全ての人が希望と尊厳をもって
暮らせる社会へ

English FacebookTwitter

【障害者権利条約】批准後の国内法整備などについて検討、報告を行いました(12/10国連障害者の権利条約推進議員連盟総会報告)

2020年12月11日 障害者権利条約の完全実施

会議の様子 1210日に衆議院第二議員会館で国連障害者の権利条約推進議員連盟総会が開催され、日本障害フォーラム(JDF)のメンバーとして参加しました。

この議連は2005年に国連で障害者権利条約の議論が進められていた時に設立された超党派の議員連盟で、年に一回程度総会が開かれ、初期は条約の策定、その後は日本が批准するための取り組みや、条約の国内実施を進めるために障害関係の施策の推進などに取り組んでくださっています。

毎回、JDFも陪席させていただき、意見交換をさせていただいております。出席された国会議員は、小野寺五典会長(自民)、盛山正仁幹事長(自民)、笹川博義事務局長(自民)、原口一博副会長(立憲)、阿部知子副会長(立憲)、高鳥修一衆議院議員(自民)、高橋千鶴子衆議院議員(共産)、横澤高徳参議院議員(立憲)、鈴木宗男参議院議員(維新)でした。

1. 政府の取り組み

(1) 内閣府

 衣笠参事官(障害者施策担当)から、障害者政策委員会の取り組みについて報告がありました。障害者政策委員会は障害者基本計画の実施状況の監視を通じて障害者権利条約の実施状況の監視を行っている、第4次障害者基本計画(2018-2022)は条約の理念・規定を踏まえて策定しており、次回の政策委員会(12/14開催)にて、2019年度の実施状況のフォローアップを行う。

障害者差別解消法については、本年6月に意見書を取りまとめ、改正法案を現在検討中ということでした。

(2) 外務省

 富山人権人道課長から、条約締結からの経過と対日審査の状況について報告されました。2019年に国連権利委員会から日本政府に事前質問事項(重要事項についての質問)が出され、2021年3月末までに回答を予定している。

世界的な新型コロナ感染拡大のあおりを受け、本年夏に予定されていた権利委員会による日本の審査は延期され、本年春と夏の会期は審査自体が行われなかった。新たな対日審査の日程について見通しが立っていない状況。

今後の新型コロナの終息状況と来年3月の他国の審査の実施状況を踏まえた上で新たな審査日程が決まる予定。対日審査に向けて市民社会と意見交換を行う。対日審査は市民社会と協力しつつ、我が国の障害者施策の一層の充実を図る良い機会と捉えているということでした。

(3) 厚労省

 源河障害保健福祉部企画課長から、障害保健福祉施策の経緯、精神障害者の早期退院・地域以降、意思疎通支援・情報アクセシビリティの向上(読書バリアフリー法等)、障害者雇用対策について報告がありました。精神病床における在院期間は、1年以上の入院が17万人、うち5年以上が8万人あるが、総数としては減ってきているとのことでした(令和元年272,089人)。

2. 障害者権利委員会の動向

 石川准さん(国連障害者権利委員会副委員長/内閣府障害者政策委員会委員長)からは権利委員会の状況について報告がありました。4年前から権利委員となり、ミャンマー、中国、イスラエル、モンゴルの審査を担当した。中国の審査では市民団体との対話は出来ず、レポートも本土からは出されなかった。

イスラエルは国内の障害者とパレスチナ占領地区の障害者からのレポートがあり、特にパレスチナ占領地区の障害者の報告は衝撃的だった。9月はオンラインで開催したが、委員によってはネット回線が不安定で進行が難しいこと、18人の委員はニュージーランドからメキシコまでおり時差の問題で会議の設定が難しいということです。

なお、石川さんは本年で任期が終わるということで、4年間の素晴らしい働きに対し、議連の先生方から感謝の言葉と大きな拍手が贈られていました。

発言をする石川准さん

3. JDFパラレルレポートの紹介と質疑

 藤井副代表からJDFのパラレルレポートの報告があり、パラレルレポート特別委員会事務局長の私から、レポートの中身をかいつまんでご報告させていただきました。

 横澤参議院議員からインクルーシブ教育への想いを尋ねられ、私の経験からお話させていただきました。小学生の時に事故で車椅子生活となり、当時は車いすでは普通学校に入れてもらえず、養護学校のある施設に入り、外には全く出られない隔離された生活を送っていた。外に出れないために様々な経験を積むことが出来ず、4年間いたらお店で買い物ができなくなった。限られた人しか会わない生活だったので、初めて会う店員が怖くなってしまった。

また、インクルーシブ教育は障害のない生徒にとっても大切。日本で私(車いす)と健常者の友だちでお店に行くと、店員はちらっと私を見るのだが、怯えた目をしている。私が店員に尋ねると店員は私ではなく健常者の友だちに答える。障害者と一緒に育っていないから障害者のことがわからず、失礼なことを言ってしまうのではないかと不安に思っているようだ。

アメリカに行くと、アメリカ人は全く躊躇せず私に話しかけてくる。インクルーシブ教育をやっているので、子どもの頃からいろんな障害者に出会って育っており、障害者に慣れていると感じる、という話をさせていただいた。

他にも出生前診断に関すること、障害者差別解消法の見直しに関する等について省庁やJDFにご質問を頂いた。

条約の国内実施を進めようと超党派の国会議員のみなさんがこの議連に集まり、政府の障害者施策を推進し、JDFの取り組みをご支援頂き、とても心強く感じています。ぜひとも来るべき対日審査のときには、議連の先生方にもジュネーブにご同行いただき、初回の審査を見守っていただきたいと思っています。

報告:佐藤聡(事務局長)

▽障害者権利条約の国連審査(建設的対話)についてわかりやすく解説をしています(第4回オンラインミニ講座)

私たちの活動へご支援をお願いします

賛助会員募集中です!

LINEで送る
Pocket

現在位置:ホーム > 新着情報 > 【障害者権利条約】批准後の国内法整備などについて検討、報告を行いました(12/10国連障害者の権利条約推進議員連盟総会報告)

ページトップへ