障害のある人もない人も同じように暮らせる社会へ

11/24(日)DPI政策論「権利擁護分科会」報告
精神障害者と社会的入院 ―仲間を迎えに、どんどん精神病院へ行こう―

2019年12月12日 イベント権利擁護

11月23日(土)、24日(日)に第8回DPI障害者政策討論集会「障害者権利条約の求める社会の実現へ」を開催しました。全国から約250名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。

11月24日(日)第8回DPI障害者政策討論集会で開催しました「権利擁護分科会報告」を曽田夏記さん(DPI日本会議特別常任委員/自立生活センターSTEPえどがわ)に、参加した感想をたにぐち まゆさん(大阪精神障害者連絡会)書いていただきましたので、ご紹介します!


分科会1 権利擁護「精神障害者と社会的入院―仲間を迎えに、どんどん精神病院へ行こう―」

全世界の精神科病床185万床の約5分の1、実に約35万床の精神科病床が日本にある。さらに2018年8月、全国で約1,700名の人々が50年以上精神病院に入院させられていることが毎日新聞に報道された。なぜ社会的入院という隔離収容施策はなくならないのか、どうすれば、地域移行定着支援を進めることができるのか。どうしたらイタリアの様に精神病院をなくすことができるのか。
東日本大震災で入院中の精神病院が被災したことで、約40年間の社会的入院から生還し、地域社会で生き生きと暮らしている伊藤時男さん、精神障害がある人々が地域社会で生きることを支援し、全国の人々と協力し新しい制度を作る先鞭をつけてきたはらからの家、そして精神障害がある人々が安心して暮せる社会の創出に貢献してきた認定NPO大阪精神医療人権センターの活動に学びたい。さらに世界の先進的な取り組みや障害者権利条約の視点を視野に、これからの障害者運動の方向性を、会場の皆様と討論できたら嬉しい。

■シンポジウム(敬称略)
○シンポジスト:
伊澤 雄一(はらからの家総合施設長・全国精神障害者地域生活支援協議会理事)
竹端 寛(兵庫県立環境人間学部准教授・大阪精神医療人権センター権利擁護システム研究会コーディネーター)
伊藤 時男(精神障害当事者・社会的入院40年体験者)
○指定発言者:尾上 浩二(DPI日本会議副議長)
○コーディネーター:加藤 真規子(精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとう代表、DPI日本会議常任委員)

■質疑応答・パネルディスカッション
総合司会・辻 直哉(愛知県重度障害者団体連絡協議会、DPI日本会議事務局次長)


1.分科会開催の経緯

「精神障害者と社会的入院」は、日本の障害者運動が取り組むべき最重要課題のひとつです。全世界の精神科病床のうち約2割が日本にあり、全世界の入院患者のうち5人にひとりが日本人。世界的に見ても異様な日本の隔離収容施策は、2020年に予定されている国連権利条約の審査においても厳しい勧告を受けることが予想されます。
では、勧告が出たあと、私たちはどう具体的に動けばよいのでしょうか。「隔離収容施策はどうすればなくなるのか」「地域移行はどうやったら進むのか」――。これらの問いを考えるべく、本分科会を企画しました。
DPI権利擁護部会では、昨年「身体拘束」をテーマに分科会を開催し、その際も「実際に経験した当事者の声」を聴くことを重視しました。このため、今年の分科会においても、約40年間の社会的入院を経験した当事者の声をまずはじっくり聴き、地域移行の現場や世界各国の事例をも踏まえ、今後の運動の方向性を討論する場を設ける構成としました。

登壇者の様子

2.分科会で報告・議論したこと

本分科会では、最初に「はらからの家」の伊澤氏より、精神障害者の地域移行に長年にわたり取り組まれてきた経験に基づき、退院促進支援事業の現状・課題をご報告いただきました。喚起すべきは、入院患者の「退院意欲」ではなく、家族・病院関係者を含む周囲の「退院支援意欲」ではないか、という最後の問いかけは、「家族」「ナース」が退院の壁になる多くの実例を踏まえた報告のあと、非常に説得力のあるものでした。

続いて、約40年間の社会的入院を経験し、東日本大震災が契機となり現在は地域で生活する伊藤氏の自分史を聴きました。入院に至るまでの伊藤さんの苦悩、また退院を希望しながらも諦めざるを得ない環境に追い込まれていく具体的な経緯を聞き、「社会的入院」の実態、隔離収容政策の異常さを会場で共有しました。

分科会参加者の様子。前方に登壇者らが写っている。

竹端氏からは、「社会的入院(入所)は自由の剥奪であり人権侵害である」という立場にまず立つことの重要性、「存在しているのは、『病気』ではなく『最大化した苦悩』」という捉え方の紹介がありました。そこでは、精神障害を「異常」と捉え、人権を侵害する形で「隔離収容」してきたこの国の「異常さ」が問い直されました。また、イタリア及びスウェーデンにおける「病院・施設解体」「地域移行」の具体的な法制度の紹介もありました。

指定発言者である尾上氏からは、これら世界での法制化の動きも踏まえ、社会的入院を「解決」するために必要なことについて話がありました。具体的には、権利条約を批准するにあたり「最低限これはやるべき」として策定された「骨格提言」の中から、「地域移行の法定化」「地域基盤整備10か年戦略」等の紹介がありました。国連障害者権利委員会からの勧告を使い、地域移行を進め、新規入院・入所を防ぐための法制度を具体化させていく必要性が改めて確認されました。

3.今後の取り組み

DPI権利擁護部会では、年間計画で「精神障害者の人権と地域生活の確立」を重点項目としています。今後も、他の障害者団体や各地の精神医療人権センター等と連帯した取り組みを進めていきます。特に、国連障害者権利委員会からの勧告後の運動、必要な具体的法制度改革について意見交換をし、共に取り組んでいきたいと思います。

 (DPI日本会議特別常任委員/自立生活センターSTEPえどがわ 曽田 夏記)


感想

「精神障害者と社会的入院―仲間を迎えに、どんどん精神病院へ行こう―」に参加して

この分科会では、3名の方の発表と、1名の方の指定発言がありました。
伊澤氏からは、「はらからの家」での実践を、伊藤氏からは、40年の入院体験を経て地域でピアサポーターとして生きる姿を、竹端氏からは、大阪精神医療人権センターでの実践と日本の精神障害者をめぐる状況についてを語っていただけました。また、指定発言での尾上氏からは、「骨格提言」という視点から必要なこととして、法制度を作るべきとの話がありました。
どの話も心に残るものでしたが、特に、3.11が起きたことで、ようやく退院することができた伊藤氏の話が特に心に残りました。伊藤氏は、人生における苦悩が大きかっただけなのに入院させられ、院内作業や院外作業に励んで模範患者に努めたにもかかわらず退院できなかったとのことでした。その話から、40年の重みが伝わってきて、胸が苦しくなりました。あってはならない、あまりに理不尽な人生被害です。
この話を受けて、伊澤氏の『退院意欲の喚起ではなく退院支援の喚起を』という言葉と、竹端氏の『長期入院は人権侵害だ』という言葉が心に沁みました。また、質問を受けて、伊藤氏が「(長期入院で失ったのは)結婚できなかったこと」と語られたことが、心に重かったです。障害者だから、施設や病院に入るべき、という時代を終わらせなければならないと痛切に感じました。
熱気のある、充実した分科会でした。障害者をめぐる理不尽な状況はまだまだたくさんあるので、これからも取り上げていってほしいと感じました。

たにぐち まゆ(大阪精神障害者連絡会)

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