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12/2(日)DPI政策論「所得保障分科会」報告
障害者の生活保障の現状と課題~生活保護基準引き下げと障害年金を中心として~

2018年12月20日 イベント雇用労働、所得保障

12月2日(日)DPI障害者政策討論集会で開催しました「所得保障分科会報告」を、岡本直樹さん(CILふちゅう、DPI特別常任委員)に書いていただきましたので、ご紹介します!


(敬称略)

「障害者の生活保障の現状と課題」

報告者:平川 則男(日本労働組合総連合会総合政策局総合局長)

平川さん

平川さんの報告では、生活保護と年金という2つの制度を分かりやすく説明頂きました。

生活保護に関連し、障害者の生活実態については、慶大の山田教授の貧困調査が唯一でその調査によると障害者の4人に一人は貧困であると厳しい実態が浮き彫りになりました。
マスコミが報道している年金制度の先行き不安についても解説があり、2004年の年金制度改正がきっかけだと知ることができました。
生活保護については、憲法規定上、外国人は、対象外であること、福祉事務所の専門性の不足などの課題が指摘されました。

シンポジウム「生活保護と障害者年金制度の現状と課題」

◯シンポジスト:
・大西 連(自立支援サポートセンター・もやい理事長)
・宇都宮 健児(反貧困ネットワーク代表世話人)
・西田 えみ子(1型糖尿病障害年金問題訴訟原告)
・川西 浩之(生活保護受給者)
◯助言者:平川 則男
◯進行役:西村 正樹(DPI副議長)

シンポジスト

後半のシンポジウムでは、平川さんの報告などを受け、「生活保護と障害者年金制度の現状と課題」をテーマとしました。

大西さんからは、生活保護に特化し、大きく2点お話がありました。
一つは、2018年10月の改正により生活保護費の引き下げが全体で7~8%削減ととても厳しい基準となったこと。
もう1つは、この改正で示された5つの方針の中でも原則ジェネリック医薬品の義務化や居宅保護の原則を覆す日常生活支援住居施設などは、障害者施策を彷彿させる生存権、自由権など基本的人権を侵害する内容と問題視しました。

宇都宮さんからは、反貧困ネット設立の経緯を紹介されました。
貧困問題の提言の中で、貧困率調査の提案を行い民主党政権が初めてOECDに倣い調査を実施し、日本は非常に貧困率は高いことが判明しました。
2013年以降、生活保護基準が削減されている理由は、財政難としているのですが、防衛費は、6年連続予算を増加し、2013年で630億の引き下げは必要なかったと発言しました。
社会保障費を削減する暴挙に「真っ当な国ではない」予算配分についてもっと声を上げるべきだと訴えました。

生活保護受給者の川西さんからは、一人暮らし開始時に受給し、18年目となること。生活保護制度の問題点として車いす使用者の住宅確保が切実で、現在立ち退きを要求されていますが、住宅扶助特別基準内で借りられる家探しに苦慮している現状が報告されました。

西田さんからは、年金問題で訴訟する原告の立場で基本的な点を一型糖尿病の視点から説明があり、訴訟の経緯や問題について言及されました。12月12日に第1回口頭弁論があることと裁判所のバリアフリー化を推進したいと話されました。

会場の様子

質疑応答

会場からは「扶養義務紹介の厳格化の状況」や「生活困窮者自立支援制度の提言で示されたオーダーメイドのイメージ」について質問がありました。

大西さんからは、扶養義務に関する質問には、国の方針では徹底的に扶養紹介をしなさいとありますが、現場はできていない。自治体間の差があること。
生活困窮者自立支援制度は、湯浅さんが、内閣府参与時代にパーソナルサポートというモデル事業が前進したこと。ただ問題点があり、自分でプランを作成できないことや生活保護と異なり、オプションのため、申し立てをしても自治体任せになっているなど当事者主権が軽視されていること。
連合や障害者団体、困窮者支援を行う団体のより広いネットワークの必要性を訴えました。

宇都宮さんは、生活保護受給者の意見を聞かない国の姿勢を問題視し、障害者運動のスローガン「私たち抜きに私たちのことを決めないで」必要性を強調しました。
現在、2013年の引き下げに関して29の裁判所で1,000人以上が原告となり国と自治体を相手に裁判を行っています。東京では、ご自身が団長となり闘っておられます。
今回の引き下げについても同様で裁判を通じて運動を強化し、現状の歯止めにしたいと訴えました。

川西さんからは、生活保護をこれ以上下げられたら生活できない、障害者の生存権を認めていないのと同じだと指摘がありました。「私たちは、最後まで引き下げ反対と叫んでいきたい。」

西田さんからは、「私たちも年金打ち切り反対と叫んでいきます!」とそれぞれ強いメッセージを頂きました。

助言者の平川さんは、医学モデル的な年金制度の在り方を問題視し、当事者目線の必要性や年金の安定性の担保など皆保険制度の課題も指摘されました。
質問にあったオーダーメイドのイメージは、当事者目線が必要であるとし、多様な生活の困難さを抱える方がいたらどういう支援、地域にどうやって参加できる場を作るかなど、それぞれの分野で様々な役割の中で考えていくとの回答がありました。

まとめ

まとめとして副議長の西村から今回の課題について湯浅さんに言われたことの紹介がありました。
「あなたたちがうらやましい」それは「障害者には当事者運動がある。当事者が声を発信、行動出来る」と。

「反貧困運動では、当事者が前面に立った運動が難しい」と。
私たちが障害者権利条約を批准する時の1つの学びとした子どもの権利条約は、国内法を改正しないで条約を批准しました。
子どもの当事者運動はないからです。

今回示されている生活保護や貧困問題、年金・所得保障は、我々障害者に関わる問題です。
DPIが開催するシンポジウム等は、学んだ後に今後の運動でどうしていくか、我々自身に問われるものです。
私たちは当事者として労働組合や反貧困ネットワーク等と連帯を強化し、今回議論した課題に取り組んでいきたいです。

その基本は「権利と尊厳」これに尽きると思うと締めくくりました。

なお、本分科会には、関係者含め約30名が参加しました。

岡本直樹さん(CILふちゅう、DPI特別常任委員)

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