障害のある人もない人も同じように暮らせる社会へ

9/24(月・祝)「踏みにじられてきた障害のある人の性と生殖
~優生思想のない地域社会に向けて~」報告

2018年10月17日 イベント権利擁護

DPI日本会議議長の平野みどりです。
9月24日(月・祝)に、熊本県で優生保護法を問う集会が開催されましたので、以下にご報告します。


「踏みにじられてきた障害のある人の性と生殖~優生思想のない地域社会に向けて~」

日時:2018年9月24日 13時30分~16時30分
会場:熊本学園大学 高橋記念ホール (14号館1階)

◯基調講演:「優生保護法の歴史と現在」
・松原洋子氏(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授)
◯討論 パネリスト:
・松原洋子氏(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授)
・藤原久美子氏(DPI女性障害者ネットワーク代表)
・臼井久実子氏(障害者欠格条項を考える会事務局長)
・友村宏子氏(ヒューマンネットワーク熊本ピアカウンセラー)
●助言者:東俊裕氏(熊本学園大学社会福祉学部教授、弁護士、優生思想のない地域社会を創る会代表)
●コーディネーター: 平野みどり(DPI日本会議議長、優生思想のない地域社会を創る会事務局長)

主催 優生思想のない地域社会を創る会
共催 NPO法人自立生活センター ヒューマンネットワーク熊本
後援 熊本障害フォーラム(KDF)、DPI(障害者インターナショナル)日本会議、DPI女性障害者ネットワーク


今、全国各地で、優生保護法(1948年~1996年改正)の下で、強制的に不妊手術をされた人たちが国を相手取って訴訟を起こしています。10月10日には、熊本県でも渡辺数美さん(73歳、男性)が、変形性関節症のため通院していた10歳の頃、両睾丸を摘出され、以後、成長やホルモンバランスの異常などとともに、生殖機能を奪われたとして、裁判に踏み切りました。

優生保護法とは、その名の通り、優生思想を基にした法律です。私たちは、勇気を持って裁判に踏み切った渡辺さんやその後に続く被害者の方々、あるいは様々な事情により、声を上げられない人たちと有形無形で、つながっていくために、この際、優生思想をしっかりと学び、優生思想と闘ってきた歴史に向き合う必要があると考え、「優生思想のない地域社会を創る会」(代表東俊裕氏)を立ち上げ、シンポジウムを開催することとしました。

シンポジウムを開催した9月24日は、連休の最終日で雨天でしたが、約100名の方々の参加を得て、開催できました。以下、発言者のポイント等を簡単に報告します。

登壇者の皆さん
写真:登壇者の皆さん

基調講演:松原洋子さん(優生思想を研究されている立命館大学教授)
優生保護法(1948年~1996年)も、その前身の国民優生法(1940年~1948年)も、国の人口政策の影響を受け、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とし」て、人工妊娠中絶を合法化していました。国が、“不良な子どもは社会にとって非効率、無駄な支出を伴う”と考えていたことは明白で、このような優生思想を社会の隅々に根付かせるという機能を果たしてきたことを改めて認識させられました。日本国憲法が謳う「すべて国民は健康で文化的な生活を・・・」から、障害者は排除されていたという点では、憲法違反の法律だと思われます。国は、今こそ、優生保護法の検証と反省をしっかりと行う必要があると、松原さんは指摘しました。

藤原久美子さんの発言から:
自らの体験から、障害者が子どもを持とうとする時の周囲の否定的な反応に苦悩したと語られました。普通、子どもができることは喜びと励ましを持って受け止められるはずなのに、自分の親ですら反対したと。「子ども(障害者自身)のために、優生手術に同意した」と語る親の反応と同じです。そうさせた優生思想の罪深さを感じました。また、藤原さんが代表を務める「DPI女性障害者ネットワーク」が行った障害女性の実態調査によれば、男性と比べて、女性障害者は性被害に遭いやすいとか、未婚率が高いことなどを紹介されました。本来、国は、障害者の実態調査を行う時、「女性と男性のそれぞれの調査」を行うべきです。

臼井久実子さんの発言から:
障害者の欠格条項をなくす取組みを行って来られました。欠格条項を長年残してきた背景と優生思想とは相通じると考えます。合理的配慮もなく、不適格な存在とされてきたため、多くの障害者が就労や教育や社会参加の機会を大きく制限されてきた歴史と重なります。
臼井さんもまた、DPI女性障害者ネットワークにも所属していますが、障害女性の実態調査のうち、全都道府県調査の結果について補足されました。「47都道府県が、男女共同参画計画や、DV防止計画において、ほとんどが『障害者一般』しか見ていない、また、障害のある女性は想定されておらず、実質的に政策に含まれていないことが明らかだ。相談窓口の周知や連絡方法について、聴覚言語障害者等を考慮していないところが大半のため、相談窓口にたどりつけない人がたくさんいる。障害者一括りではなく、性別、年齢階層などによる実態を明らかにして、障害のある女性に正面から目をむけた法制度をつくることを求め続けたい」と語られました。

友村宏子さんの発言から:
脳性マヒの障害を持つ友村さんは、子ども頃から、現在に至るまで、教育を受ける権利も含め、様々な差別を受けながらも、しなやかにたくましい女性リーダーとなっていかれる過程は、衝撃的でもあり、感動的でもありました。宏子さんは、このシンポジウムの前に、優生保護法の問題を提起してこられた佐々木千津子さんの「忘れてほしゅうない」と言う映画を見たそうです。障害のある女性は健康な子宮や卵巣を取られ、子どもを産む権利を法律によって奪われたのに、健常者の女性は少しでも子どもを産めるような方法(不妊治療)を探してもらえる。同じ女性なのに。これは差別だと怒りを覚えたそうです。

東俊裕さんの発言から:
渡辺数美さんの訴訟弁護団長を務める。強制不妊手術は、国家による憲法違反の人権侵害行為であり、国は、謝罪や名誉回復、被害補償をする立法措置をとっていない。仙台、札幌、東京、大阪、神戸の裁判と連携して闘っていく。渡辺さん、その後に続くであろう原告の闘いを応援して欲しい。


熊本では今後も学習の機会を作っていくとともに、全国の裁判と連帯し、熊本での裁判の支援を行ってまいります。

▽全国の訴訟の動きはこちら:優生保護法被害弁護団ホームページ(外部リンク)

平野みどり
(DPI日本会議議長、優生思想のない地域社会を創る会 事務局長、
ヒューマンネットワーク熊本 権利擁護担当)

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