「天守閣にも車いすで行ける!これぞ、あるべきバリアフリーの姿!」震災から復旧した熊本城の一部公開が始まりました
2021年07月05日 バリアフリー
震災からの復興をとげた熊本城がバリアフリー化されました。その様子をDPI加盟団体であるヒューマンネットワーク熊本の植田洋平さんが書いてくれました。
2021年6月28日(月)に熊本城の一部公開がスタートしました。
これまでは外の様子を仮設見学通路から眺めることしかできませんでしたが、今回の一部公開では天守閣の中に入ることができるようになっています。
熊本城は被災前、車いすユーザーの私にとっては眺めるものでしかありませんでした。中は階段があり車いすで入ることはできません。行っても中に入れない現実にぶつかるだけだからと諦めていました。
被災後、熊本市から熊本障害フォーラムに声がかかりました。「熊本城の復旧工事で障害のある人も見やすいものにしたいので、意見交換会を開きたい」というありがたい申し出でした。
意見交換会は、図面や工事スケジュールの説明があり、どのような計画がされているか説明を受け、それに対して当事者団体から意見を伝えるという流れでした。
図面の確認をしづらい方には個別に追加で時間を取って意見を聞くなど、丁寧に意見を聞こうとする姿勢が見られ、決して形だけではなく、熊本市が本気で取り組んでいることが伝わってきました。
熊本市の復旧工事担当の方とお話をする時間があったので、率直な疑問をぶつけてみました。
「お城のエレベーター設置については、名古屋城のように否定的な意見もありますが、熊本城はなぜ設置に至ったのですか?」
担当の方からは悩む様子もなく、すぐに返答されました。
「たしかにエレベーターの設置については一部反対の方もいましたが、私たちは1人でも多くの方に見ていただける方が大切であると判断しました。これまでバリアフリーじゃないせいで見られなかった皆さんにも楽しんでいただけるようになってほしいと考えています。」
また、こんなことも聞いてみました。
「どうして障害者団体から意見を聞きたいと思ったんですか?」
これにもまた即答されました。
「私たちだけでは分からないことや気付かないことに、当事者の方は気付いていただけます。全てのご希望に応えられない部分もありますが、少しでも皆さんが使いやすいものにするには、皆さんに教えていただいた方がいいと思いました。」
そんな素敵な担当の方と、私たちの意見交換を経て熊本城の復旧工事が進み、エレベーターのついた天守閣が公開されました。
私は内覧会で4月19日(月)に一足先に天守閣の中を見学させていただきました。
内覧会は招待された方しか入ることができなかったのですが、熊本市の担当の方から、「バリアフリー化でお力を貸していただいたから」と意見交換会に出席していた障害者団体の方を内覧会にお招きくださいました。
初めて入る熊本城は、とても大きく、最上階は熊本の街並みを一望できました。きっとエレベーターがついてなければ私が知らないままの空間だったのだと思います。
これが熊本城の城主が見ていた眺めなんだなという感想と、私たちがこの景色を見られるようにバリアフリー化を進めてくれた熊本市長、熊本城復旧工事担当の皆様に感謝です。
報告 植田洋平(ヒューマンネットワーク熊本)
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