障害のある人もない人も同じように暮らせる社会へ

5月31日(金)DPI全国集会in松山 障害女性分科会報告
「優生保護法が奪ってきた当事者の選択~幸せはわたしが決める~」

2019年07月01日 イベント障害女性

障害女性分科会の様子

5月31日(金)第35回DPI全国集会in松山で開催した障害女性会についてDPI女性障害者ネットワークからの報告と、参加者である宮野秀樹さん(全国頸髄損傷者連絡会※)に感想を書いて頂きました。是非ご覧ください。
※掲載していた団体名に誤りがございました。訂正してお詫びいたします。
訂正:「全国頚椎損傷者連絡会」→「全国頸髄損傷者連絡会」

障害女性分科会プログラム「優生保護法が奪ってきた当事者の選択~幸せはわたしが決める~」

■登壇者
「佐々木千津子さん!今、なんでここにおらんの?」
川本 澄枝(障害者支援センターてごーす代表・事務局長)

「障害女性の複合差別と優生保護法」
臼井 久実子(DPI女性障害者ネットワーク)

「優生手術裁判の状況と救済法」
藤原 久美子(自立生活センター 神戸・Beすけっと)

■グループワーク


開催経緯、分科会報告、今後に向けて

■分科会開催の経緯

現在、優生保護法下で強制不妊手術の被害を受けた方々が国の責任を追及し謝罪を求めて裁判を全国各地で起こしています。

長年、被害者と共に闘ってきたDPI女性ネットワーク、広島県で故・佐々木千津子さん行動を共にしてきた川本澄枝さん、韓国の障害女性による報告を共有し、参加者との率直な意見交換を行いました。

二度と性と生殖の選択の自由を奪われない社会づくりに取り組むため力を更に蓄えていく機会となることを目指しました。

■分科会で報告、議論したこと

●佐々木貞子さんの話「優生保護法とは」
佐々木貞子さん
1948年(昭和23年)から96年まで約48年間存在した、性と生殖の権利を奪う法律でした。

「不良」の子孫の出生を防止するとして強制不妊手術をさせ、手術を受けた人は2万人以上、同意なく手術を受けた人は1万7千人以上、残りの人8千人も同意を本当にして受けたのではないと思われます。法改正後の現在も、障害のある子どもが産まれること、障害を持つ親が子育てすることへの支援の仕組みはできていない。

障害者差別と合わせて、社会の目を変えていく運動をしていきましょう。

●臼井久実子さんの話「障害女性の複合差別と優生保護法」

臼井さん
各自治体のDV相談が全体に減るなか、障害女性は右肩上がりで7000件へ推移しています。

障害者基本計画には、障害のある人の子育て支援が書かれていません。また、障害者基本法の規定を障害女性の抱える困難に向き合うものに変えるため、基本法改正をめざしてDPI日本会議とも協議していところです。

「複合差別」と同じような意味で最近国連が使っている「交差差別」という言葉は、性差別道路と障害者差別道路が交差するところは支援が空白で放置されている状況を示しています。複合差別への視点がなければ「救いの手立て」の必要性は認識されているとは言えません。

●藤原久美子さんの話「優生裁判の状況と救済法について」

藤原さん

実現した「一時金法」ですが、様々な課題が残っています。
金額は320万円であり、長い間の苦しみの対価として適当であろうはずがない。また審査の管轄が厚労省内に置かれることには課題があります。被害の大きさから考えるとこれからの調査が必要ですが、権限があいまいで、被害の回復への法律とはなっていません。各自治体を通じ調査や申請状況を監視する必要があります。

仙台裁判では、「リプロダクティブ・ヘルス・ライツ」がまだ一般的でないと地裁は判断しましたが、この件での議論の蓄積がないのは国会、行政の責任であって、原告にしわ寄せする理由にはなりません。判決文で「(原告は)20年以上声が出せなかった」といいながら、行政の除斥期間を認めてしまっているのはおかしい。

