2021年からの新しいバリアフリー整備計画が決まりました!
(第11回「バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会」(11/18)報告)
2020年11月20日 バリアフリー
バリアフリー法は10年間の整備計画(基本方針)を策定し、数値目標を掲げて整備を進めてきました。現在の計画は本年度で終了するため、来年度以降の新たな計画を議論し、11月18日の第11回検討会で新しい基本方針が決まりました。11月20日は赤羽国土交通大臣が発表し、国交省のHPに掲載されます。
新たな計画は5年間の計画とし、マスタープラン、基本構想、心のバリアフリーが新しく項目に加えられています。
▽バリアフリー法に基づく基本方針における次期目標の最終とりまとめを公表します!
~2021年度以降のバリアフリー目標の整備に向け、最終とりまとめを公表~(外部リンク:国土交通省)
議題
1)基本方針におけるバリアフリー整備目標の見直しについて
・ 次期目標について(最終とりまとめ案)
2)改正バリアフリー法の施行に向けて
・ バリアフリー法施行令・施行規則の一部改正について
・ 移動等円滑化の促進に関する基本方針の一部改正について
・ ハード・ソフト取組計画関係告示の一部改正等について
・ 移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドラインの改訂について
3)報告事項
・ 高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準の改正に関する検討会及び
・ 小規模店舗WGの開催状況について
・ 交通バリアフリー基準の改正(ソフト基準・新幹線の車椅子用フリースペース)について
・ 観光施設に係る認定制度について
4)その他
基本方針について
基本方針におけるバリアフリー整備目標の見直しについては、ハード・ソフト両面でのバリアフリー化をより一層推進していく観点から、以下の点に留意するとしています。
各施設等について地方部を含めたバリアフリー化の一層の推進
(平均利用者数が2,000人以上3,000人未満/日であって基本構想に位置付けられた旅客施設等に関する目標を追加)
聴覚障害及び知的・精神・発達障害に係るバリアフリーの進捗状況の見える化
(旅客施設のバリアフリー指標として、案内設備(文字等及び音声による運行情報提供設備、案内用図記号による標識等)を明確に位置付け)
マスタープラン・基本構想の作成による面的なバリアフリーのまちづくりの一層の推進
移動等円滑化に関する国民の理解と協力、いわゆる「心のバリアフリー」の推進
委員からは、心のバリアフリーの推進、基本構想・マスタープランの策定のための周知を推進して欲しい等の意見が出ていました。
DPIの佐藤事務局長からは、以下3点発言しました。
① バス 適用除外車両の見直し
適用除外認定基準が改められ、リフトバスが導入される。どの空港が対象になるか、空港名を公表してほしい
② バスターミナル
本年のバリアフリー法改正で新たに加えられた特別特定車両停留施設(バスタ等)について、現在、バリアフリー整備基準を検討会で策定している。バスタプロジェクトは今後全国に広がり、10カ所程度作られる予定。整備基準が策定されたら、基本方針に追加していただきたい。
③ 鉄軌道車両 都市間鉄道(特急等)の整備基準の見直し必要
新幹線のバリアフリー整備基準は素晴らしいものが出来た。通勤型鉄道や地下鉄も都市部では、新しい車両はすべての車両にフリースペースが設置されだしている。残るは特急などの都市間鉄道。現在の基準は1編成に2席(3両以下の場合は1席)となっており、改善が必要。さらにバリアフリー整備を進めてほしい。
改正バリアフリー法や報告事項について
委員から以下のような意見が出ていました。(一部抜粋)
研修現場には障害当事者を必ず参加させるようにして欲しい。
マスタープラン、基本構想のガイドラインに障害当事者が関われるよう、視覚障害者も読める資料が欲しい。
コロナ禍でのソフト対応について。3密、接触をさける対応は視覚障害者には困難で、配慮してほしい。
障害者用多機能トイレの分散化をして欲しい。
障害者用駐車場のパーキングパーミッド制度の検討を再度やって欲しい。制度未導入の県も進めて欲しい。
コロナの状況に配慮しながら観光地のバリアフリー化を進めて欲しい。
観光庁の認定、一覧で情報が入手できるように手立てを。アクセスした時にまとまった情報が得られるように言及してほしい。
予約サイトにも情報提供してほしい。発達障害で感覚過敏ある人、マスクをつけるのが難しい人が予約サイトで宿泊拒否される事例ある。観光庁と関係省庁から必要な情報を提供してほしい。
マスタープラン・基本構想策定の意義がいまはお金が強調されているが、つくることによって障害者高齢者等市民の福祉の増進にどう貢献するのか、街がどう活性化するのか、発展の期待をガイドラインに入れ込みたい。
トイレ、優先席、障害者用駐車場の不適切利用が起きないよう、技術的な指針や罰則規定、ガイドラインでの目に見える形で不適切利用はだめだということを伝えてほしい。
公立小学校の学校が特別特定に入った。民間の学校、高校に広がることを期待している。
DPIの佐藤事務局長からは、以下2点発言しました。
今回の議題には直接的に関係はないが、バリアフリー法に関わることなので、下記2点発言しました。
① 共同住宅のバリアフリー化
本年改正されたバリアフリー法の附帯決議を踏まえ、障害者が住居可能な共同住宅の実態把握と、建築設計標準の見直し等を進めていただきたい。
【衆議院 附帯決議】
九 障害者が居住可能な共同住宅についての実態把握の調査等必要な措置を講ずること。
【参議院 附帯決議】
十三 障害者が居住可能な共同住宅を増やすため、そのバリアフリー整備の実態調査、建築設計標準の見直し等必要な措置を講ずること。
② 東京ドームの改修について
本年7月に東京ドームが100億円の改修をすると発表された。しかし、改修内容にバリアフリー整備が入っていない。東京ドームはバリアフリー整備が不十分な現状にあるにも関わらず、大規模改修でバリアフリー整備をしないのはいかがなものか。国交省から働きかけをしていただきたい。
東京ドームは46,000席あるが、車椅子席は2ヶ所合計22席(0.047%)しかなく、サイトラインも確保されていない。車椅子で使えるトイレも数カ所(2?)しかない。
2015年に国交省が策定した「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(劇場、競技場等の客席・観覧席を有する施設に関する追補版)」では、車椅子席は総席数の0.5%以上、サイトラインの確保、同伴者席は車椅子席の隣に配置するなど基準を策定している。
日本を代表するスタジアムであり、全国のスタジアム整備に大きな影響を与える。建築設計標準は義務基準ではないが、今回は大規模改修なのでぜひとも追補版を踏まえたバリアフリー整備を実現していただきたい。国交省から働きかけをしていただきたい。
最後に
これらの要望に対して国交省は、研修の当事者参加の呼びかけ、マスタープラン・基本構想のガイドラインを確認できるようにする、トイレの機能分散化の検討を行っていくとの発言がありました。また、東京ドームへの対応についても状況を確認し担当部署で検討したいとのことでした。新たな基本方針については年内にパブリックコメントを行い告示の改正をする予定です。
赤羽国土交通大臣が「バリアフリー施策はその国の品格を表す」といつも言われているように、日本が世界に恥じないバリアフリー施策を行っていけるよう、今後も積極的に提案し、働きかけていきたいと思います。
報告:工藤 登志子(DPIバリアフリー部会)
参考
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