障害者差別解消法の今国会成立を求める緊急アピール
2013年06月16日 要望・声明権利擁護障害者権利条約の完全実施
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案」(以下、障害者差別解消法)の国会審議が大詰めを迎えている。5月31日、重要な確認答弁や附帯決議を得た上で、衆議院を全会一致で通過した。
会期末まで残すところわずか10日となる中、ようやく18日に参議院・内閣委員会で審議されることになった。長年、障害者差別禁止法を求めてきた私たちは、今国会での一日も早い成立を求めるとともに、同法を徹底的に活用し、施行後早期の見直しにつながる取り組みを続けていく決意である。
DPI日本会議は、1990年のADA成立直後、アメリカの仲間と連絡を取りADAをテーマにした学習・討論集会をいち早く開催した。以来、わが国での障害者差別禁止法の制定を目指して、交通バリアフリーや欠格条項見直しの取り組みを進めるとともに、障害者政策研究実行委員会として差別禁止法要綱案をまとめ提言してきた。障害者差別禁止法制定は、私たちの20年以上の悲願である。
21世紀に入ってからは、障害者の地域生活確立に向けた闘いの一方、障害者権利条約策定とその批准に向けた取り組みをJDF(日本障害フォーラム)の一員として進めてきた。
2006年の障害者権利条約採択以降、条約批准とその実施が大きな課題となってきた。2009年には障害者基本法の一部改正をもって批准する動きがみられたが、「国内法整備の上、条約批准を」との私たちの声が受け止められた。
その後、始まった障がい者制度改革では、障害者基本法改正、障害者総合福祉法、障害者差別禁止法の3つの法律が横断的課題として確認されてきた。
そうした条約批准に関連した重要法案として、障害者差別解消法はぜひとも成立させなければならない。
もちろん、差別の定義や紛争解決の仕組み、民間事業者への法的義務づけ等、今後の見直しの中で解決しなければならない課題も残されている。だからこそ、基本方針やガイドラインの策定に障害当事者の立場から働きかけ、実効性を担保し事例を積み上げていくことが必要である。
また、地域協議会や各自治体での条例制定等、地域での取り組みも重要になってくる。
障害者差別解消法の成立は新しいスタートでもある。同法の制定を新たな跳躍台として、「障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会」=インクルーシブ社会の実現に向けた取り組みを引き続き進めていこう!
2013年6月16日
第29回DPI日本会議全国集会in神戸 参加者一同