今後、各地の裁判への支援と更なる運動の強化を進めていかなければなりません。

●川本澄枝さんの話(障害者生活支援センターてごーす代表・事務局長)

川本さん

「佐々木千津子さん、なんでここにおらんの?」という思いです。彼女は強制不妊手術を受けさせられ、20年前から国は謝罪すべきだと訴え続け、5年前に亡くなられました。一緒に運動してきた者として、彼女の無念さを思うと悔しいです。

どうして優生手術を受けさせられたかの要因の一つとして、きちんと性教育を受けさせてもらえなかったことがあると思います。周りの大変さが強調され、情報が少ない中、佐々木さんは手術を受けさせられたようです。

私自身は重度の障害がありますが、妊娠した時、やはり病院で、「なんでここに来たの?あなたが出産なんてできないよ」と言われました。何とか子どもを持つことができましたが、この問題は私自身の問題でもあるのだなと思いました。

●ナ・ウナさんの話(DPI韓国副会長)

ナウナさん
韓国では今年4月11日、最高裁が「堕胎罪は憲法不合致」と判決を出し、2020年までに法改正をすべきとなりました。

1953年に堕胎罪ができ、1973年に母子保健法となり、ベビーブームの時期でしたので人口調整をするための法律でした。法律があっても堕胎は現実にはありました。また「親に障害がある場合は中絶できるとされている」(障害児を産まないように)という条文があります。

障害女性の同意のない強制不妊手術や堕胎からの保護を障害者権利委員会は勧告しました。福祉施設での強制不妊手術の被害者が多いです。

障害者へのスティグマが悪影響を与えていると言えます。障害者家族10家族のうち7家族に子どもがいない状況です。障害者の性と生殖の権利を韓国政府は護っていかなければなりません。

●会場からの意見:Hさん(男性、広島)
脳性マヒの自分を生んだ母は、親戚から責められ。鬱になり、ある日私を海に投げようとしました。しかし、私がニコっと笑ったので、母は我に返り、心中を免れたようです。ずっと母を恨んできましたが、母は「障害を持つ子どもを産んだ女性」に対する、親族や社会の偏見と差別に苦しめられてきたことがわかりました。これからは母にやさしくしたいと思います。

報告後は参加者と登壇者がそれぞれの班に分かれて、報告を聞いての感想、意見などを共有するグループワークを行いました。

グループワーク

グループワーク

グループワーク

■今後に向けて

障害者権利条約の審査が来年に迫っています。裁判の結果も、新たな闘いの段階に入っていきます。障害女性の経験や思い、現行の法制度やシステムの不備を社会に提起しながら、日本において優生思想に基づく差別がなくなるまで、時機を逸することなく、国内外の団体、個人と広く連帯し行動していくことを参加者の皆さんと確認し合いました。

平野みどり(DPI日本会議議長、DPI女性障害者ネットワーク)


参加者感想

全国集会開催前に、仙台地裁が、旧優生保護法に基づく強制不妊手術に関する国家賠償請求訴訟において、旧優生保護法が違憲であるとしながらも賠償請求は棄却するという不当な判決を出したことに、会場内は怒りに満ちていました。旧優生保護法が重大な人権侵害をしている法律であることは知っていましたが、あらためて多くの障害者を傷つけ、嫌悪感と苦痛を与えた法律であったのだと認識しました。

また、恥ずかしながらリプロダクティブ権という言葉を初めて知りました。関心がなかったわけではありませんが、分科会に参加して初めて知ることが多かったことを考えると、私のような“問題意識をもっていない”障害者はまだまだ多く、どこかで旧優生保護法を「女性だけの問題」と捉えてしまっていないか懸念があります。

結婚すること、子を産むことこそが幸せという価値観を押しつけることが、人生の幸福を追求するための選択肢を少なくし、奪うことにつながります。この問題は女性だけではなく、男性にも大いに関係することであり、障害女性の問題は、障害男性も一緒になって考え、解決していかなければならないことなのだと強く感じました。

宮野 秀樹(全国頸髄損傷者連絡会)

 

以上

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