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5月12日(火)バリアフリー法改正法案国会審議傍聴報告

2020年05月14日 バリアフリー

2020年5月12日(火)、参議院国土交通委員会にて「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第14号)」(バリアフリー法の改正法案)の質疑が行われました。
▽国会中継のアーカイブはこちらからご視聴頂けます。

国会審議の主な内容は下記の通りです。(要点のみ抜粋)


●朝日健太郎議員(自由民主党・国民の声)

Q:本法案の基本認識について

A(赤羽国土交通大臣):1964年の東京オリンピックを契機に物の豊かさが広がったが、今回のオリパラでは心の豊かさがスタートしなければならない。財源の予算をしっかりと確保して頂き、与野党を超え国の目標として共生社会を進めていきたい。

・ 共生社会ホストタウン事業について
・ パーキングパーミット制度について
・ バリアフリーの観点からの無電柱化について
・ 障害者スポーツの推進について

●小沢雅仁議員(立憲・国民.新緑風会・社民)

Q:移動等円滑化評価会議について。開催状況と会議での議論や要望をどう反映したのか。

A(蒲生総合政策局長): これまで国土交通本省において計3回開催、全国10ブロックで地方分科会を設置、開催した。議論の内容は、ハード面だけでなくソフト面の対応も重要、心のバリアフリーは初等教育での取り組みが重要、ユニバーサルデザインタクシーの乗車拒否が発生しないよう乗務員への教育を徹底してほしい、学校のバリアフリー化、等。

これらを踏まえ、本法案では心のバリアフリーへの取り組み推進、交通事業者等へのソフト基準順守義務の創設、公立小中学校へのバリアフリー基準への適合義務化等の措置を講ずることとしている。引き続きバリアフリーのさらなるスパイラルアップをはかっていく。

Q:ユニバーサルデザインタクシーについて。乗降時間の問題をどのように改善したか。乗務員の研修の仕組みは。乗車拒否。スロープの操作が煩雑。UDタクシーについて2つ。乗降に時間がかかる改善、どのようにしたか、どうなったのか。事業者の接遇研修が重要だが、担保する仕組みが必要。

一見局長:認定基準H22年検討会で議論。

A(一見自動車局長):改善をメーカーに要請。2019年3月にスロープの設置工程を改善。従来は10分程度かかっていたものを5分程度、1/2に短縮した。63工程から24工程へ。車内に取扱の図も貼った。耐荷重を300kgへ改善。接遇研修は重要。

昨年11月に通達を出した。補助を出すときの条件として、実車を用いた研修を年2回以上やることを定めている。引き続き求めたい。
スロープの設置工程の減少と案内表示、スロープの耐荷重を200kgから300kgに強化した。昨年11月に通達を出した。また車両購入の補助金の条件に実車を用いた研修を年2回行うことにしている。

Q:小規模店舗のバリアフリー化について。現在の法の対象となる飲食店はほとんどない。飲食店に対する全国の地方公共団体における委任条例の制定状況と制定を促進する具体的な取り組みについてお伺いしたい。

A(眞鍋住宅局長):地方公共団体における委任条例の制定状況は8都府県6市区で基準を引き下げている。条例制定を促すために平成30年10月バリアフリー法に基づく基本方針の中で条例による義務化を行う場合には、地方公共団体全域ではなく一部の区域に限る形でも対象となる規模の引き下げが可能であると明確化している。

また、地方公共団体の担当者を対象とする会議などの場を通じて条例による義務付け対象となる規模の引き下げに向けた前向きな検討を要請している。今後はすでに条例を制定している自治体の取り組み状況を詳細に分析して提供していく。

Q:小規模店舗の新築時であればコストをかけずにバリアフリー化できるが、見解はいかがか。

A(赤羽国土交通大臣):小規模店舗のバリアフリー化はここ20年間で残された課題である。地方公共団体に対する条例制定の要請に加えて東京オリパラに向けたバリアフリー飲食施設ガイドの作成、共生社会ホストタウンにある飲食店のバリアフリー化の補助制度を創設する。

また、官民一体で行うTeam Welcomeの取り組みを行っている。障害者、高齢者、小売業者、建築関係者が入った検討会も行っている。バリアフリー情報提供を行っているサービスと連携しながら行っていく。

