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第2回DPI連続フォーラム「2021年最新の動き(無人駅中間まとめ、特急車両の新バリアフリー基準等)」 開催報告

2021年10月25日 イベントバリアフリー

空と矢印
10月21日(木)に第2回DPI連続フォーラム「2021年最新の動き(無人駅中間まとめ、特急車両の新バリアフリー基準等)」 をウェビナー形式で開催し、全国から約90名の方にご参加いただきました。

佐藤事務局長と東洋大学人間科学総合研究所の客員研究員である川内先生が「2021年最新の動き(無人駅中間まとめ、特急車両の新バリアフリー基準等)」について講義を行いました。

今回の集会開催に当たり、ご支援くださった皆様へ、改めて御礼申し上げます。
下記集会報告になります、是非ご覧ください。

開催の経緯

2020東京オリパラを契機に、ここ数年の日本のバリアフリー施策は大きく前進しました。新幹線の車両のバリアフリー化、鉄道駅のホームと車両の間の段差・隙間解消、車いすのまま乗り込むことが出来るUDタクシー等、多くの進展が見られた一方で、未だに残る課題もあります。

2020東京オリパラが終了した今、これまでの歩みを止めずレガシーとして今後に生かすためにはどのような取り組みが必要なのか、現在の動きを報告するとともに参加者の皆さんと意見交換を行うことを目的に開催されました。

報告・議論したこと

佐藤

1.駅無人化問題

2020年のバリアフリー法改正において、「無人駅の増加が当該駅を利用する障害者の社会的障壁とならないよう個々の障害に対応した合理的配慮を推進するために、介助を希望する障害者に対しては介助要員の常設配置を進める取組や乗降時に即応できる支援体制の整備を検討し、介助を要しない障害者に対しては単独乗降可能な駅ホームの整備等、事業者が取り組むべき事項をガイドラインに定めた上で、当該事業者が遵守するように必要な措置を講ずること」との内容が付帯決議に盛り込まれたことをきっかけに、2020年度から国交省では「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する障害当事者団体・鉄道事業者・国土交通省の意見交換会」と「特急車両におけるバリアフリー対策に関する意見交換会」が開かれています(非公開)。

駅の無人化は全国で広がっており、48%もの駅が無人化されています。無人化によって障害者の鉄道利用が著しく制限されています。2020年にDPIが全国の障害当事者を対象に行ったアンケートでは、無人を理由とした乗車拒否や事前連絡の要求、時間帯の制限等を経験したという回答が多く寄せられました。

鉄道事業者や障害者団体等を構成員とする検討会はこれまでに5回開催されており、今年の9月に中間とりまとめが発表されました。このとりまとめでは主に、①事前連絡の要求と利用拒否を行わないこと、②乗務員の乗降介助が円滑に行われるよう検討すること、③無人駅であっても計画的に施設整備を進めていくこと、等の内容が明記されました。

2.特急車両のバリアフリー対策

2020年に新幹線のバリアフリー基準が新しく策定され、大幅に改善されましたが、特急車両は旧基準のままです。多くの地方に行くためには特急列車の利用が不可欠であることから、2021年から基準見直しの意見交換会が始まり、年度内には新基準がまとまる予定です。

〇現状と課題

  1. 車椅子席が少ない 現状は2席(3両編成以下は1席)
  2. チケットの予約・販売 Webで予約できない、長時間待たされる
  3. ハンドル形電動車いすが利用できる車輌 約14%程度
  4. 車輌の使用年数 各社40年間(50年という事業者も)

検討会では障害者団体、事業者共に様々な意見が出ており、短編成や100席未満の車両の車いすスペースの座席数等が論点となっています。今後はモックアップを用いて当事者も交えた実証実験を行い、年度内に取りまとめ、基準化となる予定です。

DPIとしては①新幹線並みの車いす用の座数を確保すること(100席未満の車両は、基準上2席でも実質3席確保できれば可とする)、②トイレの新基準を策定することを方針に掲げて運動していきます。

3.その他、今年度の取り組み

  1. 車椅子駐車スペース基準見直し
  2. 共同住宅バリアフリーガイドライン見直し
  3. TOKYOオリパラのレガシー化
    ①当事者参画
    ②Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドラインの義務基準への反映
  4. 2025大阪万博を契機としたバリアフリーの推進
  5. 国立公園のユニバーサルデザインの推進

2020東京オリパラ後、全国各地で大型イベントが予定され施設整備が進められていますが、残念なことに当事者不在で進められた結果、不十分な整備となってしまう事例が多々見受けられます。当事者参画という新しい考え方を全国に広めるためには地方の障害当事者が中心となって働きかけを行っていく必要があります。

参加者との質疑応答でも当事者参画についての話題が多く寄せられていたのが印象的でした。

川内先生

また、川内先生の講義では「人権としてのバリアフリー」の考え方を教えて頂きました。多くの人々は「心のバリアフリー」を周囲の優しさと捉えられがちですが、優しさとは非常に曖昧なもので人によって差があり、その人の感情に左右されるため確実性がありません。

バリアフリーはどんな人にも平等に与えられるものであり、確実でなければならない、つまり、誰も侵すことのできない権利と捉えられなければないといった考えを教えて頂きました。

特にアクセシビリティ整備は全ての人の尊厳を尊重し、平等な社会参加を作り出すために重要。という言葉が印象的でした。

今回の講義では最新の取り組みから「人権としてのバリアフリー」という基礎的な考えまで幅広く学ぶことができました。

これまではオリパラに向けて多くの整備が進んできましたが、オリパラのレガシーが自動的に引き継がれていくことはなく、オリパラが終了しても歩みを止めずに運動し続けなければ簡単に後退してしまうという危うさも感じました。今後も様々な取り組みに注目しながら一歩でも前進させられるように活動を続けて行きたいと思います。

また、バリアフリー部会では随時メンバーを募集しています。居住地域は問いません。ぜひみなさんも私たちと一緒に活動しましょう!

工藤 登志子(DPIバリアフリー部会)

当日のプログラム

14:00~14:05 あいさつ、概要説明
14:05~15:10 検討会の報告・今後の運動の方針 講師:佐藤聡(DPI事務局長)
15:10~15:25 休憩
15:25~15:45 課題の整理 講師:川内美彦(元東洋大学教授)
15:45~16:10 質疑応答
16:10~16:15 まとめ

後援、助成

全日本自治団体労働組合、東京都労働組合連合会、東京交通労働組合、真如苑、株式会社土屋


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