11/24(日)DPI政策論「バリアフリー分科会」報告
移動等円滑化評価会議・地域分科会を活用し、当事者の声を施策に反映させよう!
11月24日(日)第8回DPI障害者政策討論集会で開催しました「バリアフリー分科会報告」を佐藤聡(DPI日本会議事務局長)が執筆し、参加した感想を寺島祥史さん(AJU自立の家)書いてくださったので、ご紹介します!
▶分科会4 バリアフリー「移動等円滑化評価会議・地域分科会の活用〜私達の声を施策に!〜」
昨年バリアフリー法が改正され、移動等円滑化評価会議が新設された。バリアフリー整備されたのに、使いにくい・使えないものがよくあるが、これは当事者の視点が抜けているためである。設備や施策を障害当事者の視点で評価し、施策に反映させる仕組みを作るために、この評価会議が設けられた。全国10ブロックにはそれぞれ地域分科会も設けられた。この評価会議と地域分科会を活用して全国のバリアフリー整備をさらに推し進めていくために、各地の地域分科会の委員から現状をご報告いただき、課題を整理し、今後の取組を議論する。
さらに、急速に普及しているUDタクシーは、残念ながら、車いすの乗車拒否が続いている。乗車を阻害しているバリアはどこにあるのか、10月30日の「全国一斉UDタクシー乗車行動」実施を踏まえ、この一斉行動で集まったデータをもとに、真に誰もが利用できるUDタクシーにするために何が必要か、今後の取り組みを議論する。
■第一部 「10.30全国一斉UDタクシー乗車行動報告」課題整理と分析、今後の取組
報告:佐藤 聡(DPI日本会議事務局長)
■第二部 「移動等円滑化評価会議と地域分科会」の現状と、今後の取組」
1.「移動等円滑化評価会議と地域分科会」
報告:奈良 裕信(国土交通省総合政策局安心生活政策課課長)
2.評価会議と地域分科会の取り組み報告
○報告
評価会議:佐藤 聡(DPI日本会議事務局長)
地域分科会:西村 正樹(北海道、DPI副議長)、工藤 登志子(関東)、六條 友聡(近畿)、畑 俊彦(中国)
○コメンテーター:高橋 儀平(東洋大学名誉教授)
1.分科会開催の経緯
2018年にバリアフリー法が改正され、移動等円滑化評価会議が新設されました。設備整備や取り組みを障害当事者の視点で評価し、施策に反映させるためのもので、全国10ブロックにそれぞれ地域分科会も設けられました。この分科会では、評価会議と地域分科会を活用して全国のバリアフリー整備をさらに推し進めるために、4つの地域分科会の委員から現状をご報告いただき、課題を整理し、今後の取り組みについて議論しました。
2.分科会で報告・議論したこと
最初に、佐藤事務局長が10月30日に実施した「全国一斉行動!UDタクシー乗車運動」の調査結果について説明し、11月19日に国交省から2回目の通達が出されたことが報告されました。
次に、国土交通省安心生活政策課奈良課長から、移動等円滑化評価会議と地域分科会の概要についてご報告いただき、その後は、評価会議の状況について佐藤事務局長から、北海道分科会の状況については西村正樹DPI日本会議副議長から、関東分科会は工藤登志子さん(バリアフリー部会・STEPえどがわ)、近畿ブロックは六條友聡さん(ぽぽんがぽん)、中国ブロックは畑俊彦さん(てごーす)からご報告いだきました。
主な発言は下記の通りです。
- 地域分科会は年に1回だけで回数が少ない。報告のみで終わって発言時間も短く十分に議論ができていない。地域の課題、先進的な取り組み等を実際に視察して評価する取り組みをしたい。
- 近畿ブロックでは委員の自主的な取り組みを行い、阪急バスの接遇研修の見学と意見交換、歩道整備についての検証会などを行った。
- 各地域分科会の評価を評価会議へ吸い上げていくことが必要。好事例については各分科会で共有してほしい。
