型化もターミナル駅、交通結節点等の利用者が多いところは、複数化・大型化を進めているということです。
乗降介助時の駅アナウンスの改善状況
これは昨年6月から働きかけており、各事業者がアナウンスの内容を変更しています。
これまでは「車いす乗車完了」といったアナウンスだったものを、「閉扉完了」という普段整備や確認のときに使っている言葉に揃え、車いすの乗降介助と特定できないようにしています。
ただ、これは短期的には効果はあるかもしれませんが、いずれ、車椅子が乗車したなというのがわかってしまうので、根本的な解決にはならない。アナウンスではない方法に切り替えることを引き続き検討してほしいと要望しております。各社、この点は認識してくださり、検討を続けているということでした。
DPIバリアフリー部会では、これからも誰もが利用できる公共交通機関を目指し、事業者や国交省に働きかけを続けていきたいと思います。