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11/24(日)DPI政策論「障害女性分科会」報告
優生保護法と『リプロダクティブ権』~仙台高裁への控訴に向けて~

2019年12月25日 イベント障害女性

11月24日(日)第8回DPI障害者政策討論集会で開催しました「障害女性分科会報告」を佐々木貞子(DPI日本会議常任委員/DPI女性障害者ネットワーク)が、参加した感想を金子なおか(DPI障害者権利擁護センター)が書きましたので、紹介します!


分科会5 障害女性 優生保護法と『リプロダクティブ権』~仙台高裁への控訴に向けて~

第1部では9月にジュネーブで開催された障害者権利条約第1回日本審査事前作業部会で、ロビーイングを行った藤原久美子より報告を聞く。また、全国初の優生保護法国賠訴訟5月28日仙台地裁判決を受けて、判決に書かれた「リプロダクティブ権」をめぐって考える。仙台判決は、日本ではこの権利に議論の蓄積がないことを理由の一つとして原告の請求を棄却した。報道では、障害をもつ女性が“産む権利を阻まれた不幸”がクローズアップされる。しかし障害をもつ女性は、産む産まないどちらも自ら決める権利をもっている。これを参加者と共有したく、藤間環弁護士と芦野由利子氏より、あらためて優生保護法とリプロダクティブヘルス/ライツを学び、控訴に向けた取り組みを伺う。第2部では参加者とのグループワークを交えて、今後の課題と取り組みを考える。

■報告
「障害者権利条約第1回日本審査事前作業部会ロビーイング報告」
藤原 久美子(神戸Beすけっと事務局長・DPI日本会議常任委員・DPI女性障害者ネットワーク代表)
「優生保護法とリプロダクティブヘルス/ライツ」
藤間 環(優生保護法被害仙台弁護団弁護士)
芦野 由利子(公益財団法人ジョイセフ理事)
■小グループでのディスカッション
■全体討議・まとめ


1.分科会開催の経緯

旧優生保護法により不妊手術を受けさせられた被害者が提訴した国家賠償請求訴訟は5月28日、仙台地方裁判所で全国初の判決が言い渡され、原告側の敗訴となってしまいました。
分科会では判決文に書かれた「リプロダクティブ権」を切り口に仙台判決の概容と今後の展望、その意味や歴史を学び共有するとともに、参加者同士の意見交換を行い、今後の優生裁判と優生思想克服のための活動を考えたいと企画しました。

2.分科会で報告・議論したこと

まず、9月にジュネーブで開催された障害者権利条約第1回日本審査事前作業部会で、優生手術に関してロビーイングを行った藤原久美子さんより報告を受けました。

藤原

次に藤間環弁護士は、旧優生保護法の概容争点などを、裁判の仕組みの解説も交え、分かりやすく話されました。
仙台判決は、①旧優生保護法は、憲法13条で保障される「子どもをもつかもたないかを自ら決定する権利(リプロダクティブ権)」を侵害するものであり、憲法14条平等原則にも違反している②賠償請求権の20年を超えているため、慰謝料請求を却下する③リプロダクティブ権については、日本では議論の蓄積が少ないため、救済の必要性を認識しなかったことは立法不作為とまでは言えない、というものでした。

藤間弁護士

弁護団が作成した高裁への控訴理由書には、①優生手術被害の実態を詳細に記載し、その深刻さを理解してほしい②差別の厳しい時代に障害者が国を訴えるのは困難で、除斥期間の例外を認めるべきである③リプロダクティブ権に関する議論は旧優生保護法が存在していた頃から指摘があり、国際会議や国会でも議論された経緯があり、国に必要性の認識はあった、と述べられています。

判決前に制定された一時金支給法は低額でお詫びの主体もあいまいです。
「被害者が救済されなければおかしいという価値判断を裁判所にわかってほしいと思います」と
藤間さんは熱く語られました。

そして、1月20日仙台高等裁判所での控訴審の裁判を迎えることとなります。

芦野由利子さんは、仙台判決で「リプロダクティブ権」とされた、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」は、「リプロダクティブ・ヘルス」と「リプロダクティブ・ライツ」を合わせた言葉で、一般的には「性と生殖の健康/権利」と訳され、1994年の国際人口開発会議(カイロ会議)以降、世界的に注目され、1995年北京世界女性会議は女性の基本的権利であると宣言し、国の人口政策・優生政策からの自由を意味するものでもあると話されました。

芦野由利子さん

カイロ会議と平行して開かれた民間フォーラムで、日本の障害女性が優生保護法について訴え、大きな反響を呼び、日本政府への外圧となり見直しの動きを加速させ、1996年、優生条項を削除した母体保護法が成立しました。

障害の有無にかかわらず、子どもをもつかもたないかを決めることはカップルおよび個人の権利であり、産む・産まない・産めないは等価値であること。
生涯を通して女性の健康を考えるライフサイクル・アプローチが必要であること。
障害者の視点を取り入れた、情報・手段・サービスおよび人材育成の充実が必要であること。
リプロダクティブヘルス/ライツを保障する法律や制度は、日本では未整備であり、刑法堕胎罪の廃止も求められること。

母体保護法に関する国会付帯決議や第3次・第4次男女共同参画基本計画に言及されていることも、学ぶことができました。

3.今後の取り組み

発言者も加わった参加者同士の意見交換は活発で、「以前は構造的に障害者と女性が対立させられるような局面があったが、それは国がつくったもの」という声は、今後の連携のあり方や方向性を指し示したように思いました。

(DPI日本会議常任委員/DPI女性障害者ネットワーク 佐々木貞子)

参加者感想

優生保護法と『リプロダクティブ権』~仙台高裁への控訴に向けて~」に参加して

まず最初に、ジュネーブでロビーイングを行ってこられた藤原久美子さんの報告でした。国連なんて顔の見えない存在だけど、実際には委員会一人一人とNGO市民が顔を合わせ、丁寧な交渉を重ねた協働作業によってなされているのだということを知りました。それにしても、委員の方が無給ボランティアで対応されていた日もあったということにビックリ!
続いて、「優生保護法とリプロダクティブヘルス/ライツ」と題して、優生保護法国賠訴訟被害者弁護団の藤間環さんとジョイセフの芦野由利子さんから、そもそも「リプロダクティブ権」とは何かというお話。「リプロダクティブヘルス/ライツ」とは、性にかかわる健康も含めた生涯にわたる性と生殖の健康を意味し、別名「ライフサイクル・アプローチ」ともいわれると聞き、こっちのほうがつかみは良さそうだな~と。
藤間さんが強調されていた、裁判については「子どもを産みたいのに、産めなかった」という点にフォーカスした報道が多かったが、それは違う。問題は、「自己決定権が阻害されたことなんだ」の言葉に納得。そして、「いつ、何人、子どもを産むか産まないかは、個人の基本的権利」と芦野さんも。
「立法や行政でこぼれ落ちる少数者の“声なき声”を拾うのが司法の役割」と語る藤間さんのキラキラさに、とっても勇気づけられました。

(DPI障害者権利擁護センター 金子なおか)

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