【第11回DPIオンラインミニ講座】『特急車両のバリアフリー対策-2023年春から新基準スタート!』
第11回のオンラインミニ講座です!
今回のテーマは「特急車両のバリアフリー対策-2023年春から新基準スタート!」です。講師はDPI事務局長の佐藤聡です。
是非ご覧ください。(手話、字幕あり)
また今回から、動画の内容を記事にしておりますので、動画よりも記事で読みたいという方は下にある解説記事をご覧ください。
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目次
00:00 オープニング
00:39 特急車両の問題点
01:47 諸外国の高速鉄道
02:59 検討の経過
08:31 新しい基準
12:22 まとめ
13:34 ご支援のお願い
動画で解説している内容はこちら
1.特急車両の問題点
- 車椅子席が少なく、現状は2席(3両編成以下は1席)
- チケットの予約・販売が、Webでできない。窓口へ行っても、長時間待たされる
- ハンドル形電動車いすが利用できる車輌が、約14%程度しかない。
- 車輌の使用年数が、各社40年間(50年という事業者も)と長い。
2.諸外国の高速鉄道
1-1.EUの車椅用席数の基準です。
30m以下 1箇所
30m~205m 2箇所
205m~300m 3箇所
300m以上 4箇所
1-2.実際の車両の席数は
- フランス TGV(EURO DUPLEX)4席/1018席
- ドイツ ICE 4席/830席
- イギリス ユーロスターe320 4席/900席
となっています。
2.アジアの車両の席数は
- 韓国 KTX-山川 2席+移乗用3席/363席
- 台湾 700T(日本の700系)2席+移乗用2席/989席
です。
3.検討の経過
1.新幹線のバリアフリー対策
2020年に基準改正され、2021年7月から新基準となりました。
2.2021年2月赤羽大臣に特急車両の整備基準について要望
新幹線のバリアフリー対策が格段に向上したが、特急車両は昔の基準のままなので遅れている。特にハンドル形電動車いすは乗車できない車両がほとんど。特急車両のバリアフリー整備基準も新幹線並に引き上げてほしいと要望しました。
3.要望を受けて、2021年3月から検討会がスタートしました
〇検討会の出席者
- DPI日本会議、日本身体障害者団体連合会、全国脊髄損傷者連合会、全国自立生活センター協議会
- 特急列車を運行する14事業者
- JR北、JR東、JR東海、JR西、JR四国、JR九州、東武、西武、京成、小田急、名鉄、近鉄、南海、西鉄
- 国土交通省(総合政策局、鉄道局)
〇以下の流れで行われました
第1回意見交換会(2021年3月18日)
- 特急車両におけるバリアフリー化の現状
- 障害者団体からの要望聴取① 等
第2回(4月28日)
- 鉄道事業者における取組事例①(JR東日本、近鉄) 等
第3回(5月31日)
- 鉄道事業者における取組事例②(京成、小田急) 等
第4回(7月26日)
- 障害者団体からの要望聴取②(必要な車椅子スペース数)
第5回(9月10日)
- ドイツ鉄道におけるバリアフリー化の状況(在ドイツ日本大使館)
- 車椅子スペースについて意見交換
- 車椅子対応座席のWeb予約 等
第6回(10月25日)
第7回(11月26日)
実証実験(12月2日) 車いす対応トイレ・コンセント位置の実証実験
第8回(12月16日)
第9回(2022年1月26日) 最終取りまとめ
現状はどうなっているか?2021年の特急車両の座席数
1-100席 71編成(6.8%)
101-200席 244編成(23.5%)
201-300席 267編成(25.7%)
301-400席 149編成(14.3%)
400-500席 29編成(2.8%)
501-1000席 280編成(26.9%)
合計 1040編成
検討会で出た主な意見
1.障害者団体
- 新幹線の基準と同様の考え方(座席定員に応じた車椅子スペース数等)にすべき。
- 車椅子使用者がグループで全国各地へ旅行するというニーズや、(新幹線に比べて)運行本数が少ないことから、車椅子スペースを最低限3ヶ所は確保すべき。
- 耐用年数が長い(30~40年)ことを踏まえ、より未来志向で検討すべき。
- コンセント位置やテーブルの仕様なども検討して欲しい
2.鉄道事業者
- 短編成の特急列車が走行する線区は地方閑散線区であり、繁忙期における増結運行、運行途中での分割・併合などを行って運行しているので、様々な運行形態に応じた検討が必要ではないか。
- 短編成の列車については、運転台やトイレ、洗面台等サービス設備の占める割合が高く、座席の数が相対的に少ないことも配慮すべきではないか。
- 新幹線に比べて車両幅等に物理的制約があり、座席のレイアウトには配慮が必要ではないか。
- 当該基準が適用される特急車両の定義・対象範囲について明確にする必要があるのではないか。
■争点は短編成・100席未満の車輌でした
1.2両以下の編成は100席程度
- 2両編成以下は133編成(8%)
- 総席数100席以下は71編成(8%)
- 総席数が少なく、スペースもないため、車椅子用3席確保が難しい
- 最終的に2席で妥結しました
■トイレの実証実験も行いました(2021年12月)
- 車輌内のバリアフリーも検討
- 多様な車椅子ユーザーを招いてモックアップテスト実施
- 今回は事例が少ないので、基準変更はなし
- 事業者には狭いことを知ってもらえる機会となった
4.2023年春からスタートする新基準
■特急車両の新基準
①新幹線とほぼ同じ基準
1.車椅子用フリースペースの数
- 1000席を超える場合 ➡ 6席以上
- 500~1000席 ➡ 4席以上
- 500席未満 ➡ 3席以上
②違いはここ!
- 2両1編成の列車や1編成あたりの座席数が100席未満の列車については、運転室、トイレ等の共有スペースの面積が、総床面積に占める割合が大きく、配置できる座席数に制約があることに鑑み、車両の構造等に応じて、2カ所とすることができる。
- この場合、ストレッチャー型の車椅子の使用について配慮するとともに、車椅子使用者等から同一グループで3名以上の申し込みがあった場合には、できるだけ多くの利用が可能となるよう弾力的な対応について配慮する。
■導入予定の新型特急車両
2022年 JR東海 HC85系「特急ひだ」「南紀」
2024年 JR西日本「特急やくも」
写真:特急ひだ(JR東海HC85系)※毎日新聞から転載
新しく導入された北陸新幹線E7ではこんなこともできます!
事業者と意見交換も継続して実施していきます!
5.まとめ
2000年に交通バリアフリー法が成立、2014年には障害者権利条約を批准、2016年には障害者差別解消法が成立、2021年に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されました。
どんどん良い社会になっています。障害者が運動すれば、社会は変わります。
さらなる運動でバージョンアップしてきたいと思います。
予約システムの改善も継続して働きかけていきますので、私たちの活動へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
報告:佐藤 聡(事務局長)
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