Q:一日乗降客数3000人未満の駅のバリアフリー整備状況について

A(赤羽国土交通大臣):地域の特徴も見ながら基準の見直しを検討していきたい。予算面で応援して頂きたい。

・ 地方の空港アクセスバスについて
・ 心のバリアフリーについて
・ 公立学校のバリアフリー化を加速して欲しい
・ 歩道の点字ブロックを補修して欲しい

●浜口誠議員(立憲・国民.新緑風会・社民)

Q:これまでの取り組みの成果と課題について

A(赤羽国土交通大臣):「バリアフリー」という言葉がなかった20年前から現在までの間で、バリアフリーという言葉が大分浸透してきた。一方で面としての整備をどこまで進められるかが課題。

Q:空港アクセスバスについて、バリアフリー車両の導入が遅れている。適用除外認定車両から外して頂きたい。

A:(赤羽国土交通大臣):適用除外になっていた理由は、収納スペース確保のために物理的に低床化できなかったため。しかし技術の向上により低床化が可能となり、新しい車両もできている。しっかり加速させていかなければいけないということで基準省令の適用除外をする方向で見直しを進めている。

財政支援も講じている。しっかり措置をとっていきたい。障害者団体からの要望の強い地方空港を優先的に配置できるようにしていきたい。

Q:新国立競技場UD/WSの事例を参考に、今後も当事者参画の仕組みをガイドラインに盛り込んで頂きたい。

A(蒲生総合政策局長):当事者参画はユーザビリティの点から大事。評価会議等の場を活用して好事例、先進事例の共有、周知していきたい。

Q:地方自治体のマスタープランづくりについて、策定状況は?

A(蒲生総合政策局長):策定済みの自治体は6,策定中の市町村が10,作成を検討している市町村は40あり。

・ ソフト面での基準について
・ 市民、民間が連携した取り組みについて
・ 駅構内での駅員の介助について
・ 事業者の負担軽減について

●宮崎勝議員(公明党)

Q:小規模店舗のバリアフリー化をどう進めるか。これまでのバリアフリー法改正の附帯決議等で繰り返し指摘されている。実態調査を行ったり、WGを設置し検討を進めている。今後どう進めるか

A(眞鍋住宅局長):敷地等の制約が大きいことから、バリアフリー基準に適合している新築は2割。一律義務付けは難しい面ある。経営への影響が大きいため関係省庁や業界から慎重な検討が必要との指摘あり。

バリアフリー化が当たり前となる環境をすすめる観点から、東京オリパラに向けたバリアフリー飲食施設ガイドの作成、ホストタウンに所在する飲食店のバリアフリー整備の補助制度で誘導を図っていく。Team Welcomeの情報共有もはじめている。

バリアフリー化のガイドラインは、建築設計標準の見直しで意見を交換し、バリアフリー化の知見、優良事業の共有をすすめる。規制にとらわれず、様々な手段を講じて小規模店舗のバリアフリーに積極的に取り組んでいきたい。

Q:2021年度以降の新たなバリアフリー目標(基本方針)について

A(赤羽国土交通大臣):新しい基準については、1日の乗降客3000名という要件を引き下げる方向で検討したい。聴覚障害や視覚障害等、障害特性に関するバリアフリーの進捗がわかる指標を入れていきたい。またこれらの検討会には障害当事者をしっかりと入れてやっていく。

・ 地方公共団体へのソフト基準適合義務について
・ UDタクシーの乗務員研修について
・ 観光施設のバリアフリー情報提供について
・ ハード・ソフト取り組み計画での当事者参画について
・ マスタープランや基本構想の策定について

●室井邦彦議員(日本維新の会)

Q:心のバリアフリーの学校教育について

A(赤羽国土交通大臣):(注:大臣はご自身の2人のお子様の事例を参考に話されました。)一人は障害児が同学年におり、一緒に過ごしているため障害者との触れ合いになれている。もう一人は障害児と過ごす経験がないため接し方がわからない。そのため、同じ環境で過ごすことで最も理解が進むと考えている。

・ 基本構想やマスタープラン制度について
・ 駅のバリアフリー化について(一日の平均利用者数の引き下げ)
・ 移動等円滑化評価会議について
・ ハード・ソフト計画書の作成対象事業者以外の事業者への取り組みについて

●武田良介議員(日本共産党)