- 地方部では、鉄道よりも(高速)道路網や島への架橋が整備され、公共交通も鉄道や連絡船よりも(高速)路線バスのシェアが高まる傾向がある。高速路線バス車両は車いす対応のものが皆無で、バリアフリー化に逆行している。
- 各地域分科会で当事者参画のモデル事業を実施してはどうか。新国立競技場のUW/WSのように基本設計の段階から多様な当事者の声を反映させて施設整備を行うことをやってみる。基本構想の策定、駅、空港、バスターミナル、港、スタジアム、劇場、ショッピングセンター、店舗、学校、共同住宅、遊園地、水族館、動物園、海水浴場、キャンプ場、公園、観光地等。
コメンテーターの高橋儀平東洋大学名誉教授からは、下記のコメントをいただきました。
- 今年度はスタートの年度でもあるのでやむを得ないが、同じ議論を繰り返さずに、積み上げていかないと新たな論点に入れない。論点整理を経た上で、地域行政を含めた各事業者からのコメントを求める必要がある。
- 地域分科会の役割は、障害当事者の参画や地域の整備状況に応じた課題を明らかにすることと思われるが、10ブロック単位から少なくとも従来の支局レベルまでにブレークダウンする必要があるのではないか。各都道府県でもそれぞれの全市町村が参加した都道府県評価会議が必要。全国評価会議⇒地域分科会⇒都道府県評価会議
- 評価会議、地域分科会には多くの障害者関係団体が参加している。バリアフリー施策を効果的に推進するためには当事者としてバリアフリーの到達点をどこにおくべきか、相互に議論し合意しておく必要がある。当事者によって正しい方向を見出す機会、場、例えば「当事者分科会」が必要である。
なお、奈良課長には最後までご同席いただき、各地の委員の話を聞いていただき、会場からの質問にもご回答頂きました。この場を借りて感謝申し上げます。
3.今後の取り組み
分科会での議論をうけて、今後は各地域分科会を複数回開催すること、地域の課題(雪、島、過疎地等)や先進的な取り組みを視察して評価すること、好事例を積極的に評価していく、という方向で取り組んでいきたいと思います。
なお、この分科会の議論を受けて、12月10日に国土交通省にマスタープラン制度の改善と移動等円滑化地域分科会体制整備を求める要望書を提出しました。
(DPI日本会議事務局長 佐藤 聡)
参加者感想
今回は、普段一番身近なバリアフリーを選びました。
僕はまだUDタクシーに乗れたことがありません。
UDタクシーが出だした頃に乗ってみたくてチャレンジしてみましたが、4台に声を掛けて全部断られました。
理由は「研修をしてない。」「乗車に1時間かかる。」と言われました。
今年の10月30日に行われた一斉乗車の結果を聞いて、以前とはだいぶ変わってきたと感じており、研修をちゃんとやってる事業所もあるということを知ることができて良かったです。
オリンピック、パラリンピック(以下、オリパラ)に向けて、誰もが利用できて、どのタクシーでも同じ対応をしてもらえるようになって欲しいです。
実は今回の政策討論集会の全体会が行われた日にUDタクシーに声をかけましたが、休憩中という理由で断られました。これからも断られても諦めず声をかけ続けていきます。
地域のブロック毎にもいろんなバリアフリーの取り組みがあることを聞き、どこの地域も同じような課題があることを知りました。
オリパラを迎える東京のバリアフリーは整備されてきていますが、地下鉄や駅構内の移動や案内に課題があると思いました。
僕は東京駅構内の移動がとても大変でした。地下鉄は乗り継ぎやエレベーターの位置が分かりづらく、とても時間がかかりました。開催まで1年を切っている状況で、このままオリパラを迎えて大丈夫なのか?という心配があります。
そして、東京などの都心部だけが進んで行くのではなく、他の地域も同じように進んでいき、地域間格差がなくなっていったらいいと思います。
(AJU自立の家 寺島祥史)
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