障害のある人もない人も同じように暮らせる社会へ

南アフリカでの自立生活プログラム研修報告

2017年03月21日 国際協力/海外活動

(DPI日本会議スタッフ研修(3月9日掲載)でお話頂いたヒューマンケア協会の降幡博亮さんから、南アフリカでの自立生活センター設立と2月に現地で行った研修についての報告が届きました。)

2013年4月から南アフリカのハウテン州ヨハネスブルグ市周辺で、国際協力機構(JICA)の草の根協力事業プログラムを使った、障害者の地域での自立生活を支援する「自立生活センター」の設立事業が行われています。事業の第1期では日本の自立生活センターのヒューマンケア協会が中心となって、センターに必要な人材(運営の障害者リーダー、ピア・カウンセラー、介助コーディネーター、介助者)を育ててきました。その結果、2カ所に自立生活センターが設立されて、南アフリカでのモデルとなる地域生活の支援サービスが提供されるようになっています。センターの活動は現地の行政にも高く評価され、昨年7月からはセンターの介助サービスにハウテン州から助成金が出るようにまでなりました。

南アの自立生活センターは介助サービスとともに、10〜15人の障害者が集まりテーマに沿って互いに話を聞き合うという、サポートグループ(以下、SPG)という活動の場を設けています。このSPGを通じて参加者はこれまでなかなか話せなかったことを話して気持ちを解放したり、自分のやりたいことや生活での問題に気付いたりします。仲間と会って自分の気持ちを出せるためか、SPGに参加することで地域の障害者が元気になっていく様子を見ることができます。

好評のSPGですが、幾つかの課題に直面しました。1つは交通手段の問題です。「もっとSPGに参加したい」というリクエストがたくさんあるのですが、障害があっても使える公共交通機関が近くに無いことから、なかなか参加してもらえません。この問題については、この事業の第2期としてDPI日本会議が中心となって、交通や住宅のアクセス改善に取り組み始めたところです。

SPGから浮かんできた別の課題は、SPGを通じて生じてきた「私はこんなことがしたい」といった意欲や、「暮らしていてこんなことに困っているのだけれど」といったニーズや課題にどのように取り組んだらよいのかよくわからないということでした。
 日本の自立生活センターでは、本人がやりたいことやニーズ・課題に取り組めるように、自立生活プログラムというサービスを提供しています。例えば長い間施設で生活してきたために、地域で暮らす経験を積むことができなかった人が、プログラムを通じて介助者の使い方や料理の仕方、買い物やお金の管理などを体験的に身に付けて地域での自立生活を始めています。また地域で生活を始めた後でも、やりたいことや問題が生じた時にプログラムが活用されています。

  そこで今回、南アフリカで自立生活プログラムの研修を行って、ニーズや課題への取り組み方を伝えることになりました。日本からは自立生活センター日野の藤田博文さんがリーダーとして訪問し、私が通訳として同行しました。

研修参加メンバー

研修は2月20、21日の2日間で行いました。場所はヨハネスブルグ市のソウェト地区にある自立生活センター・ソウェトです。南アフリカからはセンターのピア・カウンセラーを含む12人の障害者が参加しました。

 研修の内容ですが、初日は自立生活プログラムの概要とプログラムの作り方を伝えました。ただ伝えるだけではなく、参加者をグループ分けして、グループごとに協力してプログラムを作ってもらいました。この時は現地のピア・カウンセラーたちがグループの話し合いを引っ張ってくれています。

ミーティングの様子

 この南アフリカのピア・カウンセラーですが、実は以前は障害者運動とはまったく関わりのない人たちでした。2013年の事業開始以降、地域の人たちの中から新しいリーダーを育成するということで、病院訪問や人づての情報から募った人たちなのです。もちろん団体の運営や社会運動の経験はなかったので、2013年の研修の時は「計画作り」といわれて、固まっていました。しかし今ではリーダーとして、他の参加者のモデルになるまでに成長してくれています。

  二日目の研修では「恋愛」をテーマに取り上げて、実際に自立生活プログラムを行ってみました。研修生には、プログラムの進め方を学んでもらうとともに、リーダーシップの取り方を見てもらっています。またプログラムの手法の一つとして、ロールプレイも体験してもらっています。演じることの好きな人が多いようで、こちらが特に言わなくても自分たちで配役に指示を出して、生き生きロールプレイをやってくれました。

  研修の後、ピア・カウンセラーたちに集まってもらい、今後の自立生活プログラムの活用について話し合いました。今後SPGでプログラムを実施すること、そして南アフリカ版の自立生活プログラムのマニュアルを作るということが決まっています。
   今回の訪問では、ソウェト地区の障害者4名(男性2名、女性2名)の自宅を訪問する機会もありました。

家庭訪問の様子

 訪問からはSPGなどの活動に参加することで、さまざま変化や課題・ニーズへの気付きがあったことを確認することができました。例えば、

  • 家の中に自家製のスロープを設置したことで、家の中を自由に動けるようになった。ピア・カウンセラーの家に行った時にスロープがあるのを見て、自分も使ってみようと思った。友人が無料で作ってくれた。(20代男性)
  • (トタンで作った)離れに独りで住んでいる。気候の変化を受けやすく、住環境が厳しい。お金を貯めて家を改装して引っ越ししたい。(30代女性)
  • もっとSPGに参加したいが、交通手段がない。夜、介助者がいないと不安になる。(50代女性)
  • SPGは良い。参加するようになってから、いろいろなサポートを受けられるようになって生活が変わった。いまの家に引っ越して(道路の状態が悪いため)外を動き回りにくくなった。(20代男性)

自宅に設置されたスロープ

トタンで作られた研修参加者の家

 やはりいまは住宅改装や移動手段の確保、介助時間についてのニーズが特に大きいようです。DPI日本会議による第2期のプロジェクトがこの住宅・移動のニーズ実現に貢献すること、そして今回の研修で伝えた自立生活プログラムも有効に活用されることを願ってやみません。(ヒューマンケア協会 降幡博亮)

家庭訪問先での様子

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