【注目ポイント解説!】障害児入所施設、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援について検討がされました(10月12日報酬改定検討チーム報告)
2020年11月11日 地域生活
10月12日に開催された、報酬改定検討チームの議論(障害児入所施設、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援)の注目ポイントを解説します。
▽第17回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(オンライン会議)」資料(外部リンク)厚労省
脱施設に関する検討は無し
障害児の入所施設の人員配置基準の見直し、医療的ケア児対応の加算(強度行動障害児特別支援加算)等が論点に上がっているが、脱施設に関する検討はありませんでした。
(資料1 障害児入所施設に係る報酬・基準について P.2から抜粋)
(資料1 障害児入所施設に係る報酬・基準について P.8から抜粋)
(資料1 障害児入所施設に係る報酬・基準について P.9から抜粋)
ただ、障害児の入所施設共通論点として「地域移行を担うソーシャルワーカーの専任配置」が論点や検討の方向性に上がっていたので、今後の動向を注視していきたいと思います(加算の話だけかもしれませんが…)
(資料1 障害児入所施設に係る報酬・基準について P.43から抜粋)
▽資料1 障害児入所施設に係る報酬・基準について[PDF形式](外部リンク:厚労省)
医療的ケア児の訪問系サービス支給量が低い問題について
障害児の国庫負担基準について、1種類しかないことが原因と思われます。
障害児の国庫負担基準については、現在までのところ論点には上がっておらず、資料も出されてはおりません(検討会の最後には出てくるかも)。
障害児は障害支援区分がないこともあり、障害児の国庫負担基準は、障害の種類や程度に関係なく一律となっています。それも障害者に比べ著しく低い(現行:平成30年度の国庫負担基準参照)ため、市町村の支給決定基準も国庫負担基準に合わせて、障害の程度や支援ニーズに関係なく一律かつ少時間になっている自治体が多いことから、特に医療ケア児のニーズに十分対応できず、親の負担が大きく離職せざるを得なくなったりするなど、親の身体的、精神的、経済的負担が大きいという問題が続いています。
今回の報酬改定の議論の中で医療的ケア児に対する支援強化が上がっているが、入所や通所施設に対するもののみで、居宅介護など訪問系サービスの支援強化は論じられていません。医療的ケア児など重度や重複の障害児の訪問系サービスに対応できる国庫負担基準の新設が必要と考えます。
重度訪問介護は、運転中のヘルパー利用を算定するかが論点
運転中はNGでも、駐停車中の介助行為を新たな報酬として算定することになるかがポイントです。
(資料3 重度訪問介護に係る報酬・基準について P7-8から抜粋)
(資料3 重度訪問介護に係る報酬・基準について P10から抜粋)
行動援護、同行援護は、ヘルパーやサービス提供責任者の資格要件厳格化の経過措置延長が論点
行動援護と同行援護は、それぞれ専門の研修受講が従業者(ヘルパー)、サービス提供責任者に必要な要件としつつ、受講修了者が十分増えるまでの経過措置として令和3年3月まで要件を緩和しています。しかし、現状ではまだ修了者が十分確保されておらず、かつコロナ禍でもあるため、経過措置期限のさらなる延長が論点となっています。
(資料4 同行援護に係る報酬・基準について P1から抜粋)
(資料5 行動援護に係る報酬・基準について P1から抜粋)
▽資料4 同行援護に係る報酬・基準について[PDF形式](外部リンク:厚労省)
▽資料5 行動援護に係る報酬・基準について[PDF形式](外部リンク:厚労省)
通所、通学における同行援護の利用について
重度障害者等の通勤や職場等における支援については、通所、通学については対象とされていません。盲ろう者(児)が利用できる通所事業所や学校は限られており、広域的な利用(遠距離からの通所、通学)をせざるを得ないため、事業所などの一般的な送迎サービス(送迎車両)を利用することは困難です。
このため、公共交通機関などを利用した人的な移動支援として、同行援護の利用を認める必要があると考えています。
▽資料4 同行援護に係る報酬・基準について[PDF形式](外部リンク:厚労省)
その他、DPI日本会議から提起した意見
- 重度訪問介護の対象者の枠を広げていただきたい。対象を重度の肢体不自由、行動援護対象者に限定せず、「日常生活全般に常時の 支援を必要とするすべての障害者」に対して利用可能としていただきたい。
- 重度訪問介護について、障害支援区分4・5の場合の報酬も拡充させること。また、重度訪問介護は本来、8時間の介助提供をして採算 ベースがとれるように設定されているものであって、区分4・5であっても一日8・10時間などの長時間利用が認められるようにすること。若しくは3・4時間の利用であっても十分な採算が取れるような報酬設定にすること。
- 重度訪問介護について、障害のない人と同等の権利を保障する上で、通勤、通学、就学、就業時の利用を可能にすべき。
- 重度訪問介護は(区分4)から居宅の訪問介護を受けられるが、入院中の利用は居宅等で継続的に利用している区分6でなければ重度 訪問介護は受けられない。入院時こそ区分4であっても普段から訪問介護で介助に慣れた方が必要である。
(資料4 同行援護に係る報酬・基準についてP5から抜粋)
〇重度訪問介護サービスについて、以下の課題があるため、提供時間の底上げと地域間格差の是正が必要である。
- 介護保険のサービスが十分使えない(医療的ケアを担う事業所が少ない。僻地、離島などで利用できない。)
- 重度訪問介護サービス給付において区市町村で公平に給付されておらず、大きな給付格差が見られる。
- 重度訪問介護サービス給付の制限理由として財政事情や無理な家族介護を求めるなどの苦情が聞かれる。
(資料4 同行援護に係る報酬・基準についてP5)
▽資料4 同行援護に係る報酬・基準について[PDF形式](外部リンク:厚労省)
▽障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(外部リンク:厚労省)
以上
報告:地域生活部会長 今村 登
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