高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準の改正に関する検討会及び小規模店舗WG(第2回)報告
2020年07月21日 バリアフリー
6月29日、高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準の改正に関する検討会及び小規模店舗WG(第2回)が開催され、DPIから佐藤事務局長が出席してきました。
この検討会は、従来店舗内のバリアフリー整備基準がなかったため、建築設計標準を見直し、小規模店舗のバリアフリー化を図るために設置されました。
昨年度に第一回検討会及び小規模店舗WGが合同開催され、本年度は検討会を2~3回程度、WGを3~4回程度開催し、建築設計標準改正(案)のとりまとめを作成し、2020年度内を目途に、建築設計標準の改正を行う予定です。
今回話し合いが行われた内容は以下の通りです。
- 建築設計標準改正の考え方(案)
- 重度の障害、介助者等への対応について
- ①現状の課題整理と検討の方向性(案)
- ②改正内容について(たたき台)
- 設計事例集について
- ①現状の課題整理と検討の方向性(案)
- ②改正内容について(たたき台)
- 小規模店舗のバリアフリー化について
- ①現状の課題整理と検討の方向性(案)
- ②改正内容について(たたき台)
- 意見交換
小規模店舗のバリアフリー化はバリアフリー法が出来た後も十数年間ほとんど進展がなく、整備が遅れている部分です。それは床面積2000㎡以上の建物しかバリアフリー整備義務がないため、小規模店舗ではいつまでもバリアフリー化が進まないといった課題があります。
今後バリアフリー整備を進めるために、建築設計標準に店舗内の整備基準を設けるものです。
<ハード面>
- 小規模店舗のバリアフリー基準適合率を高めるための設計の考え方・設計上の主要ポイント・留意点を追加。
- 高齢者・障害者等の利用に配慮した店舗内のバリアフリー化の留意点を追加。
<設計事例の紹介>
- スペースや予算が限られた中で、バリアフリー対応に配慮した小規模店舗の設計事例を追加。
<ソフト面>
- 小規模店舗における接遇・備品対応、バリアフリー情報の提供等、ソフト面に関する留意点を追加。
また、具体的な利用シーンを想定して大きく3つの区分(店舗へのアクセス等、店舗内部、ソフト面の工夫)に分け、関係団体等へのヒヤリングを踏まえて改正内容の方針を検討するとしています。
DPIからの要望
- 簡易多機能トイレについて、利用者の分散化のためにスペースがあるところでは一般トイレの中にも簡易多機能トイレを男女それぞれに設けて欲しい。
- 小規模店舗について、規模の区分をもう少し細分化(100㎡毎)した方が良いのではないか。
- 規模に関わらず、段差の解消、ドア幅の確保(80cm程度)、固定椅子をやめて動かせる椅子にする、等の対応は最低限必ずして欲しい。
- 規模の大きい店舗では簡易多機能トイレ、多機能トイレを設ける等の条件を追加していって欲しい。
- 車いすで使いやすいテーブルも1か所以上用意して欲しい。
- 共同住宅のバリアフリーガイドラインも作って欲しい。
〇その他の団体からの要望(一部抜粋)
- 視覚障害者でも多機能トイレが使用中かどうかわかるように音声案内もつけて欲しい。
- メインの入り口にエレベーターがなく、裏同線、サブ同線にエレベーターがある場合に案内表示が欲しい。
- 100~200㎡以下の小規模店舗でも使える店舗のモデル事例を紹介して欲しい。
- 出入り口のチャイムはメロディーがあると店舗を認識しやすい。
- コインパーキングも検討課題に入れて欲しい。
- 小規模店舗のバリアフリー化を進めるためには補助金が必要。オリパラ後も継続して欲しい。
今回のWGでは、学識経験者や当事者団体の他に事業者団体、建築関係団体、地方公共団体、関係省庁も出席しており、普段私たちが感じている要望を直接伝えられるという点で非常に貴重な機会でした。
これまで私たち障害者は「行きたいお店」ではなく「行けるお店」しか利用できませんでしたが、これを機にどのお店にも自由に行けるようになり、全ての人が等しく選択できるようになっていって欲しいと感じました。
報告:工藤 登志子(バリアフリー部会)
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