【DPI政策論「バリアフリー分科会」報告】
「公立小中学校のバリアフリー化と新幹線のバリアフリー対策〜私たちの声を施策に!〜」
11月21日(土)第9回DPI障害者政策討論集会で開催しました「バリアフリー分科会報告」を工藤登志子さん(自立生活センターSTEPえどがわ)が、参加した感想を藤原勝也さん(メインストリーム協会)が書いてくれましたので、ご紹介します!
今、日本のバリアフリー政策は物凄く進んでいます。特に2020年5月にバリアフリー法が改正され、公立小中学校のバリアフリー化が義務づけられました。また、新幹線のバリアフリー化も注目すべき取り組みです。これら2つの大きな進歩を紹介し、他の取り組みにもつなげていきます。
プログラム
今年のバリアフリー法改正の最大の成果は、公立小中学校のバリアフリー整備が義務化されたことである。文部科学省では法改正を受けて「学校施設のバリアフリー化等の推進に関する調査研究協力者会議」を立ち上げ整備計画の策定に取り掛かっている。
会議には日本障害フォーラムが委員として参加し、DPIもJDF構成団体として積極的に意見提起に関わっている。既存の学校も含め計画的にバリアフリー整備を推し進めるために何が必要か、これまでの議論と緊急提言について報告する。
昨年末から始まった新幹線のバリアフリー対策検討会は8ヶ月のワーキングを経て8月28日に最終取りまとめが公表された。DPIからは積極的な提案を行い、多くが最終取りまとめに盛り込まれた。車椅子席の増設、webでの予約・発券、窓口での迅速な予約発券はどうなるのか、今後の整備も含めて報告する。
■第一部「公立小中学校のバリアフリー化」
報告:尾上浩二(DPI日本会議副議長)
■第二部「新幹線のバリアフリー対策検討会と最終取りまとめ
報告:佐藤 聡(DPI日本会議事務局長)
分科会で報告・議論したこと
1.公立小中学校のバリアフリー義務化
令和2年5月、改正バリアフリー法が公布され公立小中学校のバリアフリー整備が義務化されました。新築と大規模改修時は義務、既存の当該建築物についても努力義務が課せられます。附帯決議には、設置主体や規模に関わらず、全ての学校施設のバリアフリー整備を推進することや、既存の学校施設であっても、数値目標を示し、バリアフリー化を積極的に進めることが盛り込まれました。
学校のバリアフリー化はインクルーシブ教育の基礎的環境整備として大きな意義があるとともに、避難所、投票所といった地域住民にとって重要な施設整備としての意義も大きいです。
現状は、多様な児童生徒や教職員、保護者、地域の方々等が円滑かつ安全・安心して利用する上でバリアフリー整備されているとは言い難いです。多様な障害の特性にも考慮しつつ、校舎や屋内運動場など建物内部だけでなく、建物間や駐車場から建物までの経路等も含めて学校内の円滑な移動が確保できるようバリアフリー化を目指すことが重要です。
文科省では7月から学校施設のバリアフリー化等の推進に関する調査研究協力者会議を開き、9月には緊急提言をまとめ、12月には最終とりまとめを予定している。最終とりまとめには数値目標も策定される予定です。
2.新幹線の新たなバリアフリー対策
「世界最高水準のバリアフリー環境を有する高速鉄道の早期実現を目指す」という目標のもと、昨年12月から障害者団体、JR5社、国交省での検討会がスタートしました。ソフト・ハードのワーキング、事前の意見交換会、実車を用いた実証実験等を行い、実証実験では多様な車いすユーザーが参加し、全ての人が使える車いすスペースとなるよう意識しました。
車いす席数の基準はスタジアムの基準を参考に提案し、8月に出された最終とりまとめでは、1編成当たりの総座席数が1000を超える場合は車いすスペースを0.5%以上、500~1000席では5席以上、500席未満では4席以上となりました。
2020年10月に基準が改正され、2021年7月から新しい基準が適用され、これ以降に製造される新型車両では新たな基準での車両整備となります。また、中長期的な課題として普通車、グリーン車にも車いすスペースを導入する、授乳室の設置を進める、介助者と一緒に利用できるようにトイレを拡大することなどが盛り込まれています。
この検討会は継続して設置され、今後も引き続きJR各社、障害者団体、国土交通省を交えた意見交換を行い、さらなるバリアフリー化を進めていくこととなりました。
(自立生活センターSTEPえどがわ 工藤登志子)
参加者感想
今回は公立小中学校のバリアフリー義務化と新幹線のバリアフリーについてでした。
まず学校のバリアフリー化は今年6月のバリアフリー法改正で努力義務から義務に変えられた。地域の学校のバリアフリー化はインクルーシブ教育の推進、災害時の避難所等として不可欠であるのに対象となっていませんでした。
私たち障害者が長い間訴え続けて実現しましたが、課題もあります。高校、大学、専門学校等は対象外という事の他に既存の学校の改修までは踏み込んでいないことです。そのため各地の委任条例で対応するように声を上げる必要があります。
次に新幹線ですが、今まで車椅子利用者が乗車できるスペースは東海道・山陽新幹線の場合11号車に3つしかなく、大規模な集会に参加するとき予約が非常に困難です。
当初JR各社は車椅子席を増やすことに抵抗していたが、国土交通大臣の強い要請でDPIの案が採用されることになりました。来年7月以降に製造される車両から7席に増えるとのことです。しかし、オンラインによるチケット予約等課題は残っています。
今回参加して、障害者が諦めず声を上げていくことが不可欠だと改めて実感しました。
(メインストリーム協会 藤原勝也)
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