都道府県&市町村条例集・例規集調査マニュアル


 都道府県や市町村の条例集・例規集の調査(障害を理由とした公共施設の利用制限など)をするにあたっての手順やコツを説明します。

その一:お出かけ前に
 まずは調査表の準備をしましょう。別添いたしました調査票の左側に市町村名を入れる欄がありますので、全市町村名を入れてください。必要ならば調査票は複数枚コピーしてから使ってください。全市町村名は郵便局の「ぽすたるガイド」や図書館の各種統計資料をあたればリストアップできます。
調査表を必要とされる方は、こちらからダウンロードしてください。
※ダウンロードできるのは、 圧縮したエクセル(Excel@Microsoft)ファイルです。
  ダウンロードの後、解凍してください。
その二:条例集・例規集を探す
 都道府県立の図書館の郷土資料などのフロアには、全市町村の条例集がそろっています。閉架図書の場合もあるので、見つからない場合は図書館のスタッフ(司書など)に聞いてください。

その三:都道府県条例集を調べる
 都道府県の条例集・例規集はたいていの場合、5〜10冊の分冊になっています。その中でだいたい10程度の「編」に分かれていますが、調査の対象となるのは「議会」・「教育委員会」・「民生」といった編に集中しており、「土木」・「警察」・「消防」などはおそらく関係ありません。

その四:市町村条例集を調べる
 市町村は都道府県によって数が違いますが(北海道で200以上)、たいていの市町村の条例集・例規集は1冊のみか2分冊です。都道府県と比べて冊数が少なく、構造も似たり寄ったりなので、慣れてしまえば単純作業となります。
 中には都道府県立の図書館なのに、全市町村の条例集・例規集が揃っていない場合もありますが、そのような揃っていない市町村は後回しにして構いません。該当する(揃っていない)市町村の市町村立図書館か役所に行けば調べられるので、余力があったらお願いします。

その五:枝番・飛び番に注意
 条例集・例規集は常に条例の新施行・改廃に伴い変化しており、そのたびに新たなページが加わったり、差し替えられたりしています。そのため、ページ数の振り方が通し番号でなく、枝番や飛び番が多く存在します。
 このややこしいページ体系に慣れるのに少し時間がかかるかも知れません。例をいくつかあげれば「570の13の25」とか、「1538(-1600)」です。後者の意味は1539ページから1600ページは存在しないと言う意味です。

その六:該当する条例を探すには
 たとえば、「公会堂」の利用制限を調べるとして、すべての市町村で共通して「公会堂利用条例」という条例名で載っているとは限りません。「市民会館利用条例」や「ふれあいホール利用条例」など、市町村によって名前が違います。このような傾向は「公会堂」・「労働会館」・「市民会館」・「青少年の森」・「総合福祉センター」・「老人福祉センター」・「集会所」に見られます。逆に、「図書館」・「議会傍聴」・「教育委員会傍聴」・「公平委員会傍聴」はどこの市町村でも同じ名前のようです。
 ターゲットとなる条例が存在する編は、
 @図書館〜集会所までの施設関係の条例は「社会・福祉」・「民生」などにある
 A労働会館は「労働」、教育委員会傍聴規則は「教育」、議会傍聴規則は「議会」、
   公平委員会傍聴規則は「人事」にある
 可能性が高いです。しかし、あくまでも可能性であり、他の編にある場合もあります。

その七:調査表をなるべく埋めるために
 施設で、そのものがない場合は類似したものに、当てはめます。たとえば、労働会館がなくても勤労福祉会館、公会堂は文化会館、市民会館は市民ホールなどが考えられます。その辺の当てはめは厳密でなくてよいです。老人福祉センター・勤労福祉センターなどは名称が特殊な場合がある(ふれあいセンター、など)ので注意が必要です。

その八:ターゲットとなる条例が見つかったら
 各条例の利用制限規定はだいたい、「目的」などの次で条文としては前のほうにあることが多いです(1条から10条ぐらい)。例文は「施設長は以下の者に対して利用を制限できる。@〜、A精神異常者、B〜」といった具合です。前から目を通せば、すぐに見つかるでしょう。
また条文は先例の条例を参考に作られる(コピーされる)ことが多いので、条例内での利用制限条文の存在位置・内容は同一市町村では殆どが似通っています。ただ、ここで注意しなければならないのは、逆に「コピーを忘れた」条例に限って古くからの障害者を利用制限する条文が残っていたりするので、いくつかの施設で利用制限がなくても油断をしてはいけません。

その九:施行規則も見逃さない
利用条例のみならず、施行規則によって制限を設けている場合もあります。だいたいの施設には利用条例の次に施行規則が載っていますので、こちらもチェックしてください。

その十:利用制限条文が見つかったら
 実際、途方もない作業の中で、障害を理由にした利用制限はそれほど多くないはずです。本来ならば、あってはならない利用制限も膨大な無駄とも思える作業の中では、見つかったときには嬉しく思ってしまうこともあります。しかし、見つかったからといって感動に浸っていてはいけません。速やかに調査票の別紙に書き留めましょう。

その十一:表を完成させる
 表の中で空欄となる場所も多いと思いますが、あまり気にしないでください。川崎市のように殆どが埋まる市町村もあれば、殆ど埋まらない市町村も多いことでしょう。空欄で一向に構いません。表が埋まり(空欄も含めて)、別紙で利用制限条例の一覧ができれば完成です。完成したら調査年月日も忘れずに書いておいてください。

がんばってください。

文責:望月宣武(障害者欠格条項をなくす会事務局)
2000年9月記


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