Q:駅の無人化に歯止めをかけるべきと思うがどうか。

A(赤羽大臣):鉄道駅は2018年度末で全国9464駅のうち47.3%(4478駅)と約半数が無人駅。公共交通機関として鉄道事業者が安全性をないがしろにするなんてことはあってはならない。そういう現実の中でどう安全を担夫するのかが大前提。

駅員、利用者、国民全般に心のバリアフリーを定着する、世の中をつくるのが大事。安全性をどう対応するのがいいのか、人を据えることで十分な安全性を担保できるのか、先進的な機器を使うなどこれまでやってなかった対応も1つの方法。ギリギリの中で守らなければならない安全性をどう担保するのか、国交省としても課題として検討しなければならないと認識している。

・ JR新潟駅のホームドア設置について
・ 駅の転落事故防止対策について
・ 既設の学校のバリアフリー化

●木村英子議員(れいわ新選組)

Q: 駅の無人化によって障害者が今まで利用できた電車に乗れなくなったり、駅員に待たされることが増え、社会参加に支障をきたしている。埼玉県の土呂駅を利用している障害者が駅員にこの時間帯は絶対に来ないでくれと時間帯を書いた紙を渡された。

その時間帯は駅員不在で対応できない。これに従えは、この人は通勤できなくなる。障害を理由に健常者には付さない条件を公共交通機関を利用するたびに課せられ、障害者の社会参加の障壁となっている。駅の無人化が進むことで様々な障害者が駅を利用できず、バリアが増えている。国交省はこういった相談にどのように対応しているのか。

A(水嶋鉄道局長):私たちも無人駅であっても、障害者の方に可能な限りご不便無く鉄道をご利用いただくことが重要と考えている。鉄道事業者の介助要員の配置で待たされたというご意見は国交省にも多々頂戴する。

可能な限り、個別の事案に事業者に事実関係を確認し、不備があると思われるときは改善を指導してきた。必要な対策を事業者と議論し、安全や利便性の確保がはかられるように取り組んでいきたい。

Q:駅のハード・ソフト両面のバリアフリーを実現するために国交省、鉄道事業者、障害当事者の三者の話し合いの場を設置することを検討して頂けないか。

A(赤羽国土交通大臣):鉄道の駅が無人化する時に、安易に認めているわけではなく、障害者の利用実態を踏まえてしっかりとサポートするように指導している。現実に指導が行き届かない事案があったときは個別にしっかり対応していく。

新国立競技場では設計段階から障害当事者や高齢者の意見を取り入れたことが大きな要因。小規模店舗のバリアフリー化も障害者、事業者、設計者関係の3者が初めて顔を合わせて意見交換できる場を作らせていただいた。

鉄道事業者が障害者の立場に立って、障害特性様々あるなかで一方的な思い込みもあるかと思うので、国土交通省、鉄道事業者、障害当事者の三者の話し合いの場を設置する方向で検討したい。

●上田清司議員(各派に属しない議員)

Q:UDタクシーで乗車拒否を行ったタクシー事業者のデータ、処分件数はあるのか。どのような処分内容か。

A(一見自動車局長):関東運輸局でH30年から令和元年まで13件の乗車拒否の情報が寄せられている。H30年10月簡易電動車いすは乗せないと会社で決めたので乗せませんと言われた。会社に確認したらその通りだったので、H31年3月に44日車の車業停止をかけた。

・ 障害者の駐車スペースについて
・ UDタクシーの認定基準について


以上の質疑を終えた後、本法案は全会一致で可決されました。
▽付帯決議案はこちらからご覧いただけます(ワード)

今回の国会審議では与野党の国会議員の皆様が障害当事者の意見を広く取り上げてくださり、具体的な改善に向けて熱心に議論してくださりました。

また、赤羽国土交通大臣は全ての答弁に対してご自身の経験も踏まえながら常に障害当事者に寄り添った答弁をしてくださり、私たち障害当事者は非常に心強く感じていました。

国土交通省、関係省庁の皆様にもご尽力頂きありがとうございました。また、様々な事例や要望をくださった方々、日々私たちと一緒にバリアフリー活動に取り組んでくださった全国の障害当事者の皆様にもお礼を申し上げます。

私たちは今回の法改正を終わりとせず、実用性のある法律となるよう今後も事業者や自治体と連携しながらバリアフリー化に努めていきたいと思います。

DPIバリアフリー部会 工藤登志子

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