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11/24(日)DPI政策論「地域生活分科会」報告 目指せCRPD完全履行!「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト始動」

2019年12月26日 地域生活イベント

11月24日(日)第8回DPI障害者政策討論集会で開催しました「地域生活分科会報告」を岡本直樹(DPI日本会議特別常任委員/CILふちゅう)が、参加した感想を辻田奈々子さん(自立生活センターリアライズ)が書きましたので、紹介します!


分科会3 地域生活 目指せCRPD完全履行!「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト始動」

障害者権利条約の完全履行を目指す具体的な取り組みの一つとして、旧国立療養所(現国立病院機構)筋ジス病棟に長期療養している人たちの地域移行を進めるために、筋ジス病棟入院者・同出身者・障害者団体・研究者等のネットワークをつくり、全国の筋ジス病棟の実態調査を行い、政策提言等をしていくプロジェクトが、DPI加盟団体及び関係者を中心に発足した。

本プロジェクトの活動の概要とアンケートの中間報告、地域移行支援のケース報告、研究者を含む分析チームからの報告を行い、情報共有をしながら、筋ジス病棟の地域移行を進めるために必要なことを議論する。

■報告
藤原 勝也(メインストリーム協会)
桐原 尚之(全国「精神病」者集団)
岡本 晃明(京都新聞編集委員)
岡山 祐美(日本自立生活センター)
油田 優衣(日本自立生活センター)、
大藪 光俊(日本自立生活センター)
深田 耕一郎(女子栄養大学)

■シンポジウム
○シンポジスト
大藪 光俊(日本自立生活センター)
岡山 祐美(日本自立生活センター)
立岩 真也(立命館大学教授)
今村 登(DPI日本会議事務局次長)
○コーディネーター
曽田 夏記(DPI日本会議特別常任委員)
○コメンテーター
尾上 浩二(DPI日本会議副議長)


分科会開催の経緯

障害者権利条約の完全履行を目指す具体的な取り組みの一つとして、旧国立療養所(現国立病院機構)筋ジス病棟に長期療養している人たちの地域移行を進めるために、筋ジス病棟入院者・同出身者・障害者団体・研究者等のネットワークをつくり、全国の筋ジス病棟の実態調査を行い、政策提言等をしていくプロジェクトが、DPI加盟団体及び関係者を中心に発足しました。

本プロジェクトの活動の概要とアンケートの中間報告、地域移行支援のケース報告、研究者を含む分析チームからの報告を行い、情報共有をしながら、筋ジス病棟の地域移行を進めるために必要なことを議論し、「地域移行をうけとめる社会資源の拡充」、「病院や地域医療との連携」などより大きな規模で地域移行を生み出すために本分科会を企画しました。

分科会で報告・議論したこと

第1部では、まず藤原氏(メインストリーム協会)からプロジェクトの趣旨説明がありました。

都市部では当たり前になりつつ自立生活が、地方での厳しい現実に感化され、この現状を変えていくためプロジェクトが動きだしました。

続いて、桐原さん(全国「精神病」者集団)からプロジェクトの実績として、国で把握しているであろう筋ジス病棟患者の地域移行の実績について質問趣意書を提出した件についてご報告頂きました。

国は、施設からの地域移行の方向性はあるが、筋ジス病棟に特化した情報はありませんでした。

今後、国にしっかりとした実態把握を求めていく必要性を感じました。

岡本記者(京都新聞)からは、「筋ジス病棟と病院再編」の動きについて報告して頂きました。

障害者自立支援法を契機に国療の体制も医療から福祉へと大きな変化が生まれている、今話題の再編問題については、今年9月に厚労省から不採算病院等として筋ジス病棟を含む30の国立病院機構が実名公表され、統合か廃止を迫られている現状を共有しました。

アンケートの報告については、油田氏(JCIL)、深田氏(女子栄養大学)から報告がありました。

調査によると医療側の問題だけではなく、看護師等の人員削減や悪質な体制に順応させられている声が報告されています。

地域移行については、過半数以上が前向きな意見が多くあるなど確認されました。

第2部では、シンポジウム形式で行われました。最初に地域部会長の今村氏(DPI日本会議・事務局次長)からは重度訪問介護(以降「重訪」)のシームレス化について言及されました。

障害者の国会議員が誕生したことにより、通勤・就労中の介護、DPIとしては通学・就学支援の拡大に向けた議論が土俵に上がったことを強調されました。

次に、大藪氏から施設や病院内に立ちはだかる制度や権力の壁について報告されました。

国療では、数年、数十年に1度しか太陽が浴びられない人がいるという現実を共有しました。

岡山氏からは、複合差別の視点で報告がありました。

『女性で重度障害者で、ましてや医療的ケアが必要となると自分の人生を切り開く発想が奪われている』、『男性職員からの入浴、排泄介助について不快・苦痛なのに「やめて」と言えない状況がある』と重要な指摘をされました。

指定発言として、川口氏(ALS/MNDさくら会)からは、地方の筋ジス患者の地域移行の経験から「患者権利法」の必要性を求める意見がありました。

次に、立岩氏(立命館大学・教授)からは、筋ジスプロジェクトに関わったきっかけと筋ジス病棟の地域移行の取り組みの方向性について共有しました。

やまゆり園の事件から2年経過しているが、施設の状況は変わっていない、この問題に真摯に向き合う必要があると参加者に問いかけました。

指定発言者である尾上氏(DPI日本会議・副議長)からは、8年前に国がまとめた地域移行のデータの説明がありました。

やはり障害者権利条約の勧告を武器に巻き返すことが重要だと改めて指摘しました。

最後にコーディネーターの曽田氏(DPI日本会議・特別常任委員)から「せめてできる1つの仕事として問い直していくこと、そして一人一人にできることは何か考えていきたい」とまとめました。

今後の取り組み

2020年度は、国連の障害者権利委員会から総括所見(日本政府への是正勧告)が出されます。

この総括所見で地域移行へのより具体的な取り組みを求められることが予想されます。

DPI地域生活部会では、2011年に障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が取りまとめた骨格提言の中で示された「地域移行の法定化」をし、「地域基盤整備10か年戦略」のような仕組みを、次の障害者総合支援法の改正時に組み込めるよう、取り組んでいきたいと思います。

岡本直樹(CILふちゅう)

感想

今回の部会では、プロジェクトのメンバーで、これまで旧国立療養所に長期入院していた当事者の地域移行をいくつも実践してきた方からの報告とあって、よりリアリティが伝わるものでした。

私が活動する自立生活センターでも旧国立療養所で長期入院している当事者の地域移行に取り組み始めており、その劣悪な入院生活の実態は常に見聞きしていました。

地域移行を阻む要因として、医師の確固たる権威性や本人が長い入院生活故にパワーレス状態であること、家族の無知や無理解、医師に迎合してしまう傾向など様々なものがあります。

また、私が活動する地域など地方においては社会資源が乏しく、介助者やサービス提供事業所が不足していることはもちろん、地域生活に理解を示す医療関係者が少ないとった課題があります。

地域生活をスタートし、維持できるだけの社会資源を一から創り上げていかなければならないことに高いハードルを日々感じています。

旧国立療養所は長い歴史の中、地域社会から孤立し、本来交わるべき自立生活運動からも距離が置かれた存在となっていました。

そうした意味では、昨年立ち上がったプロジェクトは大変意義深く、自立生活運動をあげて彼らの地域移行を促進させていこうという姿勢が確認できたように思います。

また旧国立療養所の現役の医師から地域移行に積極的な発言を引き出せたことも大きな前進です。

当プロジェクトが立ち上がってからも地域移行を達成した当事者が既に何名もいらっしゃることは大変喜ばしいことです。

彼らの実践が地域にも根付き、今後地方にも波及していけるよう、取り組みを停滞させてはならなりません。そんな想いを奮起させてもらえた部会でした。

辻田奈々子(自立生活センターリアライズ)

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