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「コロナ禍と、私たち障害者」シンポジウムをオンライン開催しました(DPI加盟団体「障害連」活動報告)

2020年11月10日 地域生活

 10月17日(土)、DPI加盟団体である障害者の生活保障を要求する連絡会議(以下障害連)が「コロナ禍と、私たち障害者」をテーマにシンポジウムを行いました。障害連の尾上さんに報告を書いて頂きましたのでご紹介します。
紙飛行機の画像

今年は、新型コロナウイルス感染症の流行が未だに収まらないため、Zoomを使いオンラインで開催しました。シンポジウムにはおよそ70名が参加しました。

 パネリストと指定発言者は、海老原宏美さん(自立生活センター・東大和 理事長)、山田悠平さん(精神障害当事者会 ポルケ)、五位渕真美さん(障害連)、大島由子さん(清瀬療護園 自治会)、尾上裕亮(障害連 代表)の5名でした。

1.趣旨

 2020年は新型コロナウイルス感染症で日本中、いや世界中の人々が頭を悩ます年となりました。日本ではコロナは年明けから私たちの生活に影響を及ぼし始め、春には緊急事態宣言が出される事態に陥りました。

 宣言は5月下旬に解除されましたが、感染拡大の懸念は依然としてあります。私たち障害者は、生きる、生活するためには人の何らかのサポートが必要で、“街に出よう”、“社会に訴えかけ一員としてくらす”ことを標語として運動してきました。しかし感染防止のため、それは行いづらいものがあります。私たちはこのパンデミックをどのように乗り越えていけるのでしょうか。

 本シンポジウムでは、コロナ禍で私たちはどのように生活しているかを共有し、これからどのように運動を進めることができるのかについて、登壇者と参加者とともに考えていきたいと考え企画しました。この議論が数十年後、新たなパンデミックの時に参考になれば幸いです。

2.内容

(1)コロナ渦で浮き彫りになったこと

海老原さんは、コロナ禍について「私は複数の疾患をもち常に人工呼吸器をつけており、インフルエンザ等の感染予防に気を配っているのは、今年に限ったことではない。社会全体が自分と同じような意識や行動をとっているのはむしろ嬉しい」と述べました。

 また運動について「いままで私たちは外に出て、周りを巻き込みながらバリアフリー運動を地道に」してきました。しかしそれができにくく、「街に障害者の存在がなくなっていくとも感じる」と語りました。その反面、オンライン化がすすみ「障害者が社会参加しやすくなった」とも指摘しました。街のバリアフリー運動と社会参加の一手段としてのオンラインは同時に進めなければなりません。

 山田さんは、コロナ禍で当事者の声を集め行政に訴える取り組みを紹介してくれました。東京大田区を中心にして活動している精神障害当事者会ポルケでは、緊急事態宣言発令中に、精神障害を抱えた仲間たちにウェブアンケートを行いました。

 その調査では、オンライン診療についてはそこまで高くないといいます。また特別定額給付金(世帯主への給付。家族関係が良好ではない仲間にお金が手元に入ってこないという心配)、PCR検査(グループホームの外出制限。PCR検査など活用して、罹患しない状況を担保し、安心して地域生活を送れるよう要請)に関する要望書を出しました。「行政に実態を伝え当事者がどういうことで困っているかを伝えることが運動として大事」と述べた。

 尾上(裕)は、世界各国の当事者が書いた生活記事をまとめたIDA(国際障害同盟)のサイトを紹介しました。多くの国で当事者の声を聞かずにコロナ感染対策を決められていった経緯から「平時から行政といろいろ話し合う関係を築くことが重要だ」としました。

(2)生活・介助について

 五位渕さんは、自身が体験していることを通じて介助について共有してくれました。介助者と話し合いながら「朝晩の介助者交代時には、手洗い・うがい、持ち物や上着は大きなゴミ袋に入れて部屋に持ち込むなどの対策をしている」といいます。

 寒いけれど部屋の換気もしっかりします。実際の介助の対策も大変ですが、介助者調整もコロナの影響があるといいます。入る介助者が別のところで濃厚接触者の介助にあたり、「自分も濃厚接触者かもしれない」と言われ、代わりの介助者の調整を行ったことが多くあったそうです。

 「コロナ感染予防の方法や考え方は、人によっても、介助派遣事業所によってもだいぶ違います。どのようにコミュニケーションを取っていくかが難しい」と言っていたのが印象的でした。

指定発言

 指定発言では大島さんは、入所施設の現状を伝えてくれました。コロナ前は「ここは、入所だけでなくショートステイやデイサービス、ボランティアさん・地域にお住まいの方への施設貸出しもしていた」と言います。それが「コロナのため、ボランティアさんの訪問だけでなく、外出や面会など一切制限」、「家族との面会は、窓越しとなり、見ていると胸が痛くなる」と述べました。

3.まとめ

 シンポジウムの目的であった「コロナ禍の生活を共有」「今後の運動を考える」は達成できました。介助者とコミュニケーションを取りながら生活を積み重ねていく姿は、多くの障害者への参考になりました。入所施設の様子を知ることができたことは貴重でした。

 コロナが収まってきたら社会参加をどう取り戻し如何に増やしていくかについて、みんなで考え実行しなければなりません。パンデミックの状況でも私たちの声を社会や行政に訴えることは重要です。今後の運動は、オンラインの力も生かしつつ人とのつながりを重視したものになっていくかもしれません。

 ヨーロッパなどでは、10月から新型コロナウイルス感染者が増加しており、そこに住む障害者の様子が見えにくいです。日本も対岸の火事ではありません。私たちは世界の仲間とともに一緒に声を上げる必要があります。

報告:障害連(障害者の生活保障を要求する連絡会議)尾上裕亮

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