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11/24(日)DPI政策論「国際協力分科会」報告
私たちはSDGsをどう達成するのか

2019年12月26日 イベント国際協力/海外活動

11月24日(日)第8回DPI障害者政策討論集会で開催しました「国際協力分科会報告」を中西由起子(DPI日本会議副議長)が執筆し、参加した感想を井谷重人さん(CIL星空)書いてくださったので、ご紹介します!


▶分科会2 国際協力「私たちはSDGsをどう達成するのか」

政府のSDGs実施指針は多くの場合企業の経済活動であり、「誰一人取り残さない」という社会的視点を欠く。指針には批判も多かったことから、年末までに改定が予定されている。海外の試み、日本での実践例を通して、どのようにSDGsと関わっていくのか討議し、国内での実施に向けて活動していくものとする。

■実施指針のポイント:稲場雅紀(SDGs市民社会ネットワーク顧問)
現在の実施指針は、SDGsを2030年までに達成するにはこのままでは不十分である。全体像を検討しながら改正で必要なことを検討する。
○登壇者:稲場 雅紀(SDGs市民社会ネットワーク顧問)

■ビデオ上映:SDGsとCRPD(障害者権利条約)の連携:海外から学ぶ
IDAは研修プログラムBridge SDGs-CRPDをいろいろな国で実施し、SDGsは自分たちにもかかわる重要な世界戦略であると伝えている。
○ビデオ出演::Vladimir Cuk(IDA(国際障害同盟)事務局長)

■地域レベルでのSDGsの活用の事例発表とグループ討議
DPI日本会議議長平野みどり、副議長西村正樹、プノンペンCILメイ・サミス各氏からの県・国際レベルの事例報告を参考に、SDGsと障害をいかに連携させ、推進できるかグループで討議する。


分科会開催の経緯

MDGs(ミレニアム開発目標)の時から唯一の障害者団体として、開発系の団体とともに達成のため行動してきました。

2016年からのSDGsでは国内の関心も高まっているので障害分野でのSDGsの認知を広め、今回は海外での活動例を参考に、国内でのSDGsの実施推進を考えるため、本分科会を実施しました。

分科会で報告・議論したこと

まずSDGs改正実施指針改訂案については、SDGs市民社会ネットワークの稲場雅紀氏から改定案の骨子についての解説がされました。

稲場氏による、政府がSDGs実施の参照にするのが「SDGs実施指針」であり、いまの実施指針は3年前に作成された、法的な効力のない「行政文章」です。

この実施指針の改訂にあたって、政府は11月8日に改訂の骨子案を発表しました。

この骨子案の問題点として

(1)環境問題や地域格差など現状への危機感が欠けている

(2)ジェンダー平等や差別解消への取り組み、貧困格差の解消が優先課題に入っていない

(3)バックキャスティング(未来の望ましい姿を描き、その実現に向けて政策を立てる)できちんとやると明記されていない

(4)政府はSDGsの三本柱(ビジネスと科学技術イノベーション、地方創生と循環共生型社会、次世代・女性エンパワメント)を立てて実施してきたが、実施についての評価や今後のコミットメントについて記していない

(5)市民社会の声を聞くSDGs推進円卓会議はわずか年2回それぞれ2時間しか行われない

以上を稲場氏は指摘しました。そして、政府としてはアベノミクスが最優先で、SDGsの位置付けは政府の中で低いのではないか、と結論付けました。

また骨子案での障害についての言及がほとんどないため、パブリックコメントを通じて実施指針に入れ込むように働きかけることが必要と述べました。

障害分野のSDGsへの取り組み事例については、まずIDA(国際障害同盟)のウラジミール・チュク事務局長からビデオメッセージを通じて、IDAが行っている障害者リーダー育成プログラムを紹介がありました。

チュク氏はよると、SDGsは障害者を含んだ初めての開発アジェンダであり、障害者運動は国際的な開発ステークホルダーと連携して活動する機会を得たとのことです。

そしてCRPDを履行させるツールとしてSDGsは有効であり、SDGs活用のためにIDAは障害者リーダー育成のための障害者主体のプログラム「ブリッジCRPD-SDGs」を実施し、これまでに92カ国から700名の障害者が参加しているとのことでした。

続いて平野みどりDPI日本会議議長から熊本でのSDGsへの動きと課題について、また西村正樹副議長から北海道SDGs推進ネットワークの設立についての発表がありました。

熊本では今年8月26日に「くまもとSDGs推進財団」が発足し、市民・企業からの寄付金をもとに地域課題の解決に取り組んでいます。

平野議長は、SDGsにおいて障害、女性、子どもやマイノリティへの視点がかけることがないように、推進財団に積極的に関与しています。

北海道では2018年8月31日に「北海道SDGs推進ネットワーク」設立され、情報発信・共有・意見交換・普及啓発活動を行っています。DPI北海道は、各地域で行われる交流セミナーにメンバーが参加して、発信を行っているとのことでした。

カンボジアからはプノンペン自立生活センター(PPCIL)代表のサミス・メイ氏が、スカイプを通じてPPCILによるSDGs関連プロジェクトについて発表しました。

PPCILでは、JICA草の根協力事業のもと日本企業と協力して、バリアフリー化した職場でクッキーやドライフルーツ作りを行っています。

起業を通じて障害者の雇用・収入を作り出すとともに、障害者の生活実態調査も行っているとのことです。

またこのプロジェクトは、「SDGs海外ソーシャルビジネス」の一例として東京都によっても紹介されています。

取り組み事例の紹介の後は、分科会参加者が3つのグループに分かれて、SDGsに関する経験やどのように障害者運動でSDGsを活用していくかなどの討議を行いました。

討議の中で、企業の中ではSDGsに関連して環境問題、企業の社会的責任・障害者雇用などの話がされるということや、障害児の教育支援の中で話題となってSDGsについて考えるようになった、という話が出てきました。

SDGsの活用としては「誰も取り残さない」というスローガンのもとで、女性障害者や障害児の視点を活動に取り込んでいくことや、CRPD推進のツールとしてSDGsを用いていくべきだ、といった発言がありました。

今後の取り組み

現状では障害に触れない政府のSDGsの文書が多いので、今後はさらに障害分野からのインプットができるようにSDGsの観点からの問題点を掘り起こしていきたいと思います。

 中西由起子(DPI日本会議副議長)

感想

SDGs市民社会ネットワーク顧問の稲場雅紀氏からのお話で、日本国内におけるSDGs の現状が危機に直面していることを知りました。

SDGsは持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され「地球上の誰一人として取り残さないこと」を誓っています。

すでにドイツやフィンランドでは積極的にSDGsを政策の中に取り入れ、明確な目標を立てています。

しかし、日本政府のSDGs実施指針は「誰一人取り残さない」という社会的視点を欠き、企業にとっては会社評価の手段となっているところも少なくありません。

日本政府の意識はとにかく低く、達成に向かっているかどうかの分析すらしていないということでした。

私は今回のお話を聞くまで、SDGsは理想の地球にするための、素晴らしい目標だと思っていました。

しかし、日本でSDGsを掲げることによって、逆に障害分野が取り残される恐れがあるという懸念が生まれました。

SDGsが掲げる17の達成目標、政府にしても企業にしても、全てを同時平行で目指すわけではないと思います。

ないがしろにしている課題がありながら、「いくつ達成しているから優良」という評価基準に満足してしまう可能性があります。

ないがしろにされる中に障害分野が入らないとも言いきれません。

世界ではこのSDGsがひとつの指標になろうとしています。

政府が積極的ではない中、私達にできるのは、CRPDに沿って行っている具体的な取り組みをSDGsとして発信し、SDGsとCRPDが車の両輪になっていくことだと思いました。

井谷重人(CIL星空)

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