施設・親元からの地域移行に向けて「障害者総合支援法」の見直すべき課題を提起しました(5/24社会保障審議会障害者部会の関係団体ヒアリング報告)
2021年06月02日 地域生活
5月24日(月)に開催された「社会保障審議会障害者部会」(第111回)の関係団体ヒアリングにDPIから今村事務局次長と白井事務局次長、崔議長補佐(今村の介助者として)が出席しました。
この関係団体ヒアリングは、障害者部会において、障害者総合支援法(以下、総合支援法)の附則における3年後見直しの議論を進めるにあたって、以下の4つ検討事項について、各団体からの意見聴取が行われているものです。
意見聴取の内容
Ⅰ 地域における障害者支援について
○ 障害の重度化・障害者の高齢化を踏まえた地域での生活の支援についてどう考えるか。特に、地域での自立生活の実現・継続を支えるサービスの在り方をどう考えるか。
○ 地域での自立生活への移行や継続を支えていくための相談支援の在り方についてどう考えるか。また、地域共生社会の実現に向けた改正社会福祉法による参加支援や地域づくりといった観点も踏まえ、地域生活に必要な暮らしの支援(地域生活支援事業等の在り方)について、どう考えるか。
Ⅱ 障害児支援について
○ 障害児通所支援の在り方についてどう考えるか。特に、昨今の状況変化(女性の就労率の上昇等)や、インクルージョンの観点も踏まえ、放課後等デイサービス・児童発達支援等がそれぞれ担うべき役割・機能をどう考えるか。
○ いわゆる「過齢児※」をめぐる課題についてどう考えるか。(円滑な移行に向けた仕組み、支援体制等)
※障害児入所施設で暮らす18歳以上の入所者
Ⅲ 障害者の就労支援について
○ 短時間雇用など多様な就労ニーズへの対応や加齢等の影響による一般就労から福祉的就労への移行についてどう考えるか。
○ 雇用と福祉の連携強化についてどう考えるか。(雇用・福祉施策の役割分担、それぞれの課題など)。
Ⅳ その他
○ 介護保険施設等を居住地特例の対象とすることについてどう考えるか。
○ 障害福祉サービス等の制度の持続可能性についてどう考えるか。
私たちの意見。見直すべき4つの課題
DPIのヒアリングでは、障害の種別や程度、年齢にかかわらず本人が望む地域で生活し続けられる支援の確立と、どの自治体に住んでいても、家族介護に依存せず無理なく在宅生活が成り立つ仕組みと運用が不可欠であり、そのためには「施設からの地域移行」と「親元からの地域移行」の二つの地域移行を実現・継続可能にすることが必要であるという意見を述べました。
その上で、地域移行に関する事例を交えながら、今回の総合支援法の見直しに当たって見直すべき課題について以下の4点を挙げました。
- 障害支援区分と連動した国庫負担基準のあり方や医療的ケアや夜間介護の有無を無視した基準額の低さが原因で、十分な支給決定が受けられないという問題
- 地域移行に必要なサービスが不足している問題
- 本人はもとより、家族の不安を払しょくできるサービスや仕組みが不足している問題
- 訪問系サービスの区分や種類が複雑で規制も多すぎて、担い手不足が解消できず、行政の間接コストもかかりすぎる問題
その他、DPIが本ヒアリング用にまとめた意見の詳細については下記リンク先をご参照ください。
▽その他、当日出席した団体が提出された資料一覧(外部リンク:厚労省)
質疑応答では、数名の委員からご質問もいただきました。意思決定支援、自己決定支援の現状についての認識や課題についての質問に対しては、障害の種別や重さにかかわりなく、誰もが何らかの意思を有している、という前提のもと、意思決定や自己決定ができるようになるためには、その意思形成の段階からの丁寧なかかわり・支援が必要であると答えました。
また、地域移行を進めていくにあたって特にどこを変えることが効果的であるか、という質問に対しては、重度訪問介護の単価引き上げ、シームレス化が必要であると答えました。
この日のヒアリングの様子については、後日、厚生労働省のHP上で録画映像(一定期間後には録画に代わり議事録)が公開される予定ですので、そちらをご参照ください。
▽社会保障審議会(障害者部会)のページ(外部リンク:厚労省)
障害者部会の関係団体ヒアリングはこの日で最後となり、今後は団体ヒアリングで出された意見を踏まえての論点整理などが行われる見込みです。
報告:白井(事務局次長)
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