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新しい読書方法のご紹介

2019年05月27日 権利擁護

障害者の読書環境の整備に向けて

日本は2018年、「マラケシュ条約」を批准しました。

この条約は、障害者が発行された著作物を利用する機会を促進することを目的としています。

障害者の定義には、本を持ち続けられない、またはページがめくれない身体障害者も含まれています。

マラケシュ条約批准に併せて、著作権法の一部も改正されました。

これまで著作権法では、視覚障害者や文字の読み書きに困難のある発達障害者だけが著作権の制限対象となっていましたが、ここに読書に困難のある身体障害者が加えられました。

つまり、一定の要件をクリアすれば、著作権者の許諾を得なくても、読書に困難のある身体障害者のために通常の活字図書を電子データ化したり、拡大したり、音訳したりし提供することが可能になったということです。

また、2019年6月には読書バリアフリー法案も成立する見通しですので、今後更に障害者の読書環境が整備されていくことが期待されています。

今すぐ楽しめる読書方法のご紹介

このような情勢の中、今すぐにでも享受できる読書方法についてご紹介します。

これまで主に視覚障害者のために製作されてきた音訳図書をパソコンやスマホ、タブレットを使って「聞く読書」です。

今日まで全国の点字図書館や公共図書館、音訳ボランティア団体等が製作した音訳図書は、主にインターネット上の電子図書館「サピエ図書館」にアップされています。

その数は7万タイトル以上に上ります。

これまで視覚障害者は、主にデイジープレイヤーという専用の端末を用い、音訳図書を利用してきました。

しかし、高額なデイジープレイヤーは視覚障害者に対しては日常生活用具としての補助があるのですが、それ以外の障害者には今のところ認められていません。

ただ、サピエ図書館の音訳データはデイジープレイヤーがなくても、IDとパスワードがあればパソコンで再生することも可能です。

また最近、「ボイスオブデイジー」というアプリも発売されました。

これはスマートフォンのiOSにもアンドロイドにも対応しています。

3,100円程度の費用がかかりますが、このアプリをダウンロードしておけば、24時間いつでも手元のスマホやタブレットで音訳図書を楽しむことができます。

また、まだまだ数は少ないですが、文字が画面上に表示されるマルチメディアデイジーの再生も可能です。

サピエ図書館のIDとパスワードは各都道府県にある点字図書館に障害者手帳などを提示すれば、発行されます。

改正著作権法の施行が今年2019年の1月からでしたので、ひょっとするとまだ対応していない点字図書館があるかも知れませんが、サピエを運営する全国視覚障害者情報提供施設協会から各点字図書館に文書も送付されているということですので、基本的には対応していただけるものと思います。

せっかく著作権法が改正され、読書の可能性が広がってきましたので、これまで読書をあきらめていた方も最寄りの点字図書館にお問い合わせいただき、音訳図書をご利用いただき、知的で心豊かな読書生活を楽しんでいただければと思います。

DPI日本会議事務局

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