インクルーシブ教育合宿の参加者の皆さんから感想をいただきました!(その1)
2022年03月25日 インクルーシブ教育
2月27日(日)にオンラインで開催された教育合宿の参加者の皆さんよりご感想をいただきましたので、ご紹介します!(その2もあります)
今年も教育合宿に参加させていただき、他の参加者の経験をお聞きし、一番感じたのは、特別支援学校が普通学校からの逃げ場所になってしまう可能性があるということです。
普通学校でうまくいかず、嫌なことがあったから、特別支援学校に転校する。重度の障害がある子どもほど特別支援学校に行くのが当たり前で、そのような子どもが普通学校に行くのは珍しいことであり、歓迎されないことも多い今の学校教育では、特別支援学校に逃げたいと思ってしまうことも仕方ありません。しかし、それは普通学校が障害児も通うことを想定して、校舎や授業方法を考えていないからで、障害児が学校に居づらさを感じるときは、学校をどんな子どもでも通いやすいように変えるチャンスでもあるでしょう。
障害児が特別支援学校に転校するのでも、居づらさを感じたまま普通学校に通い続けるのでもなく、学校をどう変えれば、その障害児が普通学校で自分らしくいられるか、障害児や保護者と学校が話し合える仕組みが必要です。
その話し合いに地域の障害者団体も加わり、障害児をエンパワーメントしたり、社会モデルの視点から学校にアドバイスできるように、障害者団体自体も力をつける必要があるでしょう。
合宿で学んだ学校のバリアフリーを教育委員会などに要望していくことは、障害者団体と学校が関わり合うきっかけにもなるかもしれません。
私一人では、どうやって教育委員会などに関わっていくかイメージできない部分もありますが、今回の合宿でできた、インクルーシブ教育に関心のある当事者とのつながりを大切にして、他の団体からのアドバイスもいただきながら、少しずつ学校組織ともつながっていきたいです。
(川端 舞)
今回初めての参加でした。今まで他の方の学生生活がどんなものだったのか知らなかったので、参加者の皆さんの学生時代の話を聞いて私もそうだったと共感する部分(介助員との関係等)がありました。また、インクルーシブ教育を目指すにはまだ壁があるのだなと思いました。
私は地域の一般学校には通っていましたが、本当の地元の学校には行けませんでした。古い校舎で設備面での条件が厳しく、そこに進学することを断念したからです。通えそうな隣町の学校に進学することになり、ようやくできた友人たちと進学のたびに離れることになりました。斜め前に住んでいた同じ年の幼馴染とは、同じ小学校に入学できませんでした。隣町の学校に通うにはその町への引っ越しが条件だったので、その後家族ごと引っ越すことになりました。
本来の地元の学校に設備面の問題で行けなかったので、バリアフリー法により公立小中学校のバリアフリー化が義務になりとても嬉しく思います。現在、私は当たり前に公共交通機関を使って友人達と遊びに出掛けています。しかしそれは数十年前から当事者の方が活動して変えてくれたからこそ出来ることです。
一度「当たり前」になってしまえば、後の世代の人たちはスムーズに暮らしていけるはずです。今後学校生活を送る子どもたちには、当たり前に地元の学校に進学できるようになってほしいです。
日本の国民は皆、義務教育を受けています。どんな大人もかつては皆、学校に通っていました。「インクルーシブな社会はインクルーシブ教育から始まる」という言葉の通り、共生を目指していくうえでインクルーシブ教育はなくてはならない存在であり出発点だと思います。
私は社会福祉を学びたいと思い大学に進学し、来月から障害福祉系のセンターで職員として働く予定です。自分の経験を活かしながら、福祉の視点からインクルーシブ教育の普及に関わっていきたいです。この育成研修を通して自分の中で様々なことを再考するきっかけが得られたので、今回参加出来てよかったです。ありがとうございました。
(熊本学園大学 佐々木希)
私は、昨年に続き2回目の参加でした。今回は、バリアフリーの進展とインクルーシブ教育について学ばせていただきました。
尾上さんのお話を聞き、障害者運動が始まる前までの日本の状況、そして運動がどのように進んでいったのか、また世界のインクルーシブ教育の潮流について改めて学ぶことができました。
世界では、「共に学ぶ」ということを前提として、学校システムの変革を進めていくのが当たり前だとされているのに、日本だけが完全なインクルーシブの状態になれないのは、教育自体が医学モデル的な考えから脱却できていないからだ、という指摘には、私も学習指導要領からそのような風土を感じていたり、今までの学校生活の中で何度も医学モデル的なステレオタイプに出会ってきていたので、とても共感できました。
私が教育について学び、発信している時に常々感じているのは、「今の教育現場で受け入れられていない、と感じているのは、決して障害当事者だけではない」ということです。現在、学校現場には、いじめ、不登校など様々な問題が山積しています。障害当事者の私から見ると、これは学校自体が、医学モデル的な考え方が今なお根強い場所だから起こるのだろうと思います。普通から逸脱しているという勝手な判断が個への差別や排除、分離を生んでいると考えます。
今回、皆さんのそれぞれの立場からの体験談を聞き、私たちが経験してきた理不尽な思いを無駄にしないために、障害の有無にかかわらず、幸せな学校生活が送れるよう、学校システムを整えていく必要があると再度強く確認しました。そのために、私が住んでいる熊本から、よりよい教育のために対話を重視しながら、働きかけていきます。
(熊本大学 岩下唯